↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
9/18

はちゃめちゃめします

   ◆◇◆◇◆


 アミューズ1に行った次の日、私は登校していた。ちなみに私が通うのは、七里ヶ浜にある爽波高校。


「私、知ったんだよね――」


 私は、ノートパソコンで、恋愛ゲーム『はちゃめちゃメモリーズ』を起ち上げる。

 私は江の島電車に揺られながら、ノートパソコンの電源を入れた。

 窓の外には視界いっぱいの水平線――今日も七里ヶ浜の海は、光の粉に輝いて、サーファーが遠くに見える。

 秋の空は、昂(たか)く澄んでいた。


「こういう、男性がやる恋愛ゲームをプレイすれば、女の子とお出かけできるんだよ。そして恋愛レベルで女の子をデレさせられるなら、友達をデレさせるとか余裕っしょ!」


 はちゃめちゃメモリーズは、メイド喫茶が舞台のゲーム。


 登場する女の子と仲良くなると、一緒に出かけられる。女の子と遊びに行けるゲームとか、最高か?


「これで友練(ともれん)も完璧!」


 え、「友錬ってなんだ?」って?


 友達と遊びに行くシミュレートをする練習!

 という訳で友錬開始!


「あっ、千代田(ちよだ) 澪(みお)ちゃん~」


 今日も私は、澪ちゃんに日本円を注ぐ。

 今日の課金は、ビタンのバッグ。

 これをあげると、澪ちゃんと、よくお出かけできるんだー。


『わぁーーー、鈴咲さん、嬉しーーー! こんなに高い物いいんですかぁ~?』


 あっ、なるほど、プレゼントを貰ったらこんな風に反応したらいいのか。


 あっ、選択肢が出た。


⇛もちろんだよ。

 君の笑顔に乾杯。

 やっぱ返して。


「流石に返しては無いから・・・ここはカッコよく、君の笑顔に乾杯」


『あははっ、鈴咲さん、おもしろーい!』


 やった喜んでもらえた!

 でも、今回はお出かけイベントは無しかぁ。もっと好感度を貯めないと。


 と、ここで車内アナウンス。『次は七里ヶ浜、七里ヶ浜で御座います――』あっ、降りなきゃ。




 さて、ここからがコミュ障にとっての血と汗と涙の時間――学校に裏門から入って教室へ、


「・・・・お、おはよう」


 私が言いながら、教室に入ると緊張感が走る。

 ・・・う。

 私ってば、配信者として、妙に有名人だから〝配信者様〟みたいな特別扱いなんだよね。

 クラスの特殊枠で、なんかクラスメイトとの距離が遠い。


 まあ私が、人間怖くて、近づけないっていうのも大いにあるんだけど。

 人間ってお化けみたいに怖いんだもん。人を取って食うじゃん、あの生き物。

 それでも、挨拶くらいはする。

 だめだ空気が重い。


「涼姫、おはようございます!」


 私がMPをガリガリ減らしていると、後ろから声。――私の友達が来てくれた! 助かった!

 私、コミュ障だけど友だちがいるんです! フェイテルリンクのお陰でボッチは卒業したんです!

 そんな私の友達の1人がこの方、八街 アリス! そう、一色 アリスの中の人!


 イギリス生まれで、金髪、碧眼。モデルをやってる美人さん。

 その美人の様相を例えるなら、青空の下で陽光に輝く、満開の金木犀(キンモクセイ)。

 そろそろ海開きも終る時期で秋だし、昂い空がよく似合いそう。


「アリスぅ」


 人間が怖いコミュ障にとって、教室という人間の詰め物は、最早お化け屋敷。

 私は、心のなかでクラスメイトに失礼をかましながら、不安からアリスに泣きつく。

 今日はアリスが剣道部の朝練で、一緒に登校できなかったんだ。

 寂しかったよぅ。

 私が抱きつくと、アリスがなでなでしてくれた。


「涼姫は毎日、大変ですねぇ」


 アリスが、窓際の席まで手を引いてくれる。 


 窓の外は海と空で青一色。今日は雲一つない快晴。この辺りは海に浮かぶ島も無いから本当に、青一式。

 この学校、景色は良いんだよなぁ――ただ立地条件が、ステータスを輝きに全振りしてるせいで発生している問題がある。すなわち陽キャが多すぎ問題。


 アリスが、私の前の席の子(今は廊下側で友達と談笑している)に「天瀬さーん、椅子、借りていいですかー?」と尋ねる。

 流石のアリスの心遣い。教室に自分の席しか場所のない私みたいなボッチは、自分の椅子を勝手に使われると行場を失い、さすらいの旅にでないといけなくなる。天瀬さんには友達いっぱいいるけど。

 ジュースとかを買いに――てかもう、椅子の使用料としてパックジュース代くらい置いといて・・・・そしたら私が朝いなくて、椅子を借りていいか聞けなかった感じでも、旅費にするから。

 天瀬さんから「いいよー」という返事が返ってきた。

 アリスが「ありがとうございますー」と返したので、私も会釈でぺこり。アリスが椅子を借りたのは、私と話すためだから、私もお礼を言わないと。

 私が視線をアリスに戻すと、アリスが〈時空倉庫の鍵〉という、どっか別次元と繋がっている道具袋から何かを取り出した。ちなみに〈時空倉庫の鍵〉の本体は透明な腕輪型。


「あっ、涼姫これ、体育館土産の爽やか炭酸です」


 どうやら渡り廊下の自販機で、炭酸ジュースを買って来たらしい。

 ちなみに以前、この学校がこの炭酸ジュースの宣伝CMの撮影で使われたから、このジュースが自販機に追加された経緯がある。

 CMの主演は眼の前の八街 アリス――つまり一式 アリス。私はCM撮影で彼女を見て、心を射抜かれた。高校生になって、アリスと私が言葉を交わす前のできごと。

 んで、私がフェイテルリンクの世界でパイロットしてたら、アリスが「スウさん、操縦技術が凄すぎます!」って友達になれた。――でも、あの頃の私は、友達になっての告白で「OK」を貰わないと友達になれないって思い込んでたから、友達だって気づいてなかったんだけど。


 アリスがCMに出てたこのジュースは、私の大好物。

 そうだ、丁度プレゼントを貰ったし、アレをやろうかな。さっき澪ちゃんに教えてもらった、プレゼントを貰った時の話術。


「わぁーーー、八街さん、嬉しーーー! こんなに高い物いいんですかぁ~?」


 アリスが頭上に「?」を生やし首を傾げた。


「あははっ、八街さん、おもしろーい!」


 アリスが、少し慌てた。


「あ、あの・・・・どどど、どうしたんですか?」

「あ・・・・あれ?」


 何か違うみたいだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。