214 姉の議論
「__てことがあってさ」
「な、なるほど…だから最近花音さんの元気がなかったんだね」
数日後、とりあえず同じような境遇の佳奈美に相談をしてみた。意見は多い方がいいからと前世の記憶を持つ二人で話し合いをしてみようと考えたは良いものの、簡単に会話が捗るほど容易な話ではない。
「ん〜…。とりあえず私には全く心当たりないかなー…。私たちとは状況が違うからね」
「そうだよなぁ…。俺たちは生まれた時から前世の記憶があるけど、姉さんは後天的なものみたいだし…。てかそもそもその夢が前世なのかも全くわからないし」
正直話し合いをするには情報が少なすぎる。しかし花音に少しでも早く元気を取り戻してほしいから原因の特定を急ぎたいところなのである。
柊はとりあえず花音の状態や夢の話を細々と説明するが、やはり佳奈美にも理解が及ばない様子だった。
「そうだね…。今の状況で断定するのは難しいかも…」
「やっぱそうか…ごめんなこんな相談して」
「ううん!!私も力になりたいから全然大丈夫だよ!!」
「そう言ってくれると助かる」
とりあえず原因の特定は後回しだ。今彼女のメンタルをどうケアするかを話し合うべきだ。
そう判断した柊は早速佳奈美に話を持ちかける。
「じゃ、とりあえず姉さんのメンタルケアをどうするか考えるか」
「うん。今はそれが最優先だと思う」
花音のテンションが低いとどうも調子が狂ってしまう。なのでいち早く彼女のメンタルをどうにかしなければ。
二人は同じ考えを抱きつつ、まずは状況の整理を始めた。
「じゃあまずは姉さんの状態について理解しておこうか。まず姉さんは最近毎日同じ夢を見ていて、そのせいで自分に何かが起こっていると感じて不安になっている」
「うん」
「普段は俺にベタベタくっついてくるのに最近は全くそういう素振りもない。つまり結構深刻な可能性がある」
「そうだね…早めに対処しないと手遅れになるかも」
花音も普通の女の子だ。不安なことが解決されなければそれが積もりに積もって心を病んでしまう可能性がある。
それは二人とも望んでいないことだ。だからこそ二人は議論を加速させていく。
「だな。ん〜…何が効果的かな…」
「難しいね…。まあ柊とイチャイチャするのが一番早いとは思うけど…」
「…まあ否定はしない」
実際花音の心を一番癒せるのは柊だろう。しかし彼女である佳奈美がそれを勧めるのは複雑だろう。
そんな佳奈美の気持ちを察し、とりあえず濁しながら彼女の提案を受け入れることにした。
「一旦イチャイチャはしないけど…とりあえずそばにはいるようにするよ。弟として!多少のスキンシップも許してあげるか」
あくまで恋愛的な感情はなく、家族として姉と触れ合うことを宣言する。そうしないと後で面倒なことになるから。
一応宣言さえすれば多少イチャイチャしても許してくれるので(多分)大丈夫だろう。おそらく。
「そっか。家族として花音さんのことをお願いね」
「ああ」
「でも浮気はダメだからね??」
「ハイ…」
一応お許しは出たがやりすぎたら後で怒られてしまう可能性があるから限度は弁えよう。
しかしもし花音の精神状態が想像以上に下落していた場合は想定以上にイチャイチャしてしまう可能性がある。きっと優しい佳奈美ならそうなっても仕方ないと許してはくれるだろうが、心の内では嫉妬や悲しみを抱えるだろうからこちらのメンタルケアも頑張らないと。
え、このままだと二人の精神状態をケアしないといけないの?流石にそこまでできる自信はない。
でもそれは不可避な未来であるため、柊は半分絶望しながら佳奈美との議論を続けた。




