クラーケンと戦います
というわけで、パイロットスーツで海中に出る。
宇宙空間でもへっちゃらな上に、弾丸も弾く防御力なので、海なんかへっちゃら。
「〖輝け〗」
私は光球を生み出し、辺りを照らすスキルを使って投げた。
光球は神殿の入口に張り付いて、辺りを照らし出した。
あ、なんかでっかい鮫が近づいてくる。
てい。
私は、鮫の鼻を〖念動力〗で殴って退散させる。
『鮫は殴れ』と教えられているから。
あとシロナガスクジラさん、でっかすぎて怖いんで、こっちにこないで下さい。
ただ、海の底の光景としては美しい場所でよかった。
結構サンゴとかが生えている。
私達は〖飛行〗のスキルで海を進んで(水中でも飛ぶ感じになれる)神殿内部へ入った。
アリスが神殿内を見回しながら言う。
ARの通信で会話できる。
『ギリシャの神殿? みたいですね』
「いや、これって多分、ドイツにあるヴァルハラ神殿っぽい感じだと思う」
なんかテーマも北欧神話みたいだし。
『なるほど・・・・にしても、他のダンジョンを解放のために倒す必要があるモンスターがいるってさっきいいましたが』
「うんうん」
『それって横浜スタジアムの時みたいに、小型がザコ数匹と、大型のボスが一匹って感じなんですが・・・どう見てもでっかいのが一匹って感じでしたね』
「クラーケンだけしかいないのかな? ――というか水中で戦えと?」
なんて思っていると、クラーケンの触手らしき物が、床から生えてきた。
「なるほど、触手が小型ザコ扱いなんだ?」
『えええ?』
「ゲームでは、よくあるシチュエーションなんだよねぇ」
『さすがアニメやゲーム大好き、涼姫ちゃん』
「まあ・・・・クラーケンみたいなのは特に、触手を前哨戦として、本体を後で倒すとかがよくあるんだ――水中で戦うのは滅多にないけど・・・」
『なるほど――じゃあ、やりますか!』
「やろう!」
『おう――〖水操作〗』
みずきがいきなり〖水操作〗で、水中に真空を作りだす。
真空が元に戻る時の衝撃がクラーケンの触手を襲う。
クラーケンの触手が中程からぶっちぎれた。青い体液が広がる。
『スウが教えてくれた、スゥパーキャビなんとかだ――てか「クラーケン、お前の血の色は何色だ!?」』
「青だね」
『キモッ――なんで!?』
「銅だからね」
『なぜに銅!?』
「冷たく酸素の少ない水中では銅のほうがいいから。酸素を保持できる量は少ないけど、酸素がくっつきやすいから。もともと酸素が少ない場所だから、酸素が保持できる量が少なくても構わない」
『詳しすぎるぞ、このJK』
『まあ、涼姫ちゃんですから』
アリスが、なぜか呆れ気味。
『なるほど、流石SF超科学武器の仕組みを、真顔で解析するモノノケ』
とかなんとか、リッカは言いながらも。「スゥパーキャビなんとか」「スゥパーキャビなんとか」と、タコの足を吹き飛ばしていく。
ちなみに、真名はスーパーキャビテーションな。
『涼姫ちゃんって多分、闇落ちしたら、白衣着て「抵抗は無駄です」とか言いながらブラックホール放って来るタイプですよ』
どんなタイプだ。
私はツッコミを入れておく。
「アリスは、某ゲームやりすぎ」
『すでに闇落ちしてないか?』
「みずきは正直すぎ」
またたく間に片付くタコ足。
『わたしに水中で戦いを挑むとは、片腹痛い』
「人間がタコ相手に言う事じゃないんだよなぁ。――あと、その倒し方したら、ダンジョンポイントってのが入らないじゃないか?」
『・・・あ』
私がちびっ娘のやらかしを地味に責めていると、
「あっ、でもなんか出てるね」
タコ足がなんかドロップしてる。
「ARではない――石?」
『あっ、魔石ですね』
「魔石・・・?」
『なんか、新エネルギーとして期待されてるんだとか』
「えっ、これが石油に勝つの?」
『勝つポテンシャルがあるそうです』
本当に勝てるの? あの「安い&採取が楽」の王様に?
『おっ、なんか鋼鉄の手袋みたいなの出た』
みずきの前に「ポン」と機械の手袋が出現してた。
みずきは楽しそうに機械の手袋をハメて、振り回してる。
物理でもアイテム(?)は出るのか。ダンジョンポイントが入らないだけで。
私が鋼鉄の手袋いいなぁ・・・・なんて思ってると、神殿の奥から本体が出てきた。
あ、目が赤く光ってる。多分あれはオコだ。
あと、触手が復活してる。
『ギャオオオオオオオオオ!』
叫んだんだろうか、すごい衝撃が襲ってきた。
って、リッカの側に、真空が発生した!? 敵の攻撃!?
直径1メートルの真空だ。あんなの食らったら、数10トンの衝撃と、そのあとも数10トンのプレスに掛けられるような話になる・・・!
『あぁぁぁぁぁぁ!!』
みずきの右腕が、真空が潰れる時の水流に巻き込まれた!
相当な防御力を持つパイロットスーツである、シルバーセンチネルを着てるのに、腕がひしゃげた!
「ア、アリス!!」
『はい!! ――クラーケン! お前の相手はわたしだ!!』
私はみずきに〖飛行〗で飛んで、彼女の腕を〖再生〗する。
『あ、ありがとう、涼姫・・・! 腕を折られるのは、あんなに痛いんだな・・・』
「だ、大丈夫?」
『あ・・・・ああ、ちょっと痛かった』
ちょっとどころじゃないとは思うけど。
「みずきは、普段はあんまりダメージ受けないもんね」
『そういう涼姫は、どてっ腹に風穴空けられたり、首だけにされたのは2回もあるし・・・・ヤバイな、お前』
「まぁ、アレ等はちょっと命の危機を感じた」
『生きてるのがおかしい』
アリスが叫んだ。
『二人とも、呑気に凄惨な話してないで、手伝って下さい!』




