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男女入れ替わりダンジョン配信!~元地下アイドルと落ちこぼれ退魔師、中身を交換したらお互いにとって最適な環境だった  作者: あけちともあき
わけのわからない修行伝説

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第97話 羽のある軍勢と、お料理ショート動画

 今日の配信で使った野菜を、どういう料理にしようか考える。

 こういうのはやはりきちんと使っているところを見せないといけない。

 スタッフが後で美味しく食べましたって言っても、やっぱりみんなが自分の目で見ないと納得しないと思うんだよね。


「風神号、撮影開始。えーと、今日はこのお野菜を使っていきます。お料理は……天ぷらにしますね。天ぷらってとっても便利で、どんなお野菜を使っても大体いけるんですよね」


 スライスした長芋に、短冊切りのパプリカ、いちょう切りのかぼちゃを次々に天ぷらにしていく。

 この贅沢な料理は、花咲里さんの体と入れ替わり、収入状況が好転してから身につけた。

 本当に便利過ぎる、天ぷら。


 さっくりと揚げた天ぷらを、大根おろしを入れためんつゆにちょんっとつけてもりもり食べる。

 ご飯も食べる。


 ああ~、美味しい~。

 普段ならご飯のおかずにならないパプリカで、お米が進む~。


 ハッピーなお料理動画収録をしていたら、どこからか連絡が来た。

 あっ、父からの連絡だ。


「どうしたの?」


『おお、明! 早速配信見たよ! 今日も可愛かったなあ』


「それは息子に掛ける第一声としてどうなんだろう……」


『す、すまん。つい冷静さを失ってしまうんだ。ところで、退魔師たちと戦っただろう? その後、ダンジョンでは羽を全身に纏った妖怪と戦ったはずだ』


「戦ったね。なんか僕、自分が凄く強くなってて驚いちゃったよ。何もかも力を失ったはずなのに、退魔師だった頃よりずっと強い」


『それが同接の力というやつなんだ。多くの同接を集めて活躍し続けた配信者は、大きなイメージダウンでも起きない限り、世界にその力が記録され、配信していなくても力を維持できるようになる……そうだ』


 父が世の中の仕組みを勉強している!


『宇宙明さんが、この羽のある妖怪と霊合教の関連性を指摘してる。地下に潜った霊合教だが、これは国内に燻っている反社会的な組織や宗教と結びついて、徐々にその勢力を拡大している可能性がある……ということらしい』


「大事になってる! というかお父さん、よく勉強したねえ。ちゃんと自分の言葉で喋ってる」


『明の配信を見て、俺も変わらなきゃって思ったからな。それにこっちの世界だと実力主義みたいなもんだろう? 家の血筋で母さんと結婚できたが、こっちでまでヘタレだったら捨てられてしまうかも知れないからな!』


 息子相手に情け無い話を力説しないで欲しい~!

 いや、一念発起して頑張る父は凄いと思うんだけど。


 今は宇宙明さんのところで、退魔師関連の調査員として働いているそうだ。

 気弱で善良な父だけど、実は退魔師としての実力は高い。

 家柄も悪くないし実力もあるんだけど、父の兄……伯父が上席の偉い人で世渡り上手。幼少期からずっと比べられてきていたそうだ。

 自尊心を折られる事に慣れて、今の気弱な父が完成したということだ。


 僕は間違いなく、父の遺伝子を受け継いでいる……!!


『だが、明が羽の生えた妖怪を即座に調伏していたから、あれは多分なりかけなんだろうと思う。さもなくば明がものすごく強くなっているかだが……。あの羽を指して、宇宙明さんは【天使】なる勢力だと喝破してたぞ。ということで、こっちで掴んだ情報を伝えるために電話したんだ。ちょっと役に立ったか?』


「うん、なんか解像度が上がった感じ。ありがとうお父さん」


『娘の声でお父さんと言われる……くう~、湧き上がる自己肯定感! ……あっ、母さん、違うんだこれは。元の明をないがしろにしているわけじゃなくてだな。あ、ああぁぁぁ~』


 情け無い声とともに、父がフェードアウト。

 すぐに母に変わった。


『悪いお父さんは退治しておいたからね。明、あんまり無理しちゃだめよ。あなたは優しい子なんだから、激しい戦いに身を投じてて、母さんは心配だわ。いつでも戻ってきていいんだからね。今は私たち、安心できるところにいるから』


「うん、ありがとうお母さん。僕、今までになかったくらい充実してるんだ。もう少し頑張ってみる!」


『頑張ってね、明! 私たちはずーっと、あなたの味方だからね』


 電話が終わった。

 ああー、心がほっこりしている。

 まさか、両親と自由に電話できるようになるなんて。


 そして、僕が戦ったダンジョンの相手は、天使。

 なんだろうそれは。

 あまり創作物や他の宗教に触れてこなかったから、僕の中に天使のイメージが無い。


「今度、ファノリーさんたちに手伝ってもらって調べようっと。いつもお世話になってるから、スイーツを奢ったりして……と。天ぷらがすっかりつゆを吸ってしみしみになってしまった」


 電話が長かった!

 僕はこれを丼飯の上に乗せて、レンジで温めてから食べた。

 しみしみ野菜天丼、美味い!


 よし、動画の締めはこれにしよう。


「電話がかかってきて、ついつい長話したら天ぷらがしみしみになっちゃった! ということで今日は、しみしみ野菜天丼でフィニッシュです! ごちそうさまでした! 僕、きら星かざりはいつでも、皆さんからのコメント、次に使って欲しい食材のアイデアを募集中です。コメント欄で書いてねー」


 撮影終了!

 これを、短く動画編集する……!


 リーシュさんに教わってる最中の編集だけど、Aフォンが手伝ってくれるからそれっぽい形にはできる。

 どこを編集するんだ……?

 お料理シーンだけでいいのか……?


 こことここをカットして、60秒以内にどうにかまとめて……。


 結局、お料理を作って食べ終わるのと同じくらい時間が掛かってしまった。

 ショート動画は本当に手間暇が掛かってるんだなあ……。



お読みいただきありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
素人考えだけど、収録時間と同じくらいで編集終わるってかなり手際が良いのではなかろうか……?w
伯父が上席とは。 かざりんとサンダーのどっちにやられるのかw しかも家柄がいいなら苗字通り雷系の法術が受け継がれるはずだったのか。
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