204 マークの消し方
「あらおかえり。遅かったわね〜」
「ただいま__!!ちょっと時間やばいかも!!」
「そうね〜。佳奈美ちゃんと盛り上がりすぎちゃった?♡」
「ちげぇよ!!普通に寝坊しただけだよ!!」
ちなみに彼女の言っていることは正解である。昨晩佳奈美と盛り上がりすぎたせいでこういうことになってしまっている。
そして母もそれに気づいているが、あえて言及せずに見守ることに徹した。
「そういうことにしておいてあげるわ♡」
「うるせぇなぁ…」
「急いでいるなら朝ご飯は食べない?」
「ああ__!!帰ったら食べるから置いといてくれ!!」
「わかったわ〜♡」
キッチンで朝食の片付けをしている沙也加に生温かい目を向けられるが、、今は彼女に構っている場合ではない。
なぜなら柊は非常に時間に追われている状況だからだ。さっきまで佳奈美の家で寝てしまっていたため、学校に間に合わないかもしれないのである。
とりあえず急いで支度をして家を出ようとするのだが、問題は時間以外にも存在する。
「じゃあ行ってきます__!!」
「待って!!」
「ん!?何!?」
「ちょっと後ろ向いて?」
「何かついてるか!?でも今はそんな気にしてる暇が__」
「コレ、キスマーク…??」
「!!??」
時間を追うあまりそこの配慮を忘れてしまっていた。
佳奈美とお泊まりをした時に複数個キスマークをつけられるのは珍しくないのだが、普段はメイクなりで何とか隠してきた。
しかし今回はそんなことをする暇がなく、どうするかは登校中に佳奈美と決めることにしている。つまり今現在キスマークは丸見えの状態にあるということだ。そりゃ沙也加も気づくだろう。
だがしかしあまり言い訳している暇も無いため、柊は母の言葉を無視して外に行こうとしたのだが__
「とりあえず時間無いし行くよ!!」
「待って!!隠さないで行くつもり!?」
「だって時間ヤバいし!!とりあえず行きながらどうにかする!!」
「そ、そうなの…?でもとりあえずメイク道具ぐらいは持っていきなさい__!私の貸してあげるから!」
「あ、ああ…!助かる…!!」
沙也加は急いで自身の化粧品から厳選して小さなバッグに詰め込み、それを柊に渡した。
「じゃあ気をつけて行ってね!」
「ああ!ありがとう!!行ってきます!」
「行ってらっしゃい!」
沙也加に見送られ、玄関の扉を開こうとしたのだが。
「あ、あと一つだけ」
「何!?」
「帰ったらゆっくり話しましょうね?♡佳奈美ちゃんとのこと、たくさん教えて?♡」
「………」
とりあえず無視して扉を閉じた。そして足早に佳奈美の家の前まで向かった。
すると数分後、勢いよく玄関の扉が開いて颯爽と美少女が現れた。
「じゃあ気をつけてね。急いでいる時は特に」
「うんっ!行ってきます!」
「行ってらっしゃい♡帰ったら柊くんとのことたくさん教えてね♡」
「え」
「それは無理ー!!」
なぜか嬉しそうにニヤニヤしている母に否定の言葉を吐き捨ててこちらにやって来た。
「あ、柊!!来てたんだ__!!」
「急ぐぞ!!マジで遅刻する!!」
「うんっ__!!でもコレどうしよう!?」
「ん゛〜〜とりあえず走りながら考えよう!!」
とりあえずキスマークのことは後回しにして二人は全力で走り出すことにした。
だが結局キスマークを隠すメイクをする暇は無く、結局最低限の絆創膏で何とかすることにしたのだった。




