魔都に行きます
◆◇◆◇◆
「というわけでやってきました魔都、渋谷」
❝魔都じゃねぇよw❞
ただいま配信中です。
どうやって来たか? 公共交通機関を使うのは怖いんで、私が変形して飛んで、アリスとリッカはそれにぶら下がってきました。
バーサスフレームだと着陸に困るけど、私自身が飛行機になれるんなら、ほぼどこでも降りられるので便利になった。
私、地球のパイロット免許もってるし、飛んでも問題なし。
スクランブル交差点の上に浮かぶ、ダンジョン構造体。
たしかに、海底の神殿みたいなのに似てる。
にしても怖い、美人しかいない。
オシャレな人しかいない。
でも、あんな短いスカート大丈夫なのかな・・・?
「涼姫ちゃん、期待しても無駄ですよ」
「ふぁ!?」
「ああ、いう短いスカートの下には、大抵ショートパンツが履かれています」
「くっ! ――というかなんで我の脳内がわかった!」
「じーっ、と見てたんで」
「くっ!」
❝ついにスウたんが渋谷に上陸かぁ❞
❝というか、女の子が女の子のミニスカートに何を期待するんだ。――てかいいなぁ、思い思いの服着てて。見てて楽しい。こっちは、ちょっと好きな格好しただけで、変なのに絡まれるからなぁ。しかも、いい歳したオッサンとかまで絡んでくるんだぜ❞
❝それは辛いな・・・来いよ、東京❞
❝いつか渋谷に住む――やりたいことリスト一つ追加しました❞
❝てかスウたん、昔は渋谷の読み方すらわからなくて「しぶたに」とか言ってたのが懐かしい❞
「ほっとけ、視聴者。登録はどこでするの?」
アリスが「ざます」といって『ほっとけ、セーラー服』という懐メロを歌いだし、踊りだした。
さすが唄って踊れるモデル。ダンスが異様に上手い。
「あそこですね。渋谷アッパー・ウエスト」
リッカはなんか「ガンス」とか言ってる。
私は「フンガー」と言いながら、巨大なビルを見上げた。
「おー、なんか真新しい」
「東急百貨店・本店が有った場所に作られたんですよ。渋谷のスクランブル交差点は、最近では世界的観光地になってますので、ホテルも入ってますよ」
「人を見ながらホテルに泊まって何が楽しいの・・・? 怖いだけじゃん」
安全な場所から、怪物を見るみたいな? ――スリルを味わうの?
暖かい部屋から、冬の景色を見るみたいな? ――贅沢を味わうの?
「人が怖くないって人もいるので。――ダンジョン管理局は、あのビルの一階に、急遽設置されました」
「じゃあ、とっとと登録して帰ろう」
❝最早、帰るのが目的❞
❝これはひどい❞
「いや、お食事くらいして帰りましょうよ。あと渋谷ダンジョンも味見していきましょう」
「やだやだ、スウ、すぐ帰るの!」
アリスと一緒に踊っていたリッカも、首を振る。
リッカというのは、みずきの配信者名。あとフェイレジェのゲームID。
ちなみに配信中は、みずきとか間違って呼ばないように、脳内でもリッカと呼んでます。
「重症だなぁ・・・調べたら、近くに鉄板焼があるみたいだな」
「えっ? 鉄板焼・・・・?」
ちょ、ちょっと体験してみたいかも・・・。
動画でよく見るんだよね。私、料理は得意な方だと思うけど、流石に鉄板焼は自分じゃできない。家に鉄板ないし。
アリスが、私をエスパーする。
「興味が出ましたね?」
流石、涼姫学の第一人者を名乗る女子高生。アリスの目は誤魔化せないようだ。
「ちょ、ちょっとだけ」
リッカが右手を突き上げた。
「よしじゃあ、魔石で儲けた金で鉄板焼だ!」
それはどうだろう? 多分魔石の儲けで食べるのは無理だと思う。というわけでビルに入って探索者登録。
登録は用紙を記入するだけだった。
私たちは、サクっと、登録証を貰う。
「おー、これが登録証かぁ」
アルミ製かな――もしかしたらチタン? しっかりとした一枚だった。
なんていうかまるでドッグタグ。首から掛けられる。
『名前、性別、生年月日、血液型、住所、電話番号。ランク』が記入されてる。
血液型は緊急処置用だろうなぁ。
裏には持病や、アレルギーなんかも。
うん、完全に緊急処置用だこれ。
モンスターと戦うんだもんねぇ。
「スマホアプリでも、証明書を出せるんだな」
「ダンジョン対策局、仕事が早いですね」
リッカとアリスがスマホを弄りながら、呟いた。
私は、慌ただしく動くダンジョン管理局の職員を見た。
腕に『ダンジョン管理官』とか書いた腕章をしている。
「まあ・・・・国も物凄く儲かるみたいだし、大急ぎで整備してるみたいだね」
すると、リッカが〈時空倉庫の鍵〉を開いて、言いかける。
「じゃあ、魔石の交――」
「まった、リッカ」
私はインターセプト。
「どうした?」
私は、リッカと――アリスにも〖テレパシー〗を送る。
(いま魔石出しちゃ駄目だよ。私たち、ダンジョン探索者になりたてだよ? ダンジョンに入ったこと無いはずじゃん。今魔石をジャラジャラ出したら、許可なく入ったのがバレる)
(あ・・・・そうか!)
(危ないところでしたね)
(一回、ダンジョンに入って、しばらくして出てこよう)
(しかし、『オラ、腹が減って力が出なねぇぞ』)
どこのサ◯ヤ人だよ・・・。
「鉄板焼は私がおごるよ」
「持つべきは石油王の友達だな!」
「激レアすぎますよ、その持つべき」
というわけで鉄板焼屋さんに、Go。
席に座り、前菜を食べたら、ショーはアワビの悲鳴から始まった。
「ギューーー」と鳴いて縮むアワビを見て、可哀想とか思い掛けたのを心にブレーキを掛けて、諸行無常の表情で見詰める。すまん・・・美味しく食べさせて頂くんで、ほんとすまん。
まぁもう〆られてるんで、苦しんでるわけじゃないんだろうけど。
❝シェフさん、異色の3人組に、若干引いてるじゃないか❞
❝どう見ても女子高生だもんな❞
❝1人は中学生に見えるけどなw❞




