3. 夜の噂は千里を走った
次の日
コンコンコン!ドンドンドン!!
なんだよ、誰だようるさいなー。
って、マーサおばさんかよ。
何しにきたんだよぉ。
俺ん家はもう火も水も出るんだよぉ。
そんなことは知ってるよ。まぁ、酒臭いね。
水が出るんだから顔くらい洗っておいで。
私はお茶飲んで待ってるからさ。
おばさんは杖を一振り。
ディールの家のテーブルにお茶のセットが現れます。
それで、こんな朝っぱらからなんなんだよぉ。
朝っぱらって、もう太陽は真上だよ!
それよりアンタ、昨日酒場で火や水が出るようになったってさんざんみんなに聞かせただろう。
おう!嬉しかったからな!
おかげで朝からうちもそうして欲しいって手紙がじゃんじゃん舞い込んでいるんだよ!
おぉ!夜の噂は千里を走るって言うからな。じゃんじゃんってどんくらいだよ。
おばさんは左のポケットから小さな巾着を取り出して、空中にポイっと放ると杖を向けました。
すると、ドン!ドサっ!バサバサバサー!!
小さな巾着が大きくなって床にどどーんと現れました。そして袋からは手紙が溢れてきます。
な、なんだ!
届いた手紙だよ。朝からポストに入りきらないくらい届くもんだから、こっちの袋に届くようにしたんだよ。
え?届くようにって、マーサおばさんがこっちに持ってきてたら、ここに届くのかよ。
そりゃそうさ。そういう風にしたからね。
ほら、また届いてるじゃないか。
ちょうど袋の上に白い鳩が飛んできて手紙の山の上に着地するとそのまま手紙の一つになりました。
な、なんだ!今の!
何ってハト便だよ。初めて見たのかい?
今のがハト便かぁ。オレは手紙出すこともなきゃ届くこともないもんな。手紙の出し方ってのを習った時に聞いたような気もするけども初めて見たさ。
そうかい。朝早くにはタカ便が多くてね。
何をそんなに急いでるんだかね。
そんで、これをオレんとこに持ってきてどうするんだよぉ。
返事を書くのを手伝っておくれよ。
ええー!オレ、字は下手っくそだぜぇ!
大丈夫、大丈夫。ホントに書くわけじゃないからさ。
マーサおばさんはディールの家の中をきょろきょろ見回します。
ああ、あった。アンタのとこにはあるだろうと思ってね。
テコトコ歩いて部屋の隅からおばさんが拾ってきたのは酒瓶が一ダース入るほどの木箱でした。
これ、使っていいかい?
お、おう。またなんか作んのかよ。
ディールの問いには答えずにおばさんは箱を手に取りいろんな角度から眺めては、ふんふん、ふむふむと何か呟いています。
よし、やってみようか。
だからさ、何作るんだよ。
言ったってわかんないだろう?
見たことないもの作るんだからさ。それよりちょいとテーブルの上を片してさ、そう、ここに置いてみるか。
おばさんはテーブルの上を片付けて木箱を真ん中に置きました。




