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護衛対象は、お嬢様でした。  作者: 愚兎
絡まれてる所を、助けてみました。
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8

さすがの緋乃でも、この人数を一人で相手にするのは厳しい。

それは戦わなくても分かった。

俺は緋乃の隣へ並び、静かに拳を握る。

「俺も手を貸すよ。」

黄瀬もその横へ立つと、肩を回しながら軽く屈伸を始めた。

「さすがのチャンピオンでも、この人数はキツいでしょ?」

緋乃は小さく息を吐き、俺へ視線を向ける。

「お前ら…いつの間に。」

「正直助かるがいいのか?」

緋乃は俺らに確認する。

「こんなの見過ごせないでしょ」

「悪いな…。」

「それに昨日の動きを見て分かった。」

「黒鉄、お前は何かやってるだろ。」

「でも――。」

今度は黄瀬を見る。

「黄瀬の方は大丈夫なのか?」

「俺?」

黄瀬は親指で自分を指し、ニヤッと笑う。

「大丈夫、大丈夫!」

「朝陽と喧嘩に巻き込まれた日からさ、こんな時のために毎日MeTubeで勉強してるから!」

その言葉に、緋乃の表情が一瞬だけ固まる。

……たぶんだけど。

神白さんを助ける時に聞いた俺と同じ顔をしている。

「言いたいことは分かるよ。」

俺は苦笑しながら肩をすくめた。

「でも心配はいらない。」

「黄瀬、運動神経とセンスだけは本当にいいから。」

一緒に共闘した俺だから分かる。

こいつは喧嘩なんてしたことはない。

だけど、動体視力・反射神経・身体能力が飛び抜けていた。

「ちょ、ちょっと!」

「俺だけ勝手に話進めないでくれる!?」

黄瀬が慌てて割って入る。

そのやり取りを見ていた男たちが、苛立ったように怒鳴った。

「余裕かましてんじゃねぇぞ、このガキども!」

「二度と生意気な口きけねぇようにしてやれ!」

その一声を合図に、十人近い男たちが一斉に地面を蹴った。

土埃が舞い上がる。

俺は静かに腰を落とし、構えを取る。

隣では緋乃が拳を握り締める。

そして黄瀬は、小さく息を吐いた。

「……よし。」

戦いの火蓋が切って落とされた。

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