それは防ぎます
揉み合って倒れる人とかはいない・・・・良かった。
整然と逃げている。
むしろ、逃げ遅れそうな子供を抱えて走りだした男性もいる。
沖のサーファーが、陸から離れていく――津波は陸に近づくと一気に高くなる。だからあっちに逃げた方がまだ安全なんだ。絶対ではないけれど・・・。
「アイステイル、来て!!」
「サンライト・ショーグン・ゼロ・カスタム、来て下さい!!」
「ルミライト・ダーリン・インフィニティ・カスタム、来い!!」
アリスとみずきも愛機を呼んだ。
車達が急いで角を曲がっていく。
駄目だ、時間帯的に帰宅中の車が多い――交通量が多すぎる。
みずきのルミライト・ダーリン・インフィニティ・カスタムが到着した。銀色の騎士みたいな見た目をしている。
ルミライト・ダーリン・インフィニティ・カスタムが跪いた。
『娘よ、我、ここに』
みずきを手に乗せた。そうして腰部のコックピットに導く。
あの機体は特殊なバーサスフレームで、異能機と言って、異能力を持ってるんだよね。
正式名称は篇世機オラクルB。
意思もあって、まるでスーパーなロボット。
みずきが、渋滞中の車を持ち上げて、坂に移動させだした。
あれなら間に合いそう。
海方向へスマホを向けて動画を撮ってるあれは、海外からの旅行客?
なんで逃げないの!? ――日本人と違って津波の恐ろしさを知らないから!?
(動画を撮ってる貴方! 早く逃げなさい!! ――津波に飲まれたら、死にますよ!!)
だ・・・駄目だ、逃げる気配がない!
私は彼に急降下。
(みずき、〖水操作〗のスキルで津波を食い止められる!?)
みずきは〖水操作〗という水を操作するスキルを持ってる。ワンチャンあるか?
(流石に津波レベルは無理だ! 少しはなんとかできるかもしれんが、焼け石に水だろう)
やっぱり流石に無理か。
私は撮影している外人さんを〖念動力〗で拘束。
「What the hell are you doing?!(なにしやがる?!)」
これでも学校の首席なんで、ある程度の英語はわかる。私は、暴れる彼に怒鳴る。
「You idiot! you're going to die!!(馬鹿野郎! 死ぬぞ!!)」
無理やり〈時空倉庫の鍵・大〉というバーサスフレーム用の倉庫に放り込んだ。
〈時空倉庫の鍵〉も〈時空倉庫の鍵・大〉も、持ち運べる倉庫。――だけど内部には時間が存在しない。なので放り込まれると暴れることもできない。
〈時空倉庫の鍵・大〉は、バーサスフレーム用で、巨大な武器も入る。だから人間だって放り込める。普通の〈時空倉庫の鍵〉は、人間は入れない(グロイことになれば、入れるかもだけど)。
ここで、アリスのサンライト・ショーグン・ゼロ・カスタムが降りてきた。金色の武者みたいな見た目。
あっちの正式名称は篇世機オラクルA。
『馳せ参じたぞ、娘よ』
そうだ、篇世機の特殊能力・・・・!
「アリス! 篇世機の特殊能力って、プラモデル武装の具現化だよね?」
〝プラモデル武装の具現化〟とか、なんじゃそらって能力だけど、篇世機の能力の元となったアイリスって子がプラモデルで戦うバトルが大好きなんで、生まれたであろう能力。
「はい!」
「じゃあ、これ撃てない?」
私もプラモデル作りが大好きなんで、〈時空倉庫の鍵〉にプラモデルを大量に入れている。
そこからとあるアニメのハーモニカみたいなビーム砲を取り出して、投げる。
銀河連合の武器じゃないなら、ワンチャン地球でも撃てるかも知れない。
あれで波を蒸発させてしまえば、津波を抑えられるかも。
「やってみます!」
アリスがサンライト・ショーグン・ゼロ・カスタムに乗り込んで、ビーム砲を具現化させた。
『発射!!』
だ、駄目だ! ロックが掛かってるのか、ビームは飛ばなかった。
アリスは、なんとかビームが出ないかと、繰り返す。
『は、発射!!』
『無理だ、娘よ、諦めろ』
私はサンライト・ショーグン・ゼロ・カスタムに尋ねる。
「――あ、じゃあ、サンライト・ショーグン・ゼロ・カスタム」
『なんであるか、スウ殿』
「ジオラマの具現化とかは、できない?」
『無茶を要求するでない』
「世を篇集するなんて名前の癖に」
『・・・・ぬう、これは手厳しい』
――って、津波がいよいよ海岸に迫ってきた!!
「あ・・・・」
車道に逃げ遅れて、泣いてる女の子がいる!?
「ママァ! どこぉ!」
女の子は泣いて、目を覆っている。
そして「咲夜ーーー!」と、まだ浜辺で叫んでいる女性!
あ、女の子が母親に気づいて浜辺に駆け下りていく!!
浜辺が海水に飲み込まれ・・・・た。
私は、静かに目をつむり、歯を合わせて、鋭く息を吐く。
「入れ――」
目を見開き、親子のいた場所を睨む。
「――ゾーン!」
世界が、私に流れ込んでくる。
世界が〝わかる〟。
私は親子のいた場所に向かって急降下。
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※書籍版で、特機から異能機に名称を変更しました。




