第12話 自由への逃走
プレッサ「小学校で上級生と喧嘩した時にきづいた」
テグラ「ああ…アジャ連邦立大付属小から転学処分を食らったあれか」
プレッサ「それより今日の夕食はどうする?」
テグラ「俺はその前に温泉に入ってくる。10分位で済ますからウリボーで待っててくれ」
ウリボーというのは2人がこれから行くレストランの店名の略称で、正式な店名は、ウマイリコボーノ。
プレッサ「わかった」
時刻は20時17分。テグラは2階にある温泉に向かい、プレッサは2階のウリボーへ行く。テグラは色々な手続きや準備を済ませて浴場に入る。そして入浴の前にする事を全て終えて入浴したところで、ムゲンゾウに話しかけられ、入浴を終えるまでこんな会話をした。
ムゲンゾウ「テグラ、なんでチェプ使わなかったんだ?」
テグラ「エクアが呪文を唱えていた事に気付かなかっただけです。同じ事を他の人にも言われました」
ムゲンゾウ「何でいちいち敬語使うんだよ」
テグラ「マガボール人は言葉づかいに厳しいて聞いたことがあるんで」
ムゲンゾウ「確かにそうだが、俺は後輩に気を使わせたくないから、気にしないようにしてるだけだ。後俺は正確に言うとマガボール区系陸生種とサミ区系陸生種の混血で、マガボール帝国とスカイライン王国の二重国籍だ」
テグラ「でもなんでマガボール帝国の代表入りを辞退してるんだ?」
ムゲンゾウ「W杯に出るだけなら二重国籍者は弱い国を選んだ方がいいが、俺は優勝したいから強い国で代表入りを狙ってるんだ。それと俺が優勝したい理由を聞きたいか?」
テグラ「ああ」
ムゲンゾウ「俺のは大した理由じゃないけどな。俺の両親は共に料理人なんだが、俺が1歳の時に店で客同士の喧嘩が起きて、それを止めようとした父ちゃんがナイフで刺されて死ぬ事件が起きた。それから母ちゃんはガーダーをさらに増員して、俺にもガーダーをつけるようになったが、そいつらは『あなたはいずれ料理人になって店を継ぐので手を怪我されては困ります』とか言って、手を怪我する可能性がある遊びをやろうとしたら邪魔するんだ。そして10歳になってから俺は料理人になる為の修行をさせられるんだが覚える事が多すぎるし、そもそも料理人になりたいとか思ってないから嫌気がさして、分身の奇力を使って何度も逃げようとしたが、その度に母ちゃんに捕まって家に連れ戻されてたんだ」
テグラ「なんで料理人にならそうとしてたんだ?」
ムゲンゾウ「母ちゃんはマガボール帝国の都オデ出身で、先祖代々長子が料理人を継ぐという家訓がある厳格な名家の生まれだからだ。後言い忘れてたが父ちゃんは婿で、海外1号店をスカイライン王国の首都アイラティに出店した年にその店で働いていたんだ」
テグラ「も、もしかしてムゲンゾウの本名は、ムゲンゾウ・ショク・ドー?」
ムゲンゾウ「ああ」
テグラ「そうなのか。じゃあW杯で優勝したい理由は何なんだ?」
ムゲンゾウ「あの時はどうすれば逃げられるかを考えてただけで、アジャ式格闘技の選手になることすらも考えてなかった。だが14歳の時に真冬の夜中に家出したら上手くいった。それから俺はどうすれば治安維持組織に見つかりにくいか考えた結果、サミ区北部にあるアイッスル王国へ向かう事にしたが、冬だったからスカイライン山脈を東側から迂回することにした」
テグラ「治安悪い国で家出なんてよくできるな」
ムゲンゾウ「だが1つ問題が起きた。妹がついてきちまったんだ。俺はその後国境がある州の直前の州まで来たが、そこで財布を盗まれて金がなくなった。仕方ねえから獣や鳥や魚や山菜を取って闇市で売ったりして金を集めた。だが14歳未満は大人が同伴しないと越境不可という事を知り、15歳になるまでその街に留まる事にした。そして春になった頃闇市で集団窃盗事件が起きたが、俺が奇力を使って犯人を一網打尽にしたことで、闇市を仕切る半グレ集団に入れる事になった」
テグラ「半グレ集団に入るのはまずいとか思わなかったの?」
ムゲンゾウ「まずいとは思ったが、その組織のリーダーは『俺たちは善良な市民には合法的な商いをして、悪い人にだけ詐欺やぼったくりを仕掛けるだけだ。しかも俺たちは治安維持組織とのパイプがあるから問題ない』と言われたから入る事にした」
テグラ「その後はどうなるんだ?」
ムゲンゾウ「夏頃に俺たちに騙された別の半グレ集団が、俺たちの縄張りの公園に現れて乱闘になった。俺は仲間がやられないようにする為、分身を沢山だして応戦した。そしたらその半グレ集団から背の低いやつが出てきて俺が相手をしたんだがボッコボコにやられた。その背の低いやつってのがショーだったんだ。でもそいつらも俺たちと同じように、悪い人にだけ詐欺やぼったくりを仕掛ける半グレ集団ということが分かったから意気投合しちまって、同盟を組む事になったんだ。だが秋頃になって双方のリーダーが殺される事件が起きた。すぐに新リーダーを決める選挙をしてリーダーが決まったんだが…」
第13話へ続く




