4.木箱にトンテンカンテンしてどうすんだよ?
アンタは前じゃなくて、こっちにきてな。
危ないかもしれないからね。
危ないかもしれないと聞いてディールはすぐにおばさんの横にやってきます。
じゃあ、始めようかね。
トンテンカンテン、ヒューイとペッ!
ふう、できた。
な、なんだよ。何ができたんだよ。
横で見ていたディールにはおばさんが杖をヒョイヒョイと動かしたようにしか見えませんでした。木箱も大きく変わったように見えません。
やってみるかね。
だから、何ができて何するんだよぉ
ディールの戸惑いを置いてきぼりにおばさんは胸ポケットから折りたたんでいた手紙を取り出すと、木箱の蓋を持ち上げて蓋の裏に貼り付けます。
蓋の裏は手紙を挟めるようになっていました。
そして右のポケットから取り出した小さな包みをまた宙に放ると杖を向けます。
トサッとテーブルの上に白紙の便箋の束が現れ、おばさんはその束を木箱の中に入れました。
ちょいとアンタは向こう側に行ってくれるかい。
おばさんは今度はディールにテーブルの向かい側に行くようにいいました。
おばさんのすることをただ見ていただけのディールは自分の出番がやってきたのかとテーブルの向かい側に回ります。
おお!なんだよ、こっち側はなんか四角い窓みたいのが開いてるぜ!
そうです。今まで見ていた側からでは木箱に変わったところはありませんでした。でも反対側に回ったら木箱の蓋の少し下に四角い窓が開いています。まるでポストのように。
うん、よし。動かしてみるか。
ヒョイヒョイとペッ!
うわ!
ディールのいる側。ポストの窓のようなところから便箋が一枚飛び出しました。
慌ててそれを受けとめたディールは紙を眺めます。
なあ、おばさん。これ、文字が読めないぜ。逆さまなんじゃないか?
どれどれ。
便箋を受け取ったおばさんは手紙を眺めます。
おや、ホントだねぇ。文字が鏡になっちゃっててこりゃ読めないね。
ふむ、とおばさんは杖を取り出してコンコンと木箱の上でリズムを取りながら考えます。
蓋を開けて、こっちが逆か?いや、いや?なんてぶつぶつ呟きます。
しばらく考えた後、またディールに横に来るように言い
トンテンカ、ヒューとペッ!
と杖を振って唱えます。
さて、もう一度試してみるか。アンタはまたあっちで紙を受け取っておくれ。
おう!今度はちゃんと読めるもんが出るといいな!
ディールも張り切って向かい側に回ります。
よし、いくよ。ヒョイヒョイとペッ!
木箱から吐き出された便箋をディールは上手く捕まえます。
おおおお!読めるぜ!
どれどれ、見せておくれ
便箋を受け取ったおばさんは手紙を眺めてうんうんとうなずきます。
これなら良さそうだ。
そしたら、じゃんじゃん行くかね
アンタは箱から出てくる紙を受け取って整えたらここに置いておくれよ。
私はこっちで宛名を書いたりするからね。
えええ!ちょい、ちょい、ちょっと待ってくれよ。
あんな勢いでじゃんじゃん出てきたらオレ受け取れないよ。
そうかい?じゃあ、なんか受け取るものを考えないとね。
これはどうだろう?
ディールは部屋の隅から大きい木箱を運んできました。
これに入るようにしてくれりゃ、こっから紙を拾って整えてやるよ。
それから二人は何度か便箋が吐き出されるところに上手く箱が置けるように試してみました。
ちょうど良いところが決まると、マーサおばさんは今度こそじゃんじゃん出すよ!と気合を入れて杖で木箱を叩きます。
ヒョーイヒョーイとヒョイヒョイペッ!
言葉通りにじゃんじゃん便箋が吐き出される様子にディールは大笑いしながら箱に入った便箋を拾い始めました。




