第11話 妹
テグラ「はい。でも誰を雇うか決まって無いので11月~1月のシーズンオフの時期に探そうと思います」
警備スタッフ「そうですか。それとテグラさんの父は有名な方なんですか?」
テグラ「はい。でも名前は人に教えたらダメだと言われてるので言えません。あと気になることがあるんですが、試合中以外でも、魔殻を出した状態を維持してる選手がいるんですが、あれは…」
警備スタッフ「あれは魔力残量が少ない状態で魔剤を服用すると最大魔力量が増える現象を利用して、最大魔力量を増やすトレーニング法の一種で、アジャ式格闘技選手に限らず治安維持組織でもやってます。最大魔力量は若い人ほど増え易く、40歳以降は増えなくなるので、長く働くにはこのトレーニング法を若い時にやっておく必要があるんです。30代でも魔力は増えますが運動能力や肉体強度の低下で、ダメージを軽減したり威力を増幅したりするのにも、20代の頃よりも強い魔殻を出さないといけないんです。ただ、軍から無償で支給される魔剤は一部の軍人以外は1人あたり週12本までなので、これ以上やるには自費で大量の魔剤を買う必要があるので金がかかります。あ、もうあと1分ほどでホテルに着きますよ」
テグラ「治安維持組織専用空域と飛行車を使うとこんなに早く着くんですね」
警備スタッフ「はい、でも一般市民や運送業界からは『治安維持組織だけが渋滞回避して俺たちが渋滞にはまって泥棒に狙われるなんて不公平だ』とかいう批判もあるんですよ。あ、それと、さっきテグラさんが言ってた魔殻を出した状態を維持してる選手って、ビリーとエクアの事ですよね?」
テグラ「はい」
警備スタッフ「ビリーさんはあの体格で奇力の応用による筋力増強をする為、魔殻を出しておかないと体を痛めてしまうらしいです。そしてエクアさんは水生種で骨が弱いので陸上では魔殻を出し続けないと骨折するらしいです。あ、もうホテルに着きましたね」
飛行車がホテル11階の屋根付きの乗降ゾーンへ入って停車した後、テグラは飛行車を降りると、
テグラ「ホテルまでの送迎ありがとうございました」
警備スタッフ「あの、良かったら名刺もらいますか?」
テグラ「あ、俺名刺まだつくってないんですよ」
警備スタッフ「ランク二桁台ならネットを調べれば情報は出てくるので問題ありませんよ」
テグラが名刺を受け取ると、
警備スタッフ「ありがとうございます。では僕はここで失礼します。さようなら」
警備スタッフは飛行車に乗りホテルを後にする。時刻は20時13分。テグラは11階以上の階の宿泊客である事を証明する書類を検問の職員に見せて検問ゲートを通過し、階段を通って2階まで降りる。そして廊下に出ると…
プレッサ「お兄ちゃん、私来季のZ01に出られる事が決まったよ!」
テグラ「Z01の1回戦の相手はWR1だぞ。プレッサが勝つのはほぼ不可能に近い」
プレッサ「やってみなきゃわからないじゃん」
テグラ「Zデビュー戦でWR1に勝てた人は3931年のワイル以降現れていないぞ」
プレッサ「3931年っておばあちゃんが生まれた年じゃん。てことは私が勝てば69年ぶりの快挙により世界中から注目された私に大量のCM出演依頼がきてギャラが沢山入るから、固定資産税の納税だけでなく、島に農場や工場を造って、お城まで造ったり…」
テグラ「プレッサは何のためにアジャ式格闘技やってんだよ」
プレッサ「私は一生好きな事だけをやって暮らせる位の金を稼いで、のんびり暮らしたいからやってるだけだよ」
テグラ「W杯を制覇するとかいう目標はないのか」
プレッサ「アジャ式格闘技の選手はW杯優勝を目指さないといけないなんて決まり無いでしょ」
テグラ「言っとくけどプレッサの目的を達成する為にはW杯で優勝するのが最も早い方法だ」
プレッサ「128位じゃW杯は出られないよ」
テグラ「個人戦は無理だが国別対抗チーム戦なら可能性は僅かに有るぞ。チーム戦は16の選手枠があって、男子8枠中6枠と女子8枠中6枠は個人戦とペア戦のランキング点合計で決まるが、後の4枠はその国のW杯代表選出歴のある人達による投票で決まる」
プレッサ「さっきランキング点調べたら女子で私よりランキング点が多いナハナハ代表招集資格者6人もいたよ。男子もお兄ちゃんよりランキング点が多い人6人いるよ」
テグラ「俺もチーム戦に出られるかは微妙だ。それと明日のペア戦のデータを集めていないようだが」
プレッサ「ペア戦は来季から頑張ればいいでしょ?」
テグラ「そういうなら仕方ないけど来季からは真面目にやれよ」
プレッサ「来季は真面目にやるよ」
テグラ「そうか。それともう一つ聞きたいが、魔殻で動きを読まれにくくできる事をエクアから教えてもらったけど、プレッサは魔殻で動きを読まれにくくできる事は知ってたのか?」
プレッサ「え!?こんな事も知らなかったの!?」
テグラ「知ってるなら何で教えないんだよ」
プレッサ「知らないと思わなかったんだもん」
テグラ「どうやって知ったんだ?」
第12話へ続く
ホテルの構造
5~9階は4階と同じ構造
12階は3階と同じ構造
高さは1階あたり5m。地下1階は全てのエリアが水で満たされていて、水生種や水生種の混血者で水中でも呼吸ができる人のみが入れる。
図の色の説明
黒色は壁(場所によっては窓や扉がある)
青色は金網や人の顔が見える程度の高さの塀などの、空間を完全には遮らない構造物
薄灰色は扉
オレンジ色はエスカレーター
濃いオレンジ色は階段
薄いオレンジ色はエレベーター
白色はその階の天井が存在しない場所
水色は地下1階は水質維持設備等。2階以上のはその階の床と天井が存在しない場所
濃い水色はその階の床が存在しない場所
灰色とこれから後述する色のエリアは天井と床がある
黄色のエリアは電力系統エリアで、ホテル内の電力を制御している。地下1階の水質維持設備の一部はここに繋がっている
緑色のエリアは商業エリアで、店舗等が入っている
紫色のエリアは自販機/喫煙室エリア。地下1階は水で満たされている為、購入ボタンは水に浸からない天井付近にあり、押すと1階から商品が送られる
赤色エリアは宿泊部屋エリア
2階に飛行車や乗用魔器の乗降ゾーンとホテル入口の回転ドアがあり、ドアを抜けた先にある検問所を抜けると、チェックインカウンターがある。11階は11階以上の階の宿泊客専用の乗降ゾーンと検問所がある。2階と1階の間にある階段・1階と地下1階の間にある階段、10階と11階の間にある階段にも検問所があり、客が2階から13階まで続くエレベーターで11階以上の階に行くには、11階以上の階の宿泊部屋の鍵か11階以上の階にある店の来店許可証が必要。




