タイトル未定2026/10/02 18:57
◆◇sight:鈴咲 涼姫◇◆
探索者登録ついでに渋谷ダンジョンに行ったら、やたらモンスターが弱くて相手にならないので、一気に5階まで来てしまった。
すると、なんか女性がボス部屋で縛られて、ボスに襲われてたから助けたんだけど・・・。
「本当にありがとうございました!」
「ウチの娘が、お世話になりました!!」
家まで送ってあげると、東京の一等地に豪邸があって、親御さんまで出てきて頭を下げられた。
どうやらこの人、お金持ちみたいである。
「凄い家だなぁ・・・持ってんだなぁ」
リッカが和風な豪邸を見上げるけど。
「いえ、皆さんにはかないませんよ」
「スウはともかく、リッカちゃんは万年金欠なのだよ」
「ではお礼に、何か」
「いや、そういう意味で行ったわけじゃないんだけど。――えっと、実際のところ何くれるの?」
「・・・リッカ」
その後、リッカってばちゃっかり小切手貰ってた。
「贈与税掛かるんだから、注意しなよ?」
「ほーい!」
リッカは小切手を掲げながら「ニヤニヤ」して歩いてる。
「とりあえず、オーガの魔石を換金しようか――ザコを倒した分も」
一旦、ダンジョン管理局に戻って、オーガから出たハンドボールサイズの魔石をカウンターに置く。
周囲が一瞬「ぎょ」とした。
さすが、ボスドロップの魔石は大きいらしい。
受付嬢さん――じゃなかった、ダンジョン管理官さんが背広の男性に、私たちの出した魔石を渡しながら、尋ねてくる。
「この大きな魔石は、やはりボスの?」
「はい」
受付嬢さん――じゃなかった、ダンジョン管理官さんが――いやもう、受付嬢さんでいいや。
受付嬢さんが、胸の前で手を組んで目を輝かせた。
「わあっ! ボスの日本? 世界? 初撃破おめでとうございます! ついに撃破されましたか! ・・・でも、ダンジョンが消えたりはしないんですね。ボスを撃破したらダンジョンが消えるのでは? と懸念されていたんです。これから日本にとって大事になる魔石供給源ですからね・・・」
ボスはもう秘密のダンジョンで、2匹倒してるんだけどね。
にしても、魔石ってそんなに凄いんだ?
「1つくらいはダンジョンが消える可能性があっても、ラスボスも撃破した方が良さそうですね、ちなみにボスを倒すと、ボスの部屋に階段ができました」
「なるほど、まだ奥がある感じですか」
「みたいです」
「ありがとうございます。ダンジョン調査局に報告しておきます」
「お役に立てて良かったです」
「あと、こちら探索者ランクのタグです」
なんか、Bって書いてある。
「ランクとかあるんですねぇ」
「はい。皆さん多分、世界最高ランクですよ、初のボス退治ですから。――あと、ボスを倒してもダンジョンが消えないことを調べた成果も含まれています」
「おー」
「さて、お持ち頂いたこの魔石は――、レベル10の純度に、レベル12の重量――出ました、おお・・・・310万円になります」
ダンジョン管理局内の騒ぎが、更に大きくなった。
回りの探索者が「俺、1日1万稼げたら良い方なのに、あの女の子達ちょっと310万円かよ・・・」、「あの子、スウなんだって」、「あー・・・。さすが、銀河の英雄だわ」なんか言われてる。
――女性管理官さんは何かをパソコンに入力しながら、
「えっと、代金が高額のため、この場での現金精算はできません。代金は登録の口座に、半月以内に振り込まれるのでご確認下さい」
確かに、大金持ち歩くのも危ないもんね。というかそんな大金を、換金のためにここに置いとくのも危険。
「了解です」
「はい」
「うおー! 超おこずかい!」
リッカがバレリーナのようにくるくる周ってた。
「3人で山分けだね! ――あと、これも換金して貰えますか?」
私は渋谷ダンジョンのザコから出た魔石と、秘密ダンジョンで出た魔石をちょっとだけ混ぜて提出する。
「えっ、1日でこんなに!?」
「なんか、モンスターが、凄く弱かったんで」
ちなみに、配信を一回休憩したんで、その間にも魔石を出しまくったことにした。
装備は、オークションで買ったことにしてる。
装備の方は結構、言い訳が厳しいかな? って思ったら❝さすが石油王❞で納得された。
私の装備を見て、❝どうみてもフェアリー・スウ❞と言った人には、笑顔を向けてあげておいた。なんか震えてた。
「な、なるほど・・・・さすが、狂陰と呼ばれるスウさんに、赤い閃光とよばれるアリスさん」
受付嬢さんが、なんか私とアリスの二つ名を言って、リッカを一瞬見て・・・・視線を魔石に戻した。
ないんだよね、リッカって二つ名。
ただ、私の2つ名――狂陰は、意味が狂った陰キャなんで、ただの悪口だと思うんだけど。ほんと誰が付けたんだ・・・。調べたら、震源地はネット掲示板だったんで、誰が考えたのかわからない。
受付嬢さんが、細かい魔石を換算していく。
「すごいですね・・・50万飛んで、500円になります」
「おー!」
360万円になって、3人で割りやすくなった。小銭は――そうだ、いいこと思いついた。
「じゃあ、500円はすぐに換金できますか?」
「はい、勿論です」
みずきが、用紙に口座番号を記入しながら、私を見上げる。
「500円? どうするんだ?」
「ジュースで祝杯を挙げよ!」
「おっ、いいな!」
「いいですね!!」
「みんな爽やか炭酸でいい?」
「おー!」
「はいー!」
私達は、ダンジョン管理局に置いてある自販機で、爽やか炭酸を3本買って、蓋を開ける。
「冒険の大成功を、祝して!」
「「かんぱーい!」」
みんなで乾杯!
❝¥10000❞
❝¥10000❞
❝¥10000❞
投げ銭もいっぱい飛んできた。
「にしても・・・・春日小路さんのご両親、怒ってましたねぇ・・・」
うん、メガ・シチズンを絶対に許さないって怒ってた。
「怖い家を、メガ・シチズンってとこも怒らせたねぇ」
「お金持ちですもんね」
「いや・・・お金より、多分、人脈が怖い――春日小路だよ?」
「そういえば、芸能界でもたまにあの名前聞きますね」
「多分、政財界でも有名だろうと思う」
「もしかして、わたし等、かなりの人脈築けたのか?」
リッカはメガ・シチズンとか、どうでもいいらしい。
「んだねぇ」
恐らく人脈の凄い家なんで、私はお金を貰うより、友好を結ぶ方を選んでおいた。
さて、帰るかー。




