224 前世とイチャイチャ
「え?私の前世を知りたいの?」
「ああ」
全てが終わってシャワーを浴びた後、ベッドの中で軽くおしゃべり。その時ふと思い浮かんだ言葉を口にすると、佳奈美から疑問符が返ってくる。それに対して柊は理由を説明した。
「俺がいなくなって、そしてエリオ家を出て行ってからどうしていたのか、夫として気になってな」
「そう?別に普通だったけどね」
「普通ってことはないだろ。俺もエリオもいなくなってずっと一人だったんじゃないか?クロエが寂しがり屋なのは知ってるんだぞ?」
「…っ。それは…そうだね…」
その点については大変申し訳なく思っている。本来なら自分が彼女と余生を過ごしてやらないといけないのに。本当に不甲斐ないばかりだ。
でも今更そこを嘆いたところでどうにか出来るわけではないのであくまで彼女自身の生活について尋ねる。
「一人だったんだから何か新しい趣味でも見つけたんじゃないか?てかそうじゃないと暇すぎる気が」
「まあ、そうだね。エリオが出て行ってからはいろんな事を試してたね」
クロエは愛に生きていた人だ。夫や娘がいれば他には何もいらないタイプのヤツ。しかしそれは彼らがそばに居なくなった途端に破綻する。だからこそ余生をどう過ごしていたのかすごく不安になっていたわけだが、どうやら新しい自分を見つけていたようでホッとした。
「一番よくやっていたのは料理研究かな?君からもエリオからも好評だったから張り切っちゃった」
「そっか。じゃあ今佳奈美の料理がめちゃくちゃ美味いのは努力の賜物なんだな」
「ふふ、ありがとう♪もう一度君に美味しいって言ってもらうために沢山頑張ったんだよ?♪」
「俺は幸せ者だな。嫁さんにここまで想ってもらえてるなんて」
やはり彼女は最高の女性だというのを魂から理解した。そしてその喜びを表すように笑みが溢れる。
「佳奈美、愛してるよ」
「__っ!?」
珍しく顔を真っ赤にする佳奈美を見て柊も驚いてしまう。
「あれ、照れてる?」
「不意打ちはずるいっ…!」
「そうか?いつもこんな感じだと思うけど」
「ちーがーうーのー!!」
なんか子供みたいで可愛いな。そんな顔をされると心の中に眠っていた悪戯心をくすぐられてしまってニヤニヤしてしまう。
「はは、照れてる佳奈美も可愛いな」
「__っ!?ほ、本当にやめて…!!恥ずかしいから…!!」
「顔赤いな。近いからよく見えるよ」
「見ないでぇぇぇ!!!」
顔を両手で隠しながら向こうを向いてしまった。
やっぱり可愛いなうちの彼女は。つい後ろから抱きしめたくなってしまう。というか気づいたら抱きしめていた。
「そんなに恥ずかしがらなくてもいいのに。赤くなってくれて嬉しいぞ?」
「そういう問題じゃないよぉ…」
「てかそもそもさっきまでこんなのとは比にならないぐらい恥ずかしい姿を晒してたと思うけど」
「それとこれとは別なの!!」
「そうなのか」
女心難しいなぁ。でも可愛いから良しとする。
「もう柊なんて知らない…!」
「えぇ、それは困るな。夜は長いからこれからもっとイチャイチャしたいのに」
「っ…」
今反応したな。多分佳奈美もイチャイチャしたいんだろう。でももう引くに引けなくなってしまっている。仕方ないのでここは謝罪して機嫌を戻す理由を作ってあげることにする。
「ねぇごめんって。俺が悪かったよ。だから機嫌なおしてくれないか?」
「…してくれたら」
「ん?」
「これから沢山可愛がってくれたら許す!」
「マジか…まあいいけど」
既にかなり消耗している柊からしたら結構キツいお願いだった。でもそれは彼女にもイチャイチャする意思があるという事を表しているので一応喜んでおくことにする。




