第77話 ダンス特訓だって!?
葉月ママの家で三話まで見たところで時間が来た。
旦那さんと出かけていたらしいお子さん二人が帰ってきたのだ。
「家族が帰ってきた音がする……。これはここで終わりだね……!」
葉月ママの一声で、今回の配信は終了。
「葉月ママ、今日はありがとう! アニメは衝撃の展開だったね!それじゃあみんな、またねー! おつかざ~!」
※『おつかざ!』『葉月っちの家族とな!?』『あっ、枠が閉じる!』『守りが堅い!』『詮索はNGだぞ!』
ということで、配信が本格的に終わりました。
そこに、ドンドンドンッと扉をノックする音。
「ママー! おなかへったー!!」
「おなかペコペコー!」
葉月ママのお子さんだ!
配信カットギリギリだった。
これを聞いた葉月ママは立ち上がり、
「こぉらー! 今日は特別な配信があるから、入ってきちゃダメって言ったでしょー」
扉を開くと、そこには可愛らしい三つ編みの女の子と、ツンツン髪の小さい男の子がいた。
葉月ママが二人をヒョイッと抱き上げて、くるくる振り回す。
すごいパワーだ!!
「キャーッキャキャキャーッ!」
「ピャーッ!」
はしゃぐ子どもたち。
その後から、Tシャツ姿の男の人が現れた。
大阪VS広島ってなんだろう……。
「あ、どうもどうも。いつも家内がお世話になっております」
「あっ、どうも! お世話いただいてます! えっと、きら星かざりです!」
「ああはい。よく存じ上げております」
こうして葉月ママのご一家と顔合わせした僕は、夕飯までごちそうになってしまった。
お好み焼きパーティだった。
旦那さんのお料理が上手い。
僕と葉月ママと、お子さん二人。
猛烈に食べた。
旦那さんが手際よくバンバンお好み焼きを焼いていくのを、ひたすらひたすら、会話もせず食べた。
大阪風、広島風、どちらも自由自在。
とても……美味しかった……。
「大阪風お好み焼きはね、キャベツが本体だからヘルシー。主食は焼きそばが本体の広島風お好み焼きね。お好み焼きをおかずにお好み焼きを食べる……」
「そうなんですか!?」
知らなかった。
そうしたら旦那さんが嬉しそうに、
「ご存知ないんですか? まあ、これは彼女の理論なんで……」
と続ける。
「またママが変なことゆってる!!」
「ゆってるー!」
キャッキャッと笑ったお子さんたち。
僕を見て、
「お姉ちゃんもいっぱい食べる人だねー! ママみたい!」
「おねえちゃんすきー!」
「ヌッ!」
男の子から好きコールをされたら、葉月ママの目がギラリと光った。
「まだ……まだ早いと思うなー。ママはまだ早いと思うなー」
「ええー。おれ、お姉ちゃんすきだもーん。いいにおいするもーん」
「ママはー?」
「ママはたべもののにおいする」
「なにぃーっ」
とても賑やかで仲良しなお宅だった。
子どもたちが食べ終わって、アニメとか見始めたところで、今度は葉月ママが旦那さんのためにお好み焼きを焼いてあげていた。
その後、二人でニコニコしながら食べている。
愛を感じるなー。
それから、葉月ママ、何気に料理が上手いね……?
こうしてとても歓迎されて、お夕飯までごちそうになり。
「またねー! またコラボしようね!」
「はい、是非ー!」
「お姉ちゃんまたねー!」
「またねー! ぜったいきてね!」
「うちのちびが心を奪われてしまった。またね。彼女が新しい娘が出来たって喜んでたから」
見送られることになったのだった。
「えっ、私そんなこと言ったっけ!? 既にこんなにカワイイ子が我が家にはいるのに~」
「ご存じない? 君って無意識に鼻歌でそういうオリジナルソングを口ずさんでる」
「あひー!? ほんとう~!?」
賑やかなお宅だった!
帰ってきたら、僕の部屋で花咲里さんがカップラーメンを食べていた。
うわーっ!
な、なんだか罪悪感!
「ご、ごめんね花咲里さん! 何か作るね!」
「あ、別にいいのいいの。これ、超特盛焼きそば! 上にサラダチキンをちぎったやつを乗せてて、これがウマいのよー」
「僕の体になってから、完全に節制という言葉を失っている……」
「食ったぶんだけ動けばいいでしょ。そしてあんたからは、オタフクソースの匂いがする……。いいお好み焼き食べてきたな!?」
「嗅覚~!」
とりあえず、冷蔵庫から作っておいた浅漬を出してあげた。
せめて口の中だけでもさっぱりして欲しい。
「サンキュー! んでさ、明」
「なに? ……ってもう焼きそば食べ終わりそうだし」
「食べたら動くと言えば……そろそろあんたのダンス練習をね、していこうと思うんだけどね……!」
「つ、ついに……! 何かあてがあるの?」
「あるわよー。この間サーバルが来たでしょ」
「才藤さん? SNSで繋がってるよー」
「いつの間に!! ま、いいわ。で、こうなったら他の先輩方ともつながろーってことを考えて、連絡取ったの。一人の先輩がスタジオ持ってる会社に就職してたんで、そこで貸してもらえることになったわけよ」
「ほえー。人脈凄い」
「全部プレデターズ関連だけどね……。そういうわけで! 平日の夕方借りれるから。行くぞ明!」
「ええーっ、確定!?」
「確定!! なんなら学校まで迎えに行って連行する」
「女子校だよ? 花咲里さん捕まっちゃうよ」
「あたしそんなに怪しくないぞ!!」
歌ってみたの予習にアニメを見て、踊ってみたのためにスタジオを借りて練習するのだ。
僕の次なる活動が見えてきた気がする。
いやあ……もう、完全に退魔師の事を忘れて女子配信者として活動してるんだけど……。
毎日こんなに楽しくていいのかなあ!
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