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隣の美少女が元嫁にしか見えない  作者: くじょーさん


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201/230

201 なんか意味が違う


 ムニムニ__。


 フニフニ__。


 柔らかいな。とても心地良い。


 どうせならこのままずっと眠っていたい。そう思えるぐらいにその柔らかいものは安心感をもたらしてくれた。


「ん…朝…?」


 目の隙間に入ってくる光を感じ、今が朝だということを認識する。

 だがしかし、それと起きれるかはまた別の話だ。


「あとごふん…」


 今日は休日だ。別に二度寝したところで誰にも怒られない。であればこの心地良さに身を任せ、暫くの間身体を休めていたい。

 そう感じた(しゅう)は寝ぼけたまま柔らかいものに顔を埋めた。


「ひあっ__!?」


 何か声が聞こえた。しかしそれは柊にとって関係のない事。この至福の二度寝を邪魔できるものなど誰もいないのだ。


「も、もう…♡そんな朝から積極的に…♡」


 まだ寝ぼけていてあまり理解できないが、多分女の子の声が聞こえてくる。


 じゃあ佳奈美(かなみ)だろうか?いやでも昨日彼女とお泊まりをした記憶がない。では昨日会った人といえば…?


(さなさん…?)


 いや寝ぼけていてもその可能性はないことぐらいわかる。流石に彼女がいるのに知り合いの女性と同じベッドはマズイだろ。


 じゃあ沙奈(さな)も違うか。女の子で同じベッドで夜を過ごすような人…。


「(かあさん…?)」


 可能性としては一応あり得る。でも我ながら母と同じベッドで寝るなんてことをこの年齢でやるとは思えない。でももう他に誰もいないぞ?こんな柔らかくて良い匂いがして温かい人物なんて他にいるはずが__


「柊…?」

「…んあ…?」


 あれ、なんだろう。すごく聞き覚えのある声が聞こえてくる。


 というかよく考えてみればこの柔らかい感触は昨晩にも感じた気がする。それにこの大きさ、この匂い。柊の記憶の中でそれが当てはまる人物は一人しかいない。


「姉…さん…?」

「はい♡あなたのお姉ちゃんですよ〜♡」


 ツヤサラで長い黒髪。人を魅了する青い瞳。男を誘惑させる白い肌。男からすれば完璧な美少女。


 そんな女の子が同じベッドで目を覚ましたが、柊からすればそれは別に特別な状況でもない。むしろ慣れ親しんだいつもの朝である。


「おはよ…」

「おはようございます♡私の胸はよく眠れましたか?♡」

「ああ…温かいし柔らかいからめっちゃ寝心地よかった」

「ふふ♡光栄です♡」


 ちなみに柊はまだ寝ぼけている。だから普段はスルーするような質問にもすぐ答えてしまう。


「ちなみに先ほどお母さんのことを呼んでいたみたいですが、どうかしたんですか?」

「ん…?全然覚えてない…」

「そうですか。もしかして私がお母さんみたいに見えましたか?♡」

「そうかもなー」


 まあ何というか、彼女からは母性というものを感じる。もちろん花音(かのん)は子供を産んだことなんて無いのだが、なぜか柊に対しては母親的な立場になる時がある。

 一応普通に理解不能だが、今の柊はそんなことを考える余裕すらない。つまりそれは花音からすれば隙だらけというわけだ。


「私がお母さんということは、柊は赤ちゃんですね♡ミルク飲みますか?♡」


 人が眠気でボケているのに何を言ってきているんだこの人は。まあ柊にそこら辺を判断する能力は無いのだが。


「ミルクティー欲しいなー」

「なるほど…じゃあ先にミルクだけ飲みますか?♡」

「…………ドユコト?」


 ようやく理性が戻ってきた。一気に疑問が大きくなる。


「ミルクだけ先に飲んだら意味ないだろ」

「でもお茶は下に行かないと作れませんし…せっかくですからベッドでゴロゴロしながらミルク飲みませんか?♡」

「いやゴロゴロしながらミルクは無理だろ」


 流石に溢れるだろ。そう考えての返だったのだが、花音は当然その上を行く。


「私が膝枕をすれば良い感じに飲めると思いますよ?♡」

「…なあ、もしかしてだけど…」


 何かを察してしまった。しかしこれを口にしてもし違っていたら気まずいので一旦逃げることにする。


「いややっぱ何でもない」

「えー?♡何を言おうとしたのか気になりますー♡」

「絶対言わん」

「意地悪です〜♡」


 本当に母親になれると思っているのか。そう思ってしまうぐらいに子供らしい返しをしてくる花音であった。


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