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申し訳けありませんが、ずっと作品名に違和感があり勝手ながら変更致しました。
青嶌さんに半ば強引に連れてこられたのは、商店街のハンバーガーショップだった。
夕方ということもあり、店内は学校帰りの高校生で賑わっている。
それぞれ注文を済ませ、トレーを持って席に着く。
「いただきまーす!」
青嶌さんの元気な声を合図に、みんな一斉にハンバーガーへ手を伸ばした。
その中でも、一際目を引いたのは緋乃だった。
大きなハンバーガーを迷いなく頬張ると、一口で半分近くを平らげる。
「うまい。」
短く呟きながら、次はポテトへ手を伸ばす。
「食うの早っ!」
黄瀬が思わず目を丸くした。
「ボクサーなのに、ファストフード食べて平気なの?」
緋乃はポテトを一本口に運び、小さく肩をすくめる。
「あんまり良くはないな。」
「まぁ、その分練習量を増やすから問題ない。」
「でも減量とかあるんだろ?」
黄瀬がコーラを飲みながら尋ねる。
「今は平気。」
「試合もまだ先だしな。」
「へぇ。」
「意外とゆるいんだな。」
すると、緋乃は静かに首を横へ振った。
「違う。」
「無理な減量はしないだけだ。」
その一言に、自然と全員の視線が集まる。
「高校生のうちは、身体を作って体への負担をなるべく抑える時期だからな。」
「今、無理に体重を落とすことはしない。」
「将来もっと強くなるために、今はしっかりした土台作りだ。」
「必要になった時に落とせばいい。」
淡々とした口調だった。
だけど、その言葉には妙な説得力があった。
黄瀬が感心したように息を漏らす。
「なんか、もうプロみたいな考え方だな。」
「プロになるつもりだからな。」
緋乃は当たり前のように答えた。
その目には迷いがない。
夢を語る人間の目ではなく、夢を現実にすることを決めた人間の目だった。
俺はそんな横顔を見つめながら思う。
(……こいつ、本当にボクシングが好きなんだな。)
それからも言葉を交わしながらも、手が止まることはなかった。
気が付けば、トレーの上はすっかり空になっていた。
「ごちそうさまでした!」
青嶌さんが満足そうに両手を合わせる。
「いやー、食べた食べた!」
「結局お前が一番食ってただろ。」
黄瀬が呆れたように笑う。
「育ち盛りだからね!」
「俺たちも育ち盛りだけどな。」
そんな他愛もないやり取りに、緋乃も小さく笑みを浮かべた。
店を出ると、夕日はすっかり傾き、商店街は帰宅する人たちで賑わっていた。
「じゃあ今日は俺走って帰るから。」
緋乃が駅とは反対方向を指差す。
「今日は悪かった。」
「改めて、よろしく。」
「ああ、よろしく。」
「また明日!」
青嶌さんが大きく手を振る。
黄瀬も笑いながら拳を軽く上げた。
「今度は殴る前に名前聞けよ!」
「善処する。」
真顔で返す緋乃に、全員が吹き出した。
「じゃあな。」
そう言い残し、緋乃は夕焼けの中へ歩いていく。
その背中を見送りながら、俺は思う。
(変な出会いだったな。)
それでも、不思議と悪い気はしなかった。
その後、俺たちはいつものように神白さんを屋敷まで送り届ける。
大きな門の前で神白さんが振り返った。
「今日はありがとうございました。」
「とても楽しかったです。」
その笑顔は、入学した頃よりもずっと自然だった。
「それなら良かった。」
そう返すと、神白さんは小さく会釈をして屋敷の中へ入っていく。
門が静かに閉まる。
「さて。」
黄瀬が大きく伸びをした。
「俺たちも帰るか。」
「うん。」
夕焼けに染まる空を見上げながら、俺たちはそれぞれの帰路についた。
明日は、どんな一日になるんだろう。
そんなことを考えながら




