第61話 バーチャルでつわもの発見!
クジョーさんとともに行く、バーチャル世界観光。
飛行機にも乗った。
バーチャル飛行機!?
ところどころ、機内から頭とか腕が突き出したりしてるんだけど!?
「あえて甘めに設計して、隙間から手足が出るようにしてるらしいな。確かにこの方が面白いもんな」
「そうですか!? そういうのが空を飛んでるんですげえホラーなんですけど!」
で、あたしも乗ってみた。
まあ、バーチャルだから飛行機特有の浮遊感はない。
でも、視界だけでも臨場感は味わえるものだなあ。
「うーん、三半規管が弱い人なら酔いそう」
「酔うだろうなあ」
わはは、とクジョーさんが笑った。
そこから、バーチャルなクラブに行って美女に接客されたりした。
なお、美女の中からおじさんの声がするんだが?
「中身のことは、本人が話してくれるまで詮索しない。そいつがここのルールだよ。どう? なかなか楽しいだろ」
「確かに楽しいですねえ……。次に何が来るのか予想もつかない」
なお、さっきの美女おじさんでリスナーが大いに盛り上がっていた。
※『他の配信でも見たことあるけど、やっぱインパクト凄い』『男の声のまま女性をやる……そんな選択肢もアリだな……』『つまり女の声のまま男を!?』『できらあ!』
あたしに変なのを要求するなよ!?
……っていうか、よく考えたら、あたしはこのバーチャルで演じてる人達とまんま同じだったわ。
「ってことで、平和なところは巡ったな? おっしゃ、じゃあ俺のメインフィールドに行こう!」
「クジョーさんのメインフィールド?」
「ゲームに決まってるだろ? 遊べる種類は、大別するとこの世界オリジナルのシンプルなゲームと、提携している正式なゲームシリーズとの二種類だ。没入感がすげえぜ?」
それぞれの世界のあちこちに据えてある、世界間移動ゲートをくぐると……。
ロビーに出た。
ロビーは何百もあるらしく、ランダムで空いているロビーに飛ばされるらしい。
で、そこからあたし達が飛んだのが……。
「格闘ゲームの世界!」
「そう! 何種類も遊べるけどな。今回はワールドウォリアーズ6で遊んでいこう。初めて? じゃあ俺がレクチャーするよ」
「あ、どもっす。ええと……バーチャル世界版は、腕に覚えがあれば自分に近いキャラで、動いたままにキャラ操作ができる……? ふんふん。音ゲー以外もやってみるか……」
選んだのは、喧嘩殺法系のキャラでストリートファイターのバトーシュ。
姿も、パーカーにジーンズ、スニーカーだし、あたしと被ってんじゃない?
「おっ、筋がいいぞ! 上手い上手い。そう、そこ! ここでこの技を……そう! いいねー。やるねー」
クジョーさんがめちゃくちゃ褒めながら教えてくれる。
き、気持ちいー!
※『やっぱステゴロはサンダーだよな』『普段からやってるから馴染んでるね!』『上手い!』『初めたばかりとは思えないー!』
「ゲームパッドとかで遊んだら、また全然違うと思うけどね。普段の配信でもやろっかなー」
ちょっとその気になってきた。
なお、やるならクジョーさんが格ゲー専用コントローラーを一つ奢ってくれるらしい。
マジですか!?
や、やろう……。
そんなやりとりをしていたら、向こうがワーッと盛り上がった。
「リアルファイトだ!」「チーターが出たぞ!」「よりによってバングラッドさんに仕掛けやがった!」
「なんだなんだ!?」
「ああ、古参の名物プレイヤーだよ。見に行こう。面白いものが見られるぞ」
クジョーさんとともに向かったのは、俺がいた初心者スペースの近くにあるバトルスペース。
腕に覚えのあるプレイヤーが、近いランク同士で戦い合ってポイントを奪い合う場所なんだとか。
そこで、2mくらいある甲冑の大男が腕組みして立っていた。
あれ?
あの人、退魔師のところから明の両親を連れ出してくれた人じゃん!
そして相手は……。
うわーっ、3mくらいの銃とかで全身を武装した化物みたいなやつ!
「ありゃ、違法アバターだなあ……。チーターとか言ってたし、ご法度のチートツールで暴れてたら、あの人が出てきちまったんだろう」
「有名なんですか?」
「おう、あの鎧の人な。俺がガキの頃にデビューした配信者で、イカルガエンターテイメントの古参だよ。つえーぞ」
「へえー……」
イカルガエンターテイメントと言えば、配信者業界では最大手の一つ。
百人近い配信者を抱え、ワールドワイドに展開しているところだ。
そこの最古参?
『ぐはははは! 小僧! この我の前でチート行為とは、実力では何もできぬ雑魚であると喧伝しているようなものだぞ!!』
「うるせえええええ! 雑魚雑魚雑魚! お前らが雑魚なんだよー!! 死ね死ね死ねーっ!!」
ばりばり放たれる銃弾!
それがかすめたプレイヤーの人が、アバターにダメージを受けて「ウグワーッ」と叫んでいる。
「あれ、ヤバいやつじゃん!」
「ああ、違法アバターだ。裏の方でああいうの売ってるんだよなあ。基本的に運営に訴えて対処してもらうものだけどよ。あの人はまあ別格だ」
鎧の人が、違法アバターに掴みかかる!
乱射している銃を鷲掴みにすると、力任せにもぎ取った。
飛び散る火花!
「ウグワーッ!? プ、プログラムを力で無理やり!? そんな馬鹿なー!!」
『防御の術も施されておらぬアバターなぞ、裸と同じよ! そおれ!』
また一つ、銃をむしり、装甲をひっぺがしてぽいっと捨てる。
「ウグワーッ!! こ、こいつやべえ! つええ! みんな、袋叩きにしろーっ!」
チーターの叫びに応じて、あちこちで違法アバターを着込んだ奴が現れた!
こ、これはヤバいぞ!!
※『サンダー! こいつはチャンスだぞ!』『サンダーの打撃を見てみたい!』『バーチャルでも、配信者はアバターのまんまだから同じように動けるそうだぞ!』『がんばれーっ! 新時代の力を見せつけろー!』
「マジ!? やっちゃっていいの!?」
「おう、行け、サンダー! 俺は見てる」
クジョーさんがあたしの肩を叩いて、なんかニッコニコでサムズアップするのだった。
よっし!
話が分かりやすくなってきた!
「サンダーマスクが助太刀するぜーッ!!」
『おお!? 若いのが来たな! がはは、では背中を預けるぞ!!』
初対面な鎧の人、バングラッドと共闘だ!
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