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護衛対象は、お嬢様でした。  作者: 愚兎
絡まれてる所を、助けてみました。
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29/122

6

申し訳けありませんが、ずっと作品名に違和感があり勝手ながら変更致しました。

青嶌さんに半ば強引に連れてこられたのは、商店街のハンバーガーショップだった。

夕方ということもあり、店内は学校帰りの高校生で賑わっている。

それぞれ注文を済ませ、トレーを持って席に着く。

「いただきまーす!」

青嶌さんの元気な声を合図に、みんな一斉にハンバーガーへ手を伸ばした。

その中でも、一際目を引いたのは緋乃だった。

大きなハンバーガーを迷いなく頬張ると、一口で半分近くを平らげる。

「うまい。」

短く呟きながら、次はポテトへ手を伸ばす。

「食うの早っ!」

黄瀬が思わず目を丸くした。

「ボクサーなのに、ファストフード食べて平気なの?」

緋乃はポテトを一本口に運び、小さく肩をすくめる。

「あんまり良くはないな。」

「まぁ、その分練習量を増やすから問題ない。」

「でも減量とかあるんだろ?」

黄瀬がコーラを飲みながら尋ねる。

「今は平気。」

「試合もまだ先だしな。」

「へぇ。」

「意外とゆるいんだな。」

すると、緋乃は静かに首を横へ振った。

「違う。」

「無理な減量はしないだけだ。」

その一言に、自然と全員の視線が集まる。

「高校生のうちは、身体を作って体への負担をなるべく抑える時期だからな。」

「今、無理に体重を落とすことはしない。」

「将来もっと強くなるために、今はしっかりした土台作りだ。」

「必要になった時に落とせばいい。」

淡々とした口調だった。

だけど、その言葉には妙な説得力があった。

黄瀬が感心したように息を漏らす。

「なんか、もうプロみたいな考え方だな。」

「プロになるつもりだからな。」

緋乃は当たり前のように答えた。

その目には迷いがない。

夢を語る人間の目ではなく、夢を現実にすることを決めた人間の目だった。

俺はそんな横顔を見つめながら思う。

(……こいつ、本当にボクシングが好きなんだな。)



それからも言葉を交わしながらも、手が止まることはなかった。

気が付けば、トレーの上はすっかり空になっていた。

「ごちそうさまでした!」

青嶌さんが満足そうに両手を合わせる。

「いやー、食べた食べた!」

「結局お前が一番食ってただろ。」

黄瀬が呆れたように笑う。

「育ち盛りだからね!」

「俺たちも育ち盛りだけどな。」

そんな他愛もないやり取りに、緋乃も小さく笑みを浮かべた。

店を出ると、夕日はすっかり傾き、商店街は帰宅する人たちで賑わっていた。

「じゃあ今日は俺走って帰るから。」

緋乃が駅とは反対方向を指差す。

「今日は悪かった。」

「改めて、よろしく。」

「ああ、よろしく。」

「また明日!」

青嶌さんが大きく手を振る。

黄瀬も笑いながら拳を軽く上げた。

「今度は殴る前に名前聞けよ!」

「善処する。」

真顔で返す緋乃に、全員が吹き出した。

「じゃあな。」

そう言い残し、緋乃は夕焼けの中へ歩いていく。

その背中を見送りながら、俺は思う。

(変な出会いだったな。)

それでも、不思議と悪い気はしなかった。

その後、俺たちはいつものように神白さんを屋敷まで送り届ける。

大きな門の前で神白さんが振り返った。

「今日はありがとうございました。」

「とても楽しかったです。」

その笑顔は、入学した頃よりもずっと自然だった。

「それなら良かった。」

そう返すと、神白さんは小さく会釈をして屋敷の中へ入っていく。

門が静かに閉まる。

「さて。」

黄瀬が大きく伸びをした。

「俺たちも帰るか。」

「うん。」

夕焼けに染まる空を見上げながら、俺たちはそれぞれの帰路についた。

明日は、どんな一日になるんだろう。

そんなことを考えながら

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