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17話 炸裂!

 悲鳴のした方向へ全力で走る。

 走りながら思う。


(たぶんこれ、また目立つやつだ)


 でも、足は止まらない。

 見捨てるなんてことはできない。


「ひなちゃん、待ってー!」

「りおちゃん!」

「私も行くよ!」

「はい!」


 並んで走る。

 走って、走って、走って……

 そして現場に到着した。


 別の配信者さんが怪我をして、壁に寄りかかっていた。

 装備が整っているところを見ると、たぶん、ベテランさん。

 ただ、帰還途中なのか消耗している様子だ。


 相手は大型の魔物。

 五メートルほどの巨体……熊に似ている。


 ファイアベアー。

 一層に出現する魔物の中では最強格。

 中層の魔物と同レベルで、数は少ないものの、それなりの強敵だ。


「くっ……!」


 配信者さんが防御するのが精一杯で、一方的にやられていた。


 危ない!

 考えるよりも先に前に出た。


「ひなちゃん!?」

「大丈夫です! たぶん!」


 魔物がこちらに気づいて、ターゲットを変更する。


 よし。

 それでいい。

 私を見ろ。


「りおちゃん!」

「な、なに!?」

「……さっきの、やります!」

「さっきの、って……えっ!? 今!?」


 今です。

 今しかありません。


「い、いくよー!」


 りおちゃんが条件反射で叫んだ。

 同時に両手の銃を連射する。


 複数の弾丸がファイアベアーに突き刺さる。

 それで倒れることはないけれど、足を止めて怯んだ。


 ……今だ。


 最適なタイミングを見極めて、私は前に出た。

 ファイアベアーの懐に潜り込み、拳を下から上へ。

 殴り上げて宙へやる。


「もっかい、いくよー!」


 打ち上げられたところで、りおちゃんの追加射撃。

 ほぼ同時に、私も『空気』を蹴り、宙へ。


 右、左と拳を放ち……

 最後、りおちゃんの一発がファイアベアーの頭部を的確に撃ち抜いた。

 その身が魔石に変わる。


「……」

「……」


 りおちゃんが目をぱちぱちさせる。

 配信者さんも呆然。


 そして私は……


「……できた?」

「やったー!!」


 いきなり、りおちゃんが抱きついてきた。


「ひなちゃん! 成功だよ!」

「ひ、ひぇ!?」

「はい! 手!」

「え? え?」


 条件反射で出した手を、


「いぇーい!!」


 ぱーん、とハイタッチ。


 音、でかい。

 距離、近い。

 陽キャオーラ、強烈。


 でも……


「……えへへ」


 嬉しい、って素直に思うことができた。


「ふぅ……助かりました、ありがとうございます」


 配信者さんがお礼を言う。

 私達が戦っている間に薬で治療を済ませていたようだ。


「い、いえ……! たまたまですし、運が良かっただけですし、私なんて……」

「そんなことは……」

「そう、ひなちゃんはすごいんです!」

「ふぇ!?」

「ひなちゃんはほんとにすごいので、だから、助けることができたんです! えへんっ」


>りおちゃんw

>なんでりおちゃんが誇らしげw

>全肯定マシーン

>ひなちゃん顔真っ赤

>照れているな?

>てぇてぇ


 コメント欄が盛り上がり、それを見て、急に居心地が悪くなってしまう。


(だ、だめだ……これ以上ここにいたら、また胃が……)


「……あ、あの!」

「はい?」

「お、お大事に……!」


 言い終わる前に体が動いていた。

 出口に向かって全力ダッシュ。


「ひなちゃん!?」

「え!? ちょっと待って!」


 という声が聞こえた気がするけど、振り返らない。

 ごめん、今日は無理。


 ゲートを潜り、外に出てようやく止まる。


 胸が、どきどき。

 胃は……


「……あれ?」


 痛くない。

 いや、ゼロではない。


 ……でも。


(悪く、なかった……かも……)


 そんなことを考えている自分に一番驚いてしまうのだった。

ここまで読んでくださりありがとうございます!


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