20話 友のために
友のために
「じゃ、あたしは行くよ」
あたし雛は、伊和の遺体をその場に置き、手を合わせて、少し涙を滲ませつつも、感情を抑えてさっきの大鬼を追うことにした。仇ではなく、皆が死なないために。その道中に、
「俺たちも大鬼に向かう。なんか大鬼の周りで空中戦が行われているが、もう、港、上空は赤槍、つまりウエアたちによって確保できている。ついでに、黒田隊も向かっているとの話だ。では行くぞ!」
「「「「はい! 木下様」」」」
その掛け声とともに、木下と呼ばれた男を中心とする、悪魔憑きの集団が皆空を飛び船へと向かう。あたしも向かっているけど、こんなに戦力を集めて大丈夫なんだろうか?
「まあ、同盟相手ってだけだからどうでもいいけど、でもあたしも急がないと!」
と言ってもジェットで飛ばせばすぐ着くんだけど。で、今の状況は? 大鬼の足元で二人が船を止めるロープを大鬼に巻き付けようとしている。ならあたしは!
「目を狙う!」
目に向かって、機銃で撃ちまくり、その上でミサイルも発射、これで視界と聴覚は塞いだ。これで、
「足取ったよ~!」
足も縛れたみたいだし、
「なら、一撃で! ヘラクレス!」
「ああ!」
ヘラクレスと呼ばれた男が矢を放つ! これで、あの悪魔の動きが止まる筈!
「ええ?」
いない。なんで?
「くそっ! 小さくなって逃げましたわね」
同じく空から攻撃していた六角が独り言をつぶやく。成程、たしかにアミは小さくなれたみたいだし、それで逃げたって事か。
「と、とりあえず。ここは大丈夫かも? なら……」
あれ? なんか攻撃を受けた? 血が出てる。あ、ああ、あれ? 肩から血が、このままじゃ……。せめて、あれだけでも……。
僕、皐月は海上に出て、やっと落ち着いて来た海上を見渡している。ふう、これならもう、文月は戻して大丈夫そう。文月入港させて、何やら嫌な予感がしたから、空を見上げてみると空から、雛が落ちてきているのに気が付く。ヤバイ助けなきゃ! でもどうやって……。そうだ!あの高さなら、
「機工出港!」
駆逐艦皐月を出す。この高さ、マストで受け止めればなんとかなる筈! 足元に出港したから、僕は元からマストの天辺で構えられた。そして跳んで、雛を捕らえて着水。しかし、
「へ? 血が、血が!」
何とか止血、そして、治療しないと! でも、この血の量! 何とか止めないと!
「止めないと、止めないと!」
ああ、出ていく、出ていく、雛の血が! マズイマズイマズイ!
「あああああ、雛! 雛!!」




