203 忙しい朝チュン
佳奈美お家デートをした次の日の朝。
柊はいつも通り太陽の光で目を覚まし、隣でぐっすり眠る恋人の姿を見た。
「おはよう、佳奈美」
「……」
小さく、スローテンポの吐息が胸に当たる。身体を寄せて気持ち良さそうに眠る恋人の寝顔に目が吸い寄せられる。
「今日も可愛いな。いつも通り見惚れちゃうよ」
一応言葉に出して褒めておく。そっちの方が万が一起きていた時に効果的だから。
まあそういう側面もあるが、これには柊なりの気遣いが現れている。簡単に説明すると、昨晩色々あって佳奈美には今まで以上に心の内を話してあげようと考えるようになったというわけだ。そっちの方が向こうは安心できるし嬉しいらしいから。柊は完全に佳奈美に惚れてしまっているから彼女の頼みを断れるはずが無い。つまり昨晩は色々と大変な夜だった。
「ん……」
彼女は少しだけ身体を動かした。すると昨晩付けた首筋のキスマークが目の前に現れた。
柊は自然とその部位に触れ、佳奈美に愛を注いだ。
「佳奈美は一生俺のものだからな。もちろん逆もそうだけど」
身体のあちこちに付けられたキスマークを見ながら苦笑いをする。しかしそれは彼女の愛が大幅に大きくなる予兆ということは前世からの学んでいるので、柊からすればとても嬉しいことなのである。
まあ彼女がこういう時期に入ったら消えそうになったぐらきでまた新しいのを付けられて色々大変なのだが。しかし今日はとりあえず大丈夫だろう。一応休日だし、外に出なければ何とか__
「ん__???」
ふとカレンダーに目を向けてみた。そしてスマホで日付と時間を確認する。
今日は月曜日。時間は七時半。
…………。
「え!?月曜__!?」
スマホとカレンダーを二度見する。しかし今日が登校日である事実は変わらなかった。
咄嗟に身体を起こし、隣でぐっすり眠る佳奈美を急いで起こす。
「ちょ__佳奈美!!!起きてくれ!!!」
「ん〜…??もお…朝からなんて柊は元気だね…♡」
「何言ってんだよ!?早く起きないとマジで遅刻するぞ!?」
「遅刻…??今日は休みじゃ__」
目を擦る佳奈美にスマホを見せてみた。そして食後に佳奈美の顔が青ざめていった。
「え…今日学校なの!?」
どうやら佳奈美も勘違いしていたらしく、珍しく焦りの表情を見せ始めた。
「早く準備しないと!!本当に遅刻しちゃう!!」
「だよな…。でもさ…」
ふと佳奈美の首筋に手を当てた。
「コレ…どうする…?」
「あ…」
佳奈美も柊の上半身を見て全てを察した。昨夜は熱い夜になりすぎたあまり普通に人に見えるような場所にもキスマークがついている。特に柊は首だけでも五箇所ぐらいは見えそうな場所にキスマークがあって、このまま急いで準備をするとなるとコレを隠す時間が無いのだ。
急げばギリ学校に間に合うかもしれないが、間に合っても待っているのは地獄でしかない。二人は判断を迫られていた。
「…まあそのままでも一応どうにかなるんじゃない?どうせみんな私に付けられたっていうのはわかるだろうし…」
「そういう問題かなあ…」
キスマークがあること自体が問題な気もするのだが。このままだと二人はそういうこともしているのがバレてしまう。特に学内のアイドル的存在の佳奈美はかなりイメージダウンしてしまうだろう。
まあでも彼女からすればそんなことはどうでも良いのだろうが。他人よりも圧倒的に柊のことの方が大事だから。
「まあとりあえず早く準備しよっか…!キスマークをどうするかは行きながら考えよ?」
「そうだな…頑張れば歩きながらでも消せるしな」
最悪絆創膏になりそうだな…。どうせみんなにバレるから無意味な抵抗ではあるが。しかし最後の足掻きとしてそれぐらいはやりたい。
「じゃあ俺は急いで家に__って、そういえば真っ裸だったな」
佳奈美の部屋を出ようとしたあたりで自分がパンツしか履いていないことを思い出した。流石にこのままはまずいので急いで服を着始める。
てか佳奈美の親は何で起こしに来なかったんだろう?我が娘が遅刻しそうになっているのは分かっているだろうに。
でも理由は何となく想像がつく。そうであって欲しくないと願いたいけど、ほぼ間違いなくこの理由だろう。そう、二人がイチャイチャ朝チュンしているのを邪魔しないためだろう。




