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たった1人の英雄奇譚   作者: 葵流星
第五章「誇りと綻び」
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「プレイボール♪」

「それじゃあ、私はここで。」

「ああ、お疲れ様。」

「じゃあね、玲奈。」


辺りはもう暗くなっていた。

青紫の空はどこか怪しげだ。

今日も雲が見当たらない。

白色を放つ街灯はただ悲しいだけだ。

早く帰ろう。


「・・・・・。」

「・・・ねえ?。」

「なんだ?。」

「後悔してない?。」

「そんなことはない。」

「・・・そう。ありがとう。」


後悔はない。

ただ不安がある。

これからどうなるのかだ。

どうやらこの統合戦技生とやらは俺が考えている以上に厄介なものらしい。

覚悟はできている。

なんて言えるわけない。

だけど自分が出した答えに依存はない。

ただ前に進むだけだろう。

いつものように。

まあ、ただ流されているだけなんだろうけど。


「なあ、アレクシア?。」

「なに、慎也?。」

「これからよろしくな。」

「なによ、もう。」

「いいだろ別に、帰ろうか。」

「ええ、急ぎましょう。」


・・・・・。


・・・・・。


「・・・はあ。」


風速、温度、湿度問題なし。


目標、確認。


不備無し。


彼は、遠くから見ていた。

どこからでも当てられる。

視界に目標がいれば、なおさらだ。


「・・・やりますか。」


後には引けない。


実行(エンターキー)を押すだけだ。


「・・・・・。」


彼は、口に入れた。


視界がクリアになる。


時間は残り48時間。


それまでに片づければいい。


「目標、確認。いっけ。」


彼は、それを全力で投げた。


外れるはずはない。


これはそういう力だ。


「・・・どうだ。」


「・・・・・命中か。」


赤いマークがそこについた。


「・・・行こう、まだ足りない。」


そして、彼は歩いて行った。


逃亡だろうか。


それは、罪ではなく後ろめたさかもしれない。


・・・・・。


・・・・・。


「それで、紗奈はいつも俺に・・・。」


アレクシアと雑談をしながらゆっくり帰り道を歩いていた。

とくに話すことはないため他愛のないことをさっきから話している。

アレクシアはそれをただ笑って時に質問をしてくる。

まあ、だんまりよりは気が楽なのだが。

っと二人で歩いていると・・・。


「ん?。」


何かが目の前を横切った。

何だろう。

黒かった。

するとそのあと。

何かを叩きつけたような音がした。

すると、俺とアレクシアの前を横切って歩いていた男性に当たった。

すると、その男性は膝から崩れ落ちていった。


「大丈夫ですか?。」


アレクシアがそう話かけたときアレクシアの顔は驚愕を瞬間的に表した。


「・・・慎也!隠れて!。」

「・・・っ。」


何かわからないがとっさに左側にあった家の塀に身を隠す。


「・・・慎也、これを飲んで。」


アレクシアから白いタブレットのようなモノを受け取った。

手渡しくれてもいいのにと楽観的に考えていると。


「なにしているの?早く。」

「これは?。」

「気付け薬よ、噛んで。」


いわれるがままに俺はタブレットを噛んだ。

なんか冴えた気がする。


「なあ、アレクシア?。」

「敵よ、周辺を警戒して!。」

「・・・わかった。」


腰からベレッタを取り出す。

いつでも撃てるようにロックを解除する。

いったい何が・・・。


「アレクシア・・・。」

「なにしているの?早く!。」


そういうアレクシアをよそに俺は崩れ落ちた男性を確認しようとするとアレクシアが目の前に来て、男性を隠した。


「・・・アレクシア?。」

「ダメよ、助からないわ。応援を呼ぶ。あなたは向こうにテープを貼って。それくらいできるでしょ。」

「わかった。」


俺は左側から回り込むことにした。

アレクシアを通りすぎるとき何か白いものが見えた。

タバコだろう。

目がかすんでいる。

薬の作用だろうか。

走る、構える、歩くの繰り返しだ。

そして、アレクシアに言われた通り、赤地に白色で立ち入り禁止と書かれたテープを電柱に巻く。

すると、やじ馬が集まってきた。

彼らどうした、何があったっと呟いたり、スマートフォンをいじったりしている。

何度かテレビでは見たことがあるが迷惑だな。

警察側は。


「通してくれるか?。」


やじ馬の中からその人はこっちに来た。

お世辞にも若いとは言えない、禿頭の男だ。


「ああ、統合戦技生か?何があった。」

「あなたは?。」

「同じだよ。ほら。」


そう言ってバッジを見せてきた。


「慎也?。」

「アレクシア。」

「近くにいたもので連絡を受けて応援に来た。状況は?。」

「既に死んでいます。凶器はそれかと・・・。」


アレクシアはひび割れているアスファルトを指した。

同心円状に広がっている中心には黒い玉がある。


「そうか。君はドイツから来たのか?。」

「はい、そうです。彼は、今日が着任初日なんです。ですので・・・。」

「ああ、そういうことか。災難だね君も。」

「いえ・・・。」

「薬は飲ませているのでしばらくは大丈夫です。しかし・・・。」

「ああ、まずいな。早く、来てくれるといいが・・・。それにしても惨いな。」

「はい。」

「上が無くなっているな・・・申し訳ない。」

「いいえ、まだ見せてはいませんので・・・。」

「・・・・・。」


アレクシアと男性が話している。

なんについてだろうか・・・。

それと、体が重くなってきた。

いつ、警察は来るのだろうか・・・。

・・・救急車ではないか。

あそこにあるのは・・・。

・・・死体なのか。

最悪だな・・・。


・・・・・。


・・・・・。


しばらくして遠くからサイレンの音が聞こえてくる。

警察が来たのだろう。

パトカーから人が降りてくる。

あれって・・・。


「おっ、慎也じゃないか。」

「お久しぶりです。」


神田正行・・・。

隼人の父親だ。

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