30話 ボロボロの助け舟
ボロボロの助け舟
「フム、紫波がやられたか。まずいな」
互いに封じ手は使わずに戦っている紀光たち、その戦闘に何とか付いて行っているけど、さっきその均衡も崩れた。
「ぐはっ」
僕、皐月が防壁(甲板の一部)を出し続けて、神奈が攻撃する。そんな感じだったんだ。絶対に攻撃が当たる槍とか、船を破壊する弓等いろいろな攻撃され、壊されても何とか違う部分の甲板を出して持ちこたえていた。それにしてもなんで亀の上に。やっぱり船の方が狙われにくく、足場もよいから、そっちの方がよかったんじゃないかな? 肩に激痛を受けて気が付いたら倒れていた。背後から矢が飛んできて、肩に刺さったみたいだった。
「大丈夫か!? 皐月」
「うん、大丈夫。でもどこから……」
後ろを確認すると、近くに浮いていた船から狙撃されたことが分かった。何故ならそこに弓を構えた男性が立っていたから、しかも、あの人はたしか救世の犬にいた……、
「皐月、悪いが矢を抜くぞ!」
「ぐぎゃ!」
いきなり、神奈に矢を抜かれて再度倒れこむ。めっちゃ痛いし、ふらふらする! 血が足りない! しかし数秒後に雷音。そちらを見ると、神奈が投げた矢に雷が落ちていた。
「雷を落とす弓とそれの避雷針にする矢と言ったところか。これじゃあ手が足りないな」
しかし、今度は船に向かって射かけだした。これはマズイんじゃ……。それに雨も降り出した。しかも横殴りだ、これは台風?
「神風だ! これで、勝てるぞ!」
ゴトが士気を上げるために、台風を利用しだした。それにこの雨じゃあ砲撃も難しいかも。しかも敵は大雑把にこちらを狙って、雷を落としてくる。
「基本的に、遠距離攻撃が出来なくなったな。この雨じゃ視界が悪すぎる、狙いが定まらないからな。だが」
「冷静に、説明している場合かい? かなりピンチだよ。あっちにはあの槍があるんだから」
そう、此方をホーミングしてくる槍、あの武工が厄介だ。防御しないと止まらない、回避不能の槍だ。
「よく解っているじゃないか。だが」
雨の中、接近してくる影がある。けど、此方に向かって攻撃はしてこない。
「味方が来たらどうかな~?」
そう言って、現れたのは、光だった。
「何故拙者は貴様を手伝っているでござるか、と言うより貴様は何者でござるか?」
「助かる、ありがとうな千代。後自分の名前は飯野だ、流石にいちいちこれを言うのは疲れるから、そろそろ覚えてくれ」
拙者たちは迫りくる異世界渡航者を送り返していた。侵入可能か所をここに絞ったらしく、そこを死守している感じだ。しかし、何故拙者はこの男に捕まってこんな所で油を売っているのだろうか? それに、使い魔はやる気なく戦っているのと、何か気配が二重に重なっている人が気になった。
「まあ良いか、とはいかない! 拙者はお主の正体について聞いておる!!」
「自分か? 自分は、ただただ人に気づかれにくい能力を持った軍人だ。それ以上以下でもない、まあ能力は常に暴走しているがな」
「かなり危ないのではないか? っとまあいいでござる。後で洗いざらい聞くとして、今は送り返しつくすでござる!」
「ごめんね。うちの馬鹿が」
「……白としては、早く珠樹に会いたいのだけれど」
そんな事を言っている二人の女性、恐らくあの男の使い魔そして名前はたしか黄金と白。そんな二人のために此処に残って、そして、どんどん日が暮れていった。
「「別に滅してしまえばいいんじゃない? 私はそうするわ、魂の魔術を使うには魂がいるのよ」」
そんな物騒なことを言っている、二重存在のシン・ライルと名乗っている者が片っ端から敵を倒していった。
「……気が滅入るでござる」
「「「「「何か言った」」」」か」
「……いいえ、何にもないでござる」
ああ、誰かタスケテホシイ。
よし、気づかれずに、松平に接近できた。と言っても、台風が来る前に見ただけだから、本当に今もそこに居るか心配だけど、さて、じゃあ、台風なら、水魚と風鳥、あと雷犬が出しやすいかな? とりあえず召喚して、っと。
「なんで君がそちら側につくんだ? 犬飼の姉さん」
やっぱり近づきすぎたからかな? 気づかれた。
「僕は、助けてくれた光、いや人たちに恩返しがしたいただそれだけだよ」
「それが悪行だとしてもか」
「……うん。僕はもう決めてしまったんだ。それに憧れを思い出してしまったんだよ」
「犬飼の姉さん。いや犬飼、そういう事なら、もう……。あんたと敵対する」
「まあそうだよね。僕、手加減できないよ!」
僕はサモンエッグから召喚していた獣たちに攻撃命令を出す。その間、魔力で頭上に雷のサモンエッグを浮かせて雷攻撃に警戒をする。やっぱり、矢が飛んでくるかもだし金のサモンエッグもすぐ出せるようにしておく。いや、それじゃマズイ! 正面に何個か飛ばしておこう。
「しかし、この距離は苦手だな。さてどうしたものかな?」




