31話 古い世界が進む先
古い世界が進む先
また小さくなって逃げようとしているわね。私、式はあの大鬼を倒すために足をすくったところで、また大鬼が、小さくなり始めている。
「ははははは、まだだ! まだ逃げて、また貴様たちを倒しに来る! ヒュドラの毒矢さえ当たらなければ、だ!」
あ、やっぱり、ヒュドラの毒矢は苦手なのね! けどあのサイズ変更が厄介ね。ここで逃がすわけにはいかない! どうすれば、どうすれば!
「私が行きますわ」
小さくなる敵の後ろから、真美が現れて、大鎌で大鬼の左肩を切り落とした。
「ふん、そんな攻撃!」
あれ? いつもだと、すぐ回復するのに、何故か回復しない。なんでかしら?
「なんだ! その鎌は、不死性が消えてしまったぞ! いや、もういい、もう何もかもいい! すべて踏み滅ぼす!」
「マズイ、魔力が膨れ上がっている! 何かするつもりだ。しかも巨大化もしているし!」
一撃砲撃を入れてみるけど、全然倒れる気配がない! それにあれだけ巨大化すると、
「大鎌が通りませんわ、どうしたものかしら?」
「なら毒矢ですわね」
六角が武工装備して、ヒュドラの毒矢を放つ、それでも、
「止まらんさ。止まれんさ!!」
このままじゃ亀ごと押しつぶされる!
5人の撤退を確認できた。よし、珠樹に連絡だ。
「珠樹、前田たち計五人撤退を確認できたよ。作戦、いつでも行ける?」
「アミありがとう、準備完了まであと10秒だよ。で、今の戦闘状況は?」
「奈波が松平と交戦開始、そっちは奈波が優勢。
次に、神奈、皐月、光がゴトと戦闘中、此方も優勢になりつつあるね。
ただ、詩織の戦いの方は、少し詩織が押され気味、どうやらスゴンドが最後の力を振り絞って、前に出たのとそれを援護しようとしてスナイパーが、いや、スナイパーに徹していたやつが前に出て来たみたい。その上で代美は大鬼を倒すために下がったから、詩織一人じゃあそこは抜かれそうだね。
で、さっきも出て来た大鬼だけど、超巨大化。後1分で自重に耐えれなくなって、周りを巻き込んで倒れこみそうだね。
そして、最後にリザと来須の方は、戦線崩壊。藤堂の援軍で来た子たちは死亡。その上、藤堂、木下凪は瀕死の状態だね。ちょうど二人は陣の外だね。
つまり、作戦を実施するなら今じゃないかな?」
「分かったよ。じゃあ陣に魔力を注ぐ。敵全員をこの船を直径とする円から逃さないで! あ、仲間も今陣の中で戦っている人以外は陣に乗らないようにして!」
「今乗っている人たちは大丈夫って事だね、了解」
さて、皆にチャンネルを繋げて、念話にて、
『船の上の皆、敵をこの船に釘付けにして、で、船の外の皆はそのままで大丈夫、というより船に近づかないでね』
各自から了解の返答が届く。
本当にいいのだろうか。私の選択は周りから見ると悪だろう。私利私欲のために世界を書き換えて、その上でその世界を残すという戦法。どう考えても私利私欲だ。まあ、許されることではない。でも、それでも、私たちは復讐のためにここまで来たんだ。
「では始めよっか。終末を」
私、珠樹がつぶやく。まあ私たちは此処を終着点としてきたもんね。
「させるかー!!」
「なっ!」
咄嗟に動く、私を狙っての突撃、
「突破されました! 頼みますアミ!」
「やらせるか! やらせてなるものか!! お前たちの思い通りにした世界だけを残させてなるものか! 皆が幸せになる世界、それを選ばないお前たちになんぞ、世界を任せられない!」
スゴンドが勢いよく怒りに任せて突っ込んでくる。手には真っ二つにされた槍の先端を持っており、それで私を突き刺すつもりだろう。
「ならば! これで」
雨を利用して、氷の壁を作る、これでいったん止まると思う。
「魔法陣展開! 消去術式開始!」
よし、私が魔法陣の展開を完了、魔法に手をかけた! って、アレ? スゴンドは氷の壁を飛び越えて、私に迫る。
「これで、おわりだぁあああああああ!」
「終わりは君の方だよ」
雨や氷の壁が消えていく、それと共に、スゴンドや、ゴト、他の敵も消えていく。
「くそっ、あと一秒、後一歩だったのに!」
呻く大鬼、かなり膨れ上がっているけど、船の外にいたからか、もう体の半分が消えかかっている。
「まだだ!」
氷の壁の上から、今度は来須が跳躍して、私に接近する、マズイ! このままじゃ、アミが氷の壁から射出した氷が来須に当たるが、それでも来須は気にせずこちらに飛び降りてくる、片腕が切れ、足が吹き飛び、それでも私を止めようと小さな防壁ではじき返されないように、斜めに構えながら跳び込んでくる。
「やらせはしないよ!」
いきなり異界が開き、そこから皐文ちゃんが現れて、来須を吹き飛ばした。そして、そのまま皐文はまた異界に戻っていった。
「くそ、もう少しだったのに」
「まだ終わらせれない! 俺は、俺たちの世界のためにお前らを止める!!」
今度は、リザと思われる声が響いて、激痛が走る。あ、魂を込めたナイフっぽい、魂を込めたことによって、私を追跡して攻撃したってとこか、まいったな。
「ごめんもう動けな……」
私は力尽きた。駄目もう動けない。その間にも、敵たちは消えていく。
「貴様らが選んだこの世界、貴様らの独善で守ったこの世界。行き止まりの世界、世界を敵に回した悪、それらがどうあがくのかが楽しみだ!!」
ゴトがそんな事を言いつつ消えていく、まるで呪うかのように。
「そうだな。私たちはどん詰まりなのだろう。だがな、簡単には消えないさ」
私、神奈がそう言い返したところで、ゴトは消え失せた。周りを見渡すと、仲間は消えない。そして、船の遠くにいる敵は消える様子は無そうだ。
「皆、この船と亀を守り切るよ!」
『承知、黒田隊頑張るよー』
『奥羽隊もやるべ』
『竹中隊ファイト!』
そうやって、残党掃討作戦は開始された。
その後何の問題もなく、残党掃討作戦は終わった。下半身だけが残されたアームや、ほぼほぼ動けない、松平の攻撃も有ったりしたが、それでも動けなくなった珠樹たちを守りきれた。こうして私たちの正義を裏切った戦いは終わった。この後、太陽神たちを捧げて、神よりこの世界の安泰を約束された。神は残した世界は4世界と発表、その上で、神はほかの世界を作る事を禁じた。これにより、容量を気にしないでよくなったらしい。
「コウノトリがよく飛んでるね」
私アミは空を見上げてそうつぶやく。3日後、珠樹はまだ目を覚まさない。後1週間は寝たままだろうと代美が言う。
「うん」
乃理やほかの悪魔憑きの皆の墓の前で、涙を流しながら、の言葉に、真美が答える。どうやら、友達と顔を合わせづらいとかで、よく私に付き従っている。そろそろ友達の所に送ってあげたいな。
「真美、もう怒ってないから、一緒に行こう?」
「ごめんねー!! 奈波ちゃん、私があんなことしなかったら!」
「いいんだよ、またこうして会えたんだから」
奈波と真美が仲直りしようとしている。その隣で、光が微妙な顔をしている。でも嫌がらないだけましなんだろうな。
「そういえば、式たちは?」
「式と皐月は、まだ研究中みたいだよ~。そりゃ憧れていた紀光たちとまた一緒に暮らせるって事だから、凄く気合入るんだろうけど、まあ雛はまだ寝ているらしいけど~」
そんなこんなで、私たちは元気でいます。ほかの世界を滅ぼして、私利私欲で残った、この私たちが勝ったこの世界で。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
この話はこれで完了です。ただ、外伝を少し上げる可能性もあります。
もし最初から読んでいただいている方がいるなら、約10年間読んでもらった事になります。(まあいないとは思いますが)まさか自分もここまで続けれるとは思っていませんでした。
今作は三つの話を読んでいないと、分かりづらい話です。私自身もとても書くのが難しくなっていたところもありますが、なんとか書ききれた気がしています。話が交差する、正義ではない、それでも歩んでいく。そんな主人公たちを書けていたらうれしいです。
最後に次回の予定ですが、外伝か、歴史物かで悩んでいます。ただ、少し時間をいただく可能性もありますので、もし、もし待ってくれる方がいらっしゃったら、申し訳ないですが来月から来年に掲載予定になりますので、また読んでやってください。
ここまで読んでいただきありがとうございました。




