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16話 コンビネーションはだいたい事故る

 結論から言います。

 ……コンビネーション攻撃は難しい。


「……で、ここまでこうした後は、最後、私が撃った瞬間にひなちゃんが突っ込む!」

「は、はい……」

「で、ひなちゃんが敵をひっくり返したら、さらに私も同時に追撃!」

「は、はい……?」

「息ぴったりでいこ!」


 説明がアバウトすぎる。


 たぶん……


 私が前衛、りおちゃんが後衛。

 最初にりおちゃんが射撃。

 怯ませたところ私が殴り、再びりおちゃんが撃って……

 最後は同時攻撃で倒す、っていう考えなんだと思う。


 でも、すごく難しい。

 というか無理。


 そもそも私、『息を合わせる』という行為に人生で一度も成功した覚えがない。

 呼吸ですらたまに失敗する。

 そんな私になにを期待しろと……?


>うまくいくと思う?

>俺は失敗する方に賭ける

>失敗に

>失敗に

>失敗に

>賭けにならんだろw

>事故る未来が見える


 コメント欄が妙に現実的で怖い。


「あっ、ちょうどいいところに魔物が!」

「えっ」

「じゃ、さっそく試していこう! いくよー!」

「えぇ!?」


 狼に似た魔物……ウルフが一匹現れて、こちらに突撃してきた。

 迷っているヒマはない。


「ひなちゃん!」

「は、はひぃ……!?」


 ほとんど条件反射で動いた。

 地面を蹴り加速。

 ウルフに密着するようにして、拳を下から上へ。


 ガンッ!


 ウルフが超高速で天井に激突した。

 りおちゃんの射撃は間に合わない。


「………………」

「………………」

「あれ?」


 りおちゃんが、銃を構えたまま固まる。


「ひなちゃん……?」

「ご、ごめんなさい!? なんか、つい反射で……」

「だいじょーぶ! どんどんいこー!」

「が、がんばります……!」


 今度はゴブリンが現れた。

 数は二体。


「いくよー!」


 今度は我慢して、りおちゃんが撃つのを待つ。


(待つ……待つ…… 今? まだ? いや、今行くと早すぎ? でも遅れると迷惑?)


「ひなちゃん!? 今だよ!」

「えっ!?」


 思考を散らしてしまい、魔物の動きを見逃してしまう。

 魔物の攻撃がりおちゃんに向かう。


「わわわっ!?」

「ひゃあああ!?」


 慌てて割り込み、どうにか防御。

 そしてカウンター。


 どうにか倒したものの、コンビネーションは壊滅的だ。


「ご……ごめん、なさい……」


 胃がきゅっと縮む。


 ダメだ……

 私、足を引っ張っている。


「やっぱり……私、向いてないです……やめませんか?」

「え?」

「だって、今の……私が遅れたせいで、すごく遅いから……だから、りおちゃんも危なくて……」

「ちがうちがう!」


 りおちゃんが慌てて手を振る。


「遅いなんてことはないよ? むしろ、すっごく速いの!」

「え……?」

「だってさ、ひなちゃんってものすごく速いよ? ひなちゃんにとっての『普通』って、私の『全力』の何倍……ううん。何十倍も速いと思う」

「?」

「だから、私が合わせないとダメなんだよ!」

「???」

「ひなちゃんは、とてもとってもすごいよ!」


 すごい?

 私が?

 どこが?


 私はただ、怖いから逃げるのが上手くなっただけで。

 そのついでに、ちょっとだけ速くなっただけで。

 そんなものがすごいなんてこと、欠片も思わない。


「……そんなこと、ないです」

「あるよ!」

「っ!?」

「ひなちゃんはすごい! とってもすごい! 誰がなんて言おうとすごい!」

「あ……え、えと……?」

「こうして一緒するようになって、もっともっとひなちゃんのすごさをわかったんだ! あと、魅力も!」

「はへぇ……?」

「だから、そんなことないなんて言わないで? 私は、応援しているからさ」


 ……私なんてダメダメなんだけど。

 どうしようもないんだけど。


 でも……


 りおちゃんの言葉なら、ちょっと信じられるような気がした。


「じゃ、じゃあ……ゆっくり……合わせて、みます」

「ほんと!? やった!」

「が、がんばります……」

「うん、がんばろうね! それじゃあ、次は合図を決めよ!」

「合図……?」

「私が『いくよー!』って言ったらでスタート!」

「それ……いつも言ってませんか……?」

「あ、そっか!」


>天然かw

>それがりおちゃん

>かわよ

>可愛いしか勝たん


「えへへ、みんな、ありがとねー♪」


 りおちゃんはドローンに向かって笑顔で手を振り。

 それから、改めて銃を構える。


「がんばろうね、ひなちゃん!」

「は、はひ……!」


 がんばろう。

 ダメかもしれないけど……

 でも、りおちゃんのためにがんばろう。


 その時。


 ゴォォォォ……!


 低く重い咆哮が奥の方から響いてきた。


「……今のなに?」

「わかりません。ただ、撤退も視野に」

「う、うん……」


 りおちゃんを背中にかばう。

 音がした方を睨みつけるようにして構えていると……


「だ、誰か……助けてくれぇ!?」

「っ!」

「ひなちゃん!?」


 悲鳴を耳にした私は反射的に駆け出していた。


 目立ちたくない。

 人と関わるのが怖い。

 でも……


(見捨てた方が、後でもっと胃が痛くなるから)

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