手応えを感じます
おっと、私たちがほのぼの思い出話に花を咲かせていたら、アリスがプンプンしてる。
でも、アリスが見事な戦いしてるんだもん。
水中では、どうしても攻撃が遅くなるからか、カウンター中心に戦ってる。
相手は水中で素早く動けるから、刀を最小の動きで盾にして、相手の攻撃を受けてる。
刀で攻撃を受けられたら、触手はズタボロだ。
ただ、
「あの武器、ARなんだよね?」
ARを通してアリスが刀を握ってるのが見える。
『だなぁ、きちんと触手を受けてるし、弾いているな』
『だけど、切った手応えがないです・・・! フィードバックがないというか・・・相手は吹き飛ぶんですが、こっちに反動がありません!』
アリスが触手の攻撃を足で受け止めた。
アリスの体が水中を吹き飛んで舞った。
あっ、HPが減った・・・! 見惚れてる場合じゃない。
でも、触手は物理的に存在してて、ARの攻撃のフィードバックも受けるけど、武器だけが手応えを返さないのか・・・。
『凄くやりにくいです! ――もういっそ、普通の刀を使ってしまいましょうか!』
アリスは昔作った、手製の刀を持ってるんだ。
私も手伝って作った。大変だった。
「そうだ」
閃いた私は、魔術を使う。
「ἀτρά(原子) Ἅιρ(器) υφ(2) σεκ(5) ροτρο(生成) μαχά(メートル) ἄλφ (1) 【ω χάλυψ ω χάλυψ】(鉄よ生まれよ)!」
そうして、鉄の刀を作り出した。
「二人とも、これ使って!」
私は〖念動力〗で、2人に鉄の刀を渡した。
『えっ、これで戦えってことですか? それならいっそ実物の刀を』
『んだなぁ』
「そうじゃなくて、それとARを同時に握って戦えば、手応えもちゃんとあると思う!」
『――あ! なるほどです!』
『さすが涼姫の脳みそは便利だ』
なんだその評価。可愛いから許すけど。
私も触手をM1911で撃つ。
銃って水中だと、弾丸って、すぐに減速してほとんど飛ばないんだよねぇ。
――やっぱりだ。このARの銃ってば、ちゃんと再現してる。
面倒な。
アリスが受けと突きで触手を潰していく。もう復活はしないようだ。
みずきも触手に飛んで、
『立花放神捨刀流――十と一つの教え――刺乱!!』
と連続突きで、触手を一本再起不能にした。
私は至近距離で銃を撃とうと、触手に飛んで――おっとスーパーキャビテーションが私の近くで発生した。吸い込まれる前に急いで回避。
残念、私は回避が一番得意なんだよ。
で、拳銃を触手に、ほぼ押し当てて発射。
吹き飛ばした。
『残るは本体だけですね』
『タコめ、わたしたちの相手ではないわ』
アリスとリッカがタコを睨む。
「お前はもう、タコ煎だー」
私は精神攻撃。
すると、3人の側でスーパーキャビテーション。
3人とも難なく躱す。
すると、ARになのか、現実なのかどっちかわかんないけど、クラーケンに向かって渦巻く集中線みたいなエフェクトが発生して、ヤツの頭上に文字が表示された。
◤|ランダム・キャビテーション《泡沫の夢》◢
周囲に大量のスーパーキャビテーション!
景色が衝撃を受けた炭酸水みたいになる。
『なんですかこれ!!』
『うおっ!?』
ただ、私はあっさり躱す。
弾幕で鍛え上げた私の回避力なめんな。
動かない攻撃とか、物の数じゃない!
『涼姫ちゃんは、あっさり躱してますけど!』
『こんなもん、モノノケ界隈の人間しか躱せないぞ!!』
アリスとみずきは必死だった。私はそんな界隈しらないぞ。
みずきが腕を前に突き出す。
『〖水操作〗!!』
みずきスキルで防ぐことに決めたようだ。
アリスはというと・・・・。あ、みずきに「ピトッ」とくっついた。
なるほど、みずきの回りなら安全だ。
2人は大丈夫っぽいんで、私は突貫。
銃だと、超接近しないと、ダメージが与えられない。
「銃の意味!」
私は疑問を叫びながら、煎餅の原料に接敵していく。
ヤツはもう触手がないから攻撃はスーパーキャビテーションしか――って、うわ墨!?
視界が真っ黒に。
まずい! これじゃ、どこにスーパーキャビテーションが発生してるのか、わからない!!
「なら・・・!」
私は銃弾を発射。
水の抵抗で減速するなら、前に撃った弾丸を次の弾丸で撃つ! 撃つ! 撃つ!
押し通す!
「届いた!! ――そこ、タコの脳でしょ!!」
『また無茶苦茶してる』
『なんというAIM力――涼姫ちゃんは、いつもいつも無茶苦茶しますねぇ』
「そんなことない!」
私は2人に返しながら、クラーケンの眉間に空いた穴に、さらに銃弾を撃ち込む!!
あ、タコが真っ白になった。
「死んだな」
『あれで死んだのかぁ』
『涼姫ちゃんはタコの体の構造に詳しいですからねぇ――タコの胴体を頭だと思ってるみずきじゃ、ああは行きませんでしたね』
『それはVer.2.0のわたしだ。3.0となった今のわたしに抜かりはない』
「じゃあ、木を燃やしたら、どうなるの?」
私がみずきに尋ねると、
『それは火の精霊が木の回りを踊って、「ふんぐるい むぐるうなふ くとぅぐあ ほまるはうと」と歌い、恐怖属性へと――』
「帰ってこい、現代人」
アイツ、木を燃やすと酸化炭素が発生するのが理解できなくて、ファンタジー世界の図書館で読んだ内容を未だに信じてるんだよね・・・。
『あっ、なんか扉が開きましたよ!』
アリスの指さした方を見ると、確かに口を開けた扉があった。




