225 仲良し報告
ある日の夜、花音が友達の家に泊まりに行っている時のこと。珍しく三人で食卓を囲むことになったわけだが、そこでこの三人でしかできない話題が上がる。
「そういえば柊、最近香賀さんとはどうなんだ?」
「ん?佳奈美と?」
「ああ」
花音がいない時にしか出しにくい話題。それは柊と佳奈美の話だ。まあ今までにも話題に上がることはあったのだが、みんな気を遣ってあまり深掘りはしてこなかったのだ。
しかしわざわざこのタイミングで訊いて来るということは詳細な話を聞きたいということだろうが、それは逆に答えにくくなる要因となった。
「まあ…いい感じだよ」
「それは分かってるけど。もっと詳しい話を聞かせてくれよ」
「え〜…」
佳奈美との関係を詳しく話すと完全に惚気話になってしまうからあまりやりたくはない。しかも多分母親にイジられるから余計に話したくない。
でも話はそう簡単にはいかないもの。父の隣に座る沙也加に乱入されてしまう。
「お父さんにも話してあげたら?多分今息子がどうなっているのか心配なのよ」
「そうそう。将来の嫁さんととどんな感じなのか知りたいんだよ」
「……」
言われてみれば雄一に佳奈美との話をしたことはあまりない。だから柊がどんな恋愛をしてどう過ごしているのかをあまり知らず、息子がどうなっているのか不安になるのは仕方ない気もする。
流石に柊も親に不安を抱かれたままなのは居心地が悪いので話すことにはしたがわとりあえず詳しくは語らないようにした。
「具体的に何が知りたいんだ…?」
「そうだな…デートでは何してるんだ?」
「デートは…色々だなー。カフェ行ったりショッピングしたり」
「結構高校生っぽいことしてるんだな」
「まあ高校生だし。でも最近ネタ切れなんだよなー」
「お家デートが増えてるみたいだしね〜」
「そうなんだよなぁ」
まあそれでも十分楽しいんだけど。というかお家デートが一番イチャイチャ出来るから行きたい場所があっても家を選ぶ時すらある。やらしい。まあそんなわけで雄一が心配する必要なんて全くないぐらいイチャイチャなわけだが、それは沙也加にバレているので彼女にしっかりとリークされてしまう。
「でもそのお家でイチャイチャしてるから満足してるのよね〜?」
「うっせぇ」
「なるほどな。お前ももうそういう歳か」
なんか感慨深そうに頷いている。流石にオッサンすぎて引いたが一応安心してくれたみたいなので良しとしておく。
「ちなみに家で何するんだ?」
「映画見たりゲームしたりかな。勉強する時もあるけど、基本ダラダラしてるな」
「へー。柊はいつもだけど香賀さんも意外とダラダラしたりするんだな」
「誰がニートだ」
「言ってねぇよ」
「ふふ、仲がいいわね〜」
これは仲良しと言うのだろうか。まあそんなのはどうでもいいが。
「…まあ佳奈美も完璧主義者じゃないからな。二人の時ぐらいは肩の力を抜いてるよ」
「そうか。そこまで彼女に信頼されてるなら安心だ」
雄一は柊の言葉を聞いて安心したらしく、一度おおきく息を吐いた。そして次は真剣な表情に変わり、とても真剣な言葉をかけて来る。
「で、ちゃんと将来の事とか考えてんのか?」
「将来?佳奈美と?」
「ああ。女の子の大切な時間を貰ってるんだ。いくら高校生でもちゃんと考えた方がいい」
雄一の意見はもっともだ。女性は若くないと選ばれにくいので高校生という若い年齢でもちゃんと将来を考えておく必要がある。それが本来男が取るべき真摯的な態度である。
しかし今更柊にそれを問うても全くの無駄なのである。なぜなら彼は既に佳奈美との将来しか考えていないから。
「大丈夫。ちゃんと考えてる」
「そうか。じゃあ孫の顔は見れそうだな」
「そのうちな」
「香賀さんはどう思ってるんだろう?柊との子を産んでくれるだろうか…」
「あーそれなら大丈夫だと思う…」
「え…??」
「もしかして…」
両親から驚いた目を向けられる。しかしこちらは事実を説明するだけだ。
「一応許可は貰ってるから…」
「!!??」
「きゃー!!二人ともアツアツね〜!!」
「柊…子供は結婚してからだぞ…?」
「わかってるよ」
「彼女にねだられても…ちゃんとゴムしろよ?」
「わかってるって!?いちいち言うな!?」
ご飯を食べながらはやめてほしいと思った。




