第10話 表彰式 後編/帰路の車内
司会者「次はルミエ選手に話をお伺いいたします。また準々決勝で負けてしまいましたが、どう思っていますか?」
ルミエール「お前ふざけんな!そんなこと聞かなくても悔しいと思ってることぐらいわかるだろ」
司会者「すいません。あともう…」
ルミエール「もういい!」
司会者「すいません。では、次はビリー・インパルス選手に話をお伺いいたします。準々決勝で惜しくも破れてしまいましたが、何故奇力封印装置を押さなかったんですか?」
ビリー「W杯に出るのは決まっていたから、ファンを楽しませる事を考えて戦ったんだ。僕のインタビューは以上です」
司会者「ありがとうございました。次はANEIM選手に話をお伺いいたします。今日は想定外の試合順の変更で調子が崩れた様に見えましたがいかがでしょうか?」
ANEIM「早く試合したいのに試合順変わるとかいいかげんにしてほしいよ。もう喋りたく無いから次いって」
司会者「ありがとうございました。次はテグラ選手に話をお伺いいたします。初のベスト4、そしてW杯の個人戦への初出場決定おめでとうございます」
テグラ「ありがとうございます。ただW杯は60分戦うルールなので、それまでに持久力を鍛えておこうと思います」
司会者「それと先程発表されたWRを調べたんですが、あなたの妹であるプレッサ選手がWR128で、来季のZ01初戦でWR1と対戦することになりましたが、何か一言ありますか?」
テグラ「即KOされないように頑張れよ」
司会者「ありがとうございました。次はスアリ・エクア選手に話をお伺いいたします。今回の準優勝でWR3に上がりましたが、何か一言ありますか?」
エクア「W杯では優勝出来るようにします」
司会者「ありがとうございました。では最後に、今大会の優勝者、ショー・ドシマ選手に話をお伺いいたします。試合が残っているにもかかわらず、外で食事を済ませてスタジアムに戻る途中で、ひったくりの犯行を目撃して、犯人を捕まえるなんて凄いですね」
ショー「僕は困った事に遭った人を見たら助けるという当たり前のことをしただけです。他に聞きたいことはありますか?」
司会者「ショー選手は明日の最終日のペア戦にも出る予定で、優勝すればペア戦でもW杯出場が決まりますが、やはりあれを狙っているんですか?」
ショー「とりあえずは三冠王取れるように頑張ります」
司会者「ありがとうございました。選手へのインタビューは以上です」
こうしてZ11の5日目は終わった。
表彰式を終えたテグラは、控室の片付けを20時頃に完了し出場選手用の駐車場へ向かう。駐車場に出ると、
警備スタッフ(男性で年齢は23歳位)「テグラさん、お疲れ様でした。雨が降って来たので飛行車での移動になりますがいいですか?」
テグラ「ありがとうございます」
このスタッフはアジャ連邦軍から派遣された警備スタッフだ。大会期間中は選手は移動時や外出時に治安維持組織の護衛が付き、治安維持組織専用空域を飛行して移動するが、その移動時に選手が乗る乗り物とその前後左右上下の計7人の護衛が付く。選手のランキングが高いほど強い警備スタッフが付く。ここで警備スタッフはポケットから棒状の端末を出し、近くの路面に向かって光線を撃つとそこに飛行車が出現し、テグラはその飛行車に乗る。飛行車は自動操縦だが、万が一の非常時にも対処出来る様に必ず警備スタッフが乗ることになっている。飛行車は離陸しホテルヘ向かって行く。今回泊まるのは富裕層の住む地域に近い一般商業地にある六角包というホテルで、13階建てで外観は六角柱型。すると、
警備スタッフ「あの、さっきの試合なんですけど、チェプを使えば勝てた可能性ありますよね?」
テグラ「ああ、ルミエも同じ事言ってた」
警備スタッフ「治安維持組織は僕が勤めている軍も含めて魔球の使い方は徹底的に叩き込まれます。敵がマジで殺しにくるような奴らだったりするんでね。治安維持組織はアジャ式格闘技で使用禁止の等級Sの魔球も使うんですが、これがすごい威力で、炎の魔球なんて爆発が起きて炎と熱風がきますよ」
テグラ「それくらい知ってますよ。去年のS級魔球試験受けて不合格でしたけど」
警備スタッフ「なぜ受けようと思ったんですか?」
テグラ「護身の為には必要だと思ったからです」
警備スタッフ「今回の賞金額ならガーダーを雇えますよ」
テグラ「個人が私的に人を雇えるのは、年度初日の11月1日時点の年齢が18歳になる年度からなので、11月になればできるんですが、優秀なガーダーはランク上位の選手達が高い報酬を出して雇うから、ランク上位を維持しないと優秀な人は雇えないんです。民間警備会社に頼む方法もありますが民間警備会社も金を稼がないといけないので、多数の選手を抱えるジムと交渉した方が効率がいいので無所属の選手はあまり相手にしてくれないんです。俺の父さんは無名の若手の頃はガーダーを雇う為に、大学の戦闘学部の卒業予定者や退役軍人を勧誘して、マルチワーカーという形で雇ってましたよ」
警備スタッフ「という事は今季が終わったら雑務をする人を雇うんですか?」
第11話へ続く




