207 反省と幸せ
「で?何か言い訳はありますか??」
「「ありません…」」
放課後、いつものように花音と合流して家に帰ろうとしたのだが、そこで鬼のような形相で説教が始まった。
「二人とも今日だけですごく噂になってるんですよ??自覚あるんですか??」
「「ごめんなさい…」」
いつにも増して怒っているような彼女に対して柊と佳奈美は顔向けできずにいた。だって花音は二人の交際を誰よりも応援してくれているから。
いやまあたまにすごく邪魔してくるけど。そこは一旦置いておいて。
少なくとも陰ながら色々アシストしてくれているのは事実な為、今回の件は彼女にとってもかなりダメージが入っているみたいだ。流石の二人も言い訳できなくなる。
「仲が良いのはとても素晴らしいことだとは思いますけど、あまり他人に見せびらかすようなものではありませんよね??」
「「ごもっともです…」」
「それに二人は生徒会の一員なんですから、一般生徒からの印象を悪くするような事はしないで欲しいんですけどね??」
「「おっしゃる通りです…」」
ずっと口を揃えて反省を露わにする二人。ここでも仲の良さが出ているが、花音はとうとうその状況を打ち破りに来る。
「全く、本当に反省しているんですかね??」
「「はい…」」
「あなた達ならこれからもああいう事をしそうですけど。柊はどう考えてますか??」
「え、俺…?」
突然話を振られてしまう。しかしあまり考えていなかったので答えることができたい。
流石に呆れたのか、花音はため息を吐いた。
「はぁ…あのですね?これから対策をしていかないと佳奈美ちゃんが肩身の狭い思いをするんですよ?そんなの許しても良いんですか?」
思いの外マジの説教が始まって困惑してしまう。しかしすぐに冷静さを取り戻し、素早く花音の言葉を否定した。
「いや、ダメだ。俺はどうなっても良いけど、佳奈美が嫌な思いをするのは絶対にダメだ」
一人の男として、好きな女の子に悲しい思いをさせるわけにはいかない。そういう本能的なものが動き、花音の言葉を深く受け止め始めた。
そして全てを察したかのように花音は追い討ちをかけてくる。
「そうですよね?なら柊はこれからどうすべきか、ちゃんと考えるべきなんじゃないですか?」
「ああ…。俺の考えが甘かった。ごめん」
この姉弟の説教タイムは基本謝罪の言葉を放った時点で終了する。つまり今回のお説教はここまでということ。花音も先程とは変わって優しい笑みを浮かべ始めた。
「別に良いんですよ。ちゃんと反省して、ちゃんと佳奈美ちゃんとのことを考えてくれたら」
その笑みを見てやはり彼女は柊と佳奈美の将来のことを考えてくれていることがわかった。流石の柊も少し感動し、咄嗟に花音が大好きな笑みをむけてあげた。
「…ありがとな。俺、これからは今まで以上に佳奈美とのことをちゃんと考えることにするよ」
「柊…」
「それが良いでしょう。あ、私のことも今まで以上に考えてくれてもいいんですよ?♡」
「考えとくよ…」
こういう冗談が飛び交い始めたらもう今まで通りの雰囲気に戻る。
そう考えていたのだが、最後に彼女は言葉を残した。
「それと。柊、あなたもちゃんと幸せになってください。自分はどうなっても良いとかじゃなくて、あなた達は二人とも幸せになってください」
どうやら先ほどの柊の発言に少し引っかかる部分があったようで、そこを指摘してきた。そして柊は思い出す。花音は柊の幸せを一番に願っていることを。
「私は柊の幸せを心から願ってますから…♡」
「ああ。絶対幸せになるよ」
「まあ柊を幸せにするのは私でも良いんですけどね?♡」
「それはダメです__っ!!!」
佳奈美の幸せそうな悲鳴は学内に響き渡った。




