ロボ娘になります
とりあえず開いた扉に、3人で向かう。
「ん? なにあれ」
「イカ? タコですか? あれもモンスターですか?」
「メンダコだと思う。なんだろ〖サイコメトリー〗――オクトバス・アドラビリスとかいう奴っぽい」
「ずいぶんと、デフォルメされたタコだなぁ。無害そうだけど」
「みずき、無害そうだからって、無害とは限らないよ・・・・世の中には詐欺みたいな契約を迫ってくる見た目は可愛い白い害獣がいるんだよ」
「なるほど・・・・殺るか?」
みずきが、腰の鞘に手をかけた。
「いや、可愛いんで、こっちが攻撃されない限りほっとこ?」
腰の鞘から手を離し「どっちなんだ」と少し呆れた。
そうして扉を抜けると、途中から上に向かう筒状だったので、上に泳いで昇ると――私たちは「つぷん」と、水面から顔をだした。
アリスが周囲を見回した。
「空気が有りますね」
私は、さっさと陸に這い上がりながら、安堵する。
「あー、よかったこれで銃をまともに使える」
「水ポ◯モンのわたしは、弱体化だなぁ」
みずき、いつポ◯モンになったんだ、お前。
みずきは〖飛行〗で浮いて、なんか「ぴちぴち」跳ねてるし。口を「ぱくぱく」してるし。
「スッゲー、役に立たなさそう」
刀を構えたアリス、銃を構えた私、跳ねるみずきの順で、奥へ進む。
すると、なんか一匹の黄色いスポンジが、コサックダンスをしながら歩いてきた。
よかった、四角じゃなくて丸だ。
もうさっきから色々怖すぎるのに、これ以上爆弾を持ち込まないでね?
「モンスター名は、ヘーチマン? ――お前はヘチマじゃなくて、海産物だろうが」
「とりあえず片付けましょう」
「んだね」
「ぱくぱく」ぴちぴち。
「お願いだから、早く戻ってきてくれ」
アリスが大打刀(AR)で斬りかかる。
スポンジの動きが鈍いんで、アリスはあっさり「ずんばらり」と真っ二つにした。
でも、なんかスポンジの様子がおかしくなった。
「げっ、2つに増えました!」
なんか2つに分かれたヘーチマンが、両方再生して2匹に分裂した。
私は「じゃあ」と、銃で「ズドン」。
みずきは「跳ねる」。
銃弾だと、増えられないだろう!
と思ったら、なんかいっぱいトゲが飛んできた!
スポンジってそう言えば、ガラスみたいな細かい骨がいっぱいあるんだっけ!?
私は、〖飛行〗で半身になって、なんとか躱す。
私、運動が苦手だから、自分の体をそのまま動かすより〖飛行〗とか使ったほうが上手く動けるんだ。
「今の躱しますか・・・」
「うげぇ、モノノケ界隈の人怖いわぁ」
「やっと戻ってきたと思ったら、最初のセリフがそれか」
みずきも小太刀を抜くけど。
「いやしかし、実際あんなのどうやって倒すんだ? ――って、うおっ! ――」
スポンジが、なんかジェット水流みたいなのを吐いてきた。みずきはとっさに躱したけど。
「――ぶなぁ。」
うーん・・・・相手がスポンジってことは・・・。
私は昔、とある惑星で作った、水酸化ナトリウムを取り出す。
それをスポンジに近づいて掛けた。動きが鈍いんであっさり。
「おー、染み込む染み込む」
すると「ジュー」といって融けた。
「石鹸には耐えられても、石鹸の材料には耐えられなかったか」
「まさかの水酸化ナトリウムですか・・・」
「これは酷い。――ん? なんか出たぞ」
みずきの前になんか、ブーツとガントレットみたいなのが出てきた。
「おっ、これは多分、ドロップ品だな――ARじゃないなこれは」
ドロップ品は実物なのか。
でもなんで、後ろで「ぴちぴち」してただけのみずきにドロップ品が出るの?
「なっとくいかん」
「ですねぇ。しかもあれきっと2匹分ですよ」
みずきがドロップ品を、足と腕につけた。
「ユニット・シャーシ? ――装備ってことか? レア度2のフォートレス級ってなってるなぁ」
レア度とかあるのか。
私が『ラビドラシル』で調べてみると、
下から、
レア度1 シェルター級
レア度2 フォートレス級
レア度3 キャッスル級
レア度4 パレス級
レア度5 サンクチュアリ級
レア度6 ガルズ級
レア度7 ヘイム級
レア度8 アストラ級
レア度9 ワールド級
レア度10 ユグドラシル級
ってなってた。
にしてもみずきの見た目が、なんかロボみた――あ!
「えっ。このダンジョンもしかして、ロボ娘になれるの!?」
「・・・ふむ」
みずきが自分の手足を眺めると、アリスがポンと手を打つ。
「そういえば、ダンジョンのドロップ品ってそんな感じらしいです。ロボと鎧の中間っぽい見た目の装備がドロップするんだとか」
「これは装備を揃えないと! よし、スポンジを分裂させまくって乱獲だ!」
「分裂させて? ――ああ、な、なるほどです。それが効率良さそうですね」
「すーぐ、そういうズルを思いつく」
というわけでスポンジを見つけて、乱獲開始。
「水酸化ナトリウムなんか、幾らでもあるぞー!」
だって後ろに海水があるんだもん。
それを電気――ソロキャン用に持ってた手回し発電機で分解してやればいい。
素焼きの土器を釉薬を塗った土器に入れて、両方に海水、電力を流す。
出てくる危険な塩素ガスは〈時空倉庫の鍵〉(いっぱい持ってる)の中のビニール袋に放り込む。
まぁ、私たち全員〖毒無効〗のスキルがあるんですけどね。
アリスとみずきが「ズンバラリ」したら、私が「ジュー」スポンジは動きが遅いんで、怖くもなんともない。
そうして3時間ほどスポンジの水たまりを作っていると、全員分の装備が揃った。
「揃いましたね!」
「んだぬ!」
「ねー」
全員の現在の見た目は、
アリス、なんか赤い武者みたいな感じ。
みずき、なんか白いナイトみたいな感じ。
私、なんか黒い蝶みたいな感じ。
アリスのユニット・シャーシは、由瞬の一閃・シリーズというのを基本に装備を整えてる。
みずきのユニット・シャーシは、イージス・メイル・シリーズ。
私のユニット・シャーシは、あの蒼穹・シリーズ。
欲しい装備が他の人に出たら、交換したんだ。
で、それぞれの趣味でこうなった。
ちなみに全員、全身フォートレス級の装備。
「でもスウさん、その格好、絶対視聴者にフェアリーって言われますよ」
「ゔ」
私にはトラウマがあるんだ・・・無駄に有名になったことで、写真集がでちゃったんだ。
その本の名は「フェアリーテイル」。私が乗ってた機体が、スワローテイルだったからって・・・・その後フェアリーテイルっていう機体への乗り換えイベントがあったし。
「いいんですか?」
アリスは、心配そうに首を傾げるけど、
「せ、背に腹は代えられないんだ」
なんでかって、このロボ装備たちって、変形機能もあるみたいなんだよね。
「とりあえず変形してみるか」
みずきが手首のスイッチを押した。
すると、みずきが戦艦っぽい形になった。
「それ、中の人は、どんな体勢になるの?」
「なんか、プールの飛び込みみたいな感じ?」
「あー」
「じゃあ、わたしも変形です」
アリスは戦車っぽい感じになった。
「わたしの姿勢は、正座ですね」
なるほど。
ちなみに私は戦闘機になるらしい。
私って、戦闘機で戦うのが滅茶苦茶得意だから、この装備にした。
「じゃあ、私も! 変形!!」
すると、
「ア痛ダダダダダダダダッ!!」
股が! ――股がぁ!! なんか股裂きみたいな姿勢にされていく――!!
「ギャァァァァァァ!!」
なんで足が翼なんだよ!?
いや複葉機にしたからか!? 腕も翼だし!
でも、股間がバキバキ言ってるんだけど!?
「し、死ぬ!? 変形解除!!」




