第96話 試してみよう、色々なスタイル!
「うおおおおダンジョンには神がおわす! ダンジョンを攻略するな! ダンジョンを攻略するな! 我が賜った天使の羽の力でうおおおエンジェル進化ぁぁぁぁぁ」
「はいはい乱入は遠慮してくださいねー。あちょ!」
「ウグワーッ!!」
配信を始めた瞬間、乱入してきた男の人がいきなり全身から翼を生やして変身し始めたので、僕は忠告を口にしながらエコバッグから抜き放った長芋で叩いた。
そしたら光り輝きながらぎゅんぎゅん縮んでいって、ピチューンと音を立てて消えてしまった。
「なんだったんだろう。配信乱入はほんと困るよねえ……」
※『明らかに今後の展開に重要そうなのが一瞬で処理されたのだ』モチョチョ『なんだあれ!? あ、ファイヤー・アンド・ウインド応募したけど落とされた! チックショー!!』『俺も落ちた!』御座候『今日は色々試してみるとあったが、一体どの様な配信でござろうか』
「応募してくれたの? ありがとう! でもたっくさんいる中から二人だからね。狭き門だよね……。それから今日はね、僕の新しい配信スタイルを工夫していこうという感じなんだけど……。とっておきだった山芋を咄嗟に使ってしまいました。意外と威力あったねー」
※『明らかにただ事ではない変身する奴を一撃で爆縮消滅させたもんね』『今の容赦ないアクションでチャンネル登録しました』『反応速度と打撃の角度が凄い』『かわいい見た目から放たれるプロの技』
「あ、どうもどうも……! 毎日鍛えてますので!」
ぐっと僕が力こぶを作る仕草をしたら、コメントがワーッと盛り上がった。
みんなバイオレンスが好きなんだねえ……。
でも、葉月ママからもらったこのアバターはかわいいから、あんまり血みどろはよくないかな。
今回僕が試そうとしているのは、なるべくファンシーな状態のままで色々な状況に対応していこうという配信だった。
エコバッグはみちみち。
次々にしまってある物を取り出して使っていくよ。
使い終わった山芋は、Aフォンのストレージに。
このストレージが無菌でとても清潔だって言うことが分かったので、今では便利に使うようになっている。
「それにしてもさっきの乱入者怖かったねー。最近はああ言うの増えてるから気をつけてね。僕の同僚のサンダーも、退魔師が乱入してきて大変だったみたいだし! あ、僕のところもだっけ? なんか流れで処理しちゃってた……」
※『仮にも古巣の退魔師がもはや相手にならないw』『ステージが変わっちまったな……』回転『同接パワーがそれほど凄まじいということなんだろう』
「ほんとにね! あ、次のモンスターが出てきたんで別の道具を使ってみます。すみませーん!」
『もがーっ!!』
3mくらいある、肩と頭が一体になってるっぽい紫色の鱗の巨人がいた。
口の中が凄い乱ぐい歯で、口の横からも生えている。
それを開いて、黄色い汁を飛ばしながら僕を威嚇してくる!
ひえー、なんだこれは。
よく考えたらモンスターにも詳しくない僕。
知らないのは日常茶飯事なので、いつも通りやっていこう!
※回転『なんだこれは!! グググッても引っかからないぞ!』『ほんとだ! 画像検索が効かない!』『初見のモンスター!?』『かざりんが無防備に突っ込んでいく! いや、なんかエコバッグからパプリカ取り出したな……』
「菜箸でパプリカを刺して、これで戦います。えーい、パプリカハンマー!!」
『もがーっ!?』
黄色い汁が吹き出されてくるけど、これをパプリカハンマーのスイングが薙ぎ払う!
なんか汁が消滅した。
同接パワーというやつっぽい。
「パプリカハンマー二刀流! 黄色と赤! とあー!」
『もがあああーっ!!』
モンスターが爪を叩きつけてくる。
これを黄色のハンマーで受けると、ボヨンと向こうが弾かれた。
『もがっ!?』
そこに赤いハンマーを叩きつける!
ボヨンとモンスターが吹っ飛んだ。
『もがーっ!?』
ゴロゴロ転げるモンスター。
いきなり全身から羽みたいなのが生えて、ふわっと浮かび上がった。
あれえ?
さっきの乱入者と言い、羽を生やすのが流行ってる?
※『飛んだ!』『あんな邪悪な見た目なのに、天使みたいな羽を生やしてる!』『だけど背中だけじゃなく、顔とか胸とか腕とか足からもデタラメに生えてるぞ』『きんもーっ!』『白い羽なのに禍々しい!』『飛ぶなんて卑怯だぞ!』
「ねー。物を投げないと届かないもんね。なので……投げまーす!! スイング! パプリカ~ハンマーっ!!」
菜箸を振り回すことで、遠心力で抜けるパプリカ!
赤いパプリカが飛来したのを、モンスターがギリギリで避けた。
『もがーっ!! !?』
だけど、移動した場所を目指して、既に黄色いパプリカが飛んできているのだ!
最近はアクションゲームなんかも嗜み始めているので、相手の行動予測を練習してるからね。
バッチリハマった!
なんかここに来るかなーってところにパプリカを投げたら、ちょうど来たもんね。
黄色いパプリカがモンスターの頭に当たり、
『ウグワーッ!?』
モンスターがのけぞり、頭とか背中の翼がバラバラに飛び散り、錐揉み状に落下してきた。
僕はもう走り出しているぞ。
※『いちいち動作が早い!』モチョチョ『ぽてぽて足音かわいい』『ポテポテ音なのに明らかに速いぞ!!』『未来予知か? って速度で、相手が仰け反ったらもう移動始めてたな!?』『かざりんのスタイル、見たことがないものに変わってきつつある……!!』回転『新生かざりんだ!』
「そう! 僕は新生かざりを目指してまーす! はい、落ちてきたので、下からかぼちゃを投げて迎撃! うりゃー」
本日一番重い野菜であるかぼちゃ。
これを両手で放り投げると、落ちてきたモンスターのお尻とちょうど激突した。
『ウグワーッ!?』
モンスターは一声叫んだ後、尻から粉々に砕け散ってしまった。
羽が飛び散ろうとして、全然できずに消える。
落ちてきたかぼちゃをキャッチ!
それからあちこちに落ちたパプリカも回収!
「実はダンジョンって一時的に菌が働いてない状態になるそうです! なので、パプリカもちゃんと洗えば食べられます! 後で、ショートで今日使ったお野菜の料理をアップするので見てねー」
※『新しい……!』回転『かざりんが美味しくいただきました、アフターが見られる配信者だ!!』
僕の新しいスタイル、少しずつ見えてきたかも知れない……。
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