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ここで挫けてしまったら、新しい高校生活なんて夢のまた夢だ。
そう自分に言い聞かせながら、自分の席を探す。
教壇から見て右から二列目。その最後尾に貼られた番号が、自分の出席番号と一致していた。
静かに腰を下ろし、小さく息を吐く。
改めて教室を見渡すと、すでに楽しそうに話し込んでいる生徒もいれば、俺と同じように一人で席に座っている生徒もいる。
同じ中学の奴でもいれば──。
そう思ったが、すぐに苦笑した。
いたところで、幼馴染を除けば気軽に話せる友人なんて一人もいない。
結局、どこへ行っても変わることはないのかもしれない。
「はぁ……」
無意識に漏れたため息とともに、机へ突っ伏した。
「な〜にしてんの?」
頭上から、場違いなくらい明るい声が降ってくる。
「……え?」
顔を上げると、いつの間にか一人の男子生徒が俺の机に肘をつき、興味津々といった様子でこちらを覗き込んでいた。
「うぉっ!?」
あまりの近さに思わず身を引く。
「おっ、元気でなにより! てか、そんな驚く?」
笑いながら、その男子生徒は俺の反応を面白がっている。
「俺ね、黄瀬! 黄瀬王輝。同じB組!」
そう言うと、人差し指で自分の前の席をトントンと叩いた。
「出席番号九番。だから前の席ね。よろしく〜!」
こちらの事情などお構いなしといった様子で、一方的に自己紹介を終える。
第一印象だけで分かった。
こいつは、俺とは住む世界が違う。
整った顔立ちに百八十センチ近い長身。躍動感のある明るい金髪のミディアムショートがよく似合い、左耳には黒いスタッズピアスが光っている。
それ以上に目を引いたのは、その距離感だった。
初対面の相手、それも目つきが悪いと散々言われ続けてきた俺に対して、一切物怖じする様子がない。
むしろ、自分から距離を詰めてきている。
そんな人間を、俺は今まで一人も見たことがなかった。
「……これが、陽キャってやつか。」
憧れとも、尊敬ともつかない感情が、気づけば言葉になって漏れていた。
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