タイトル未定2026/10/04 20:04
私は、後ろにいるアリスに助けを求めた。
「へ?」
ペットボトルを自販機から取り出していたアリスが振り向いて、首を傾げた。
そうして金髪の男の子に気づく。
「ああ、マイルズじゃないですか」
「久しぶりだな、閃光」
閃光はご存知アリスの二つ名の「赤い閃光のアリス」の略称。ちなみにアリスはかつて最初のボスで、赤い機体で大活躍したから赤い閃光のアリスとか呼ばれてる。
他にも中学剣道で、金髪に袴を履いててそれが似合いすぎてたから、袴のアリスとかも呼ばれてたらしい。アリスの着こなしは最強。モデルだもんね、着こなしのプロだもんね、彼女。
ちなみにマイルズの二つ名は青き精霊。綺麗だけど、女の子みたいな見た目を揶揄した物らしい。ぷ。
「何を急に笑っている? スウ」
「いえ、なんでも」
「で、案内してくれるか?」
「せっかくアメリカから来たんだし、流石に断るのは忍びないけど――だが断る。アリスに案内して貰って」
「・・・え!? わたしですか!? わたし、今日は撮影なんですが!?」
「えっ!? なにそれ!! 困る!」
「困ると言われましても・・・・」
「まあ、無理にとは謂わないが・・・・」
マイルズがパンフレットで肩を叩いた。
だいぶ読み込んでるみたい。任務に就きながら読んでたのかな。楽しみにしてたのかな・・・・そして久々の休暇に鎌倉かぁ。
「わ、分かったよ、あない致すよ」
「本当か! 助かる!」
というわけで、マイルズとお出かけとあいなった。
涼姫ちゃんは、普通なら男性とお出かけなんて「部屋のスミでガタガタ震えて命乞いをする準備」をしないといけないけど、かなりの顔見知りなマイルズなら、ちょっと大丈夫。
「ちなみに、休暇の後、ボクは横浜基地へと転属になる」
「USSFなのに!? 横浜基地って、陸軍と海軍だよね」
「・・・・詳しいな。ボクはスキルがあるからな。必要あらばどこにでも呼ばれる。ダンジョンのせいだ。――今回はヴィクター大佐の舞台丸ごとの招集だがな」
「そっかぁ――じゃあ、まずは神奈川といえば」
「神奈川といえば?」
「生しらす丼」
「ふむ? シトラスみたいなのか?」
「ちがうちがう。白に子って書くの」
「タラの精巣か?」
「いや、同じ字だけど、しらすは読み方が違う、別物」
「珍しいな、同じ漢字で違う意味の日本語は」
「まあ、そうだけど。――よし、百聞は一見にしかず。すぐそこに、しらす専門店があるから行こう!」
「ほう。ちょうど良いな」
というわけで近くのお店へGo!
「ふむ。『生しらす有ります』と書いているが、ここはしらす専門店ではないのか? 普段は何を出しているんだ?」
「ラッキーだよ、マイルズ! しらすって足が速いから、普段はね、釜揚げしらすっていう湯通ししたしらすしか食べられないんだ! 今日は新鮮なしらすが入ったみたい! 生で食べられるよ!」
「なるほど・・・・そういうシステムなのか」
「うんうん、自然の魚だからね! ――他の地域の人なんか、乾燥させたちりめんじゃことか、行けても釜揚げしらすしか食べられないんだよ。生で食べれる場所は本当に少ないよ――神奈川でも、ここ江の島周辺くらい」
「日本はあんなに海に囲まれていて、輸送も発達していても難しいのか」
「うんうん」
ばんじゃーい!
あないそっちのけで、嬉しい私。
美味しいからね、生しらす!
というわけで入店、2人で生しらすを頼んだらまもなく丼が運ばれてきた。
マイルズが丼の中身をみて驚く。
「こ、この数の命をいただくのは・・・」
「あー、それ私も昔思ったんだけどさ。大きな生物を食べれば一つの命を奪うだけでいいじゃんって」
「だな」
「でも、その大きな生き物ってそれだけ小さな生き物を食べて体を維持してるんだよねぇ・・・って思ったら・・・変わらないかぁって」
「確かに」
「その上、食物連鎖の生き物の方が体を維持するのに沢山の栄養が必要だから」
「なるほど・・・体の大きな生き物を食べるほうが多く命をいただいている可能性まであるのか」
「うんうん」
ぷり! 甘! トロッ! 苦! 磯! を楽しんだら、その後、観光地巡り。
じゃあもう、七里ヶ浜付近の名所を全部紹介しちゃうぞ!
「ここが『究極のミストガルド』の舞台になった坂!」
「ほう、あの超美麗な作画で有名なアニメ会社のアニメか」
次は、っと!
「ここが『レイアップ!』のアニメOPの伝説の踏切!」
「なんだか観光客が多いな」
「もう観光地だからね!」
次は、っと!
「ここが、アニメ『青春ネコ野郎はシュレディンガーの箱にいない』とか『ポンピン』とか『HAKI-HAKI』とか『ヨサコイ』の舞台の――」
「スウ、ボクはさっきから、アニメの舞台ばかり案内されている気がするんだが・・・」
「――観光でしょ!? 他に何を望むの!?」
「いや、鎌倉といえば・・・・神社仏閣ではないのか?」
「わかったよぉ。じゃあ『やはり私の異能バトルはまちがっている』の主人公の八幡――」
「大仏はどうしたんだ。・・・・ボクは、もしかして案内を頼む人選を、間違ったのか?」
なんだよぉ、何が不満なんだよぉ!
そこでふと、海が見えた。
青く輝く相模湾。――あっ、そうだ。マイルズなら信用できるし。




