第212話 公開収録、きら星インタビュー!
案内された第三会議室。
入ったら、それなりに広い空間で、ごちゃごちゃと機材が置かれてるんだけど。
「ここなのだ。まあ入るのだ!」
「おじゃましまーす」
うぉっちもんさんに連れてきてもらって、入室。
どうやらこれって、撮影機材みたい?
つまりここで、僕へのインタビューを撮影するんだと思う。
「Aギルドなら何人かの配信者さんに集まってもらうのも容易なので、ここに来てもらいましたのだ! 順番にインタビューしていって、これは動画にしていきますのだ。依頼料は後ほど」
はーい、と後ろから声がした。
あっ、他の配信者の人たちがいる!
普段からあまり、身内以外と絡まない僕。
ふうらいエレメンツじゃない配信者は新鮮だなあ。
この間のソノスさんが、そもそもレアな外部配信者との接触だったし。
「どうもどうも、きら星かざりです」
「知ってる! きら星を継承した子でしょ? どんなもんかなって思ってたら、あっという間に伸びていって、こりゃ本物だって思ってたとこ!」
赤いレザースーツみたいな服の女の人だ。
プロポーションがよく分かる、体にフィットした衣装に背中に小さな赤いコウモリの羽。
そして腰には丸められたムチ。
「怒村りりす。私の名前! よろしくねー、かざりちゃん!」
「よろしくお願いします! ボンテージファッション似合ってますね。体をシュッと絞らないといけないから、それをかっこよく着こなせてるの凄いです!」
「そお? んふふ、見る目あるじゃーん。あなたって元々男の子なんだよね? ということは男子高校生に褒められた? 嬉しいかもー」
フレンドリーなノリの人だ。
前は苦手だったけど、今は全然平気。
裏表ない人なんだって分かるからね!
彼女は、サタン・イラさんフォロワー系の配信者。
有名配信者に憧れて、そのスタイルを真似する人も多いんだって。
もう一人いたのは、白いドレスの配信者の人。
「ふわふわ系とふわふわ系でふわふわが被ってしまうな……」
「なんか言ってる!」
「かざりちゃん、この人は風の妖精系のRPがメインの配信者で、太刀風しるふちゃん。配信者三年目のベテランだから、私らの先輩だよー」
「ほえー、先輩!」
「フフフ……気持ちよくなってしまうから崇めるのはやめなさい」
面白い人だ。
元女子相撲部というすごい経歴の持ち主で、このたおやかな外見からは想像もつかないパワー溢れるバトルをするらしい。
風の速さでがぶり寄りして、上手投げ、下手投げ、小手投げに掬い投げ……七色の投げ技で相手に土をつけるとか。
ここでうぉっちもんさんが説明してくれた。
「本人の自認は風の妖精だけど、その戦闘スタイルと男らしい様子から土俵際の妖精、女の中の力士とか呼ばれているのだ! すごい人なのだ」
「うん、その説明だけで凄いって分かった。配信者の世界は広いなあ……」
僕はとても感心してしまった。
『ムチを使った戦闘や、相撲スタイルはマスターにとっても参考になるかも知れませんね』
風神号が少年モードに変身して、二人にペコっと頭を下げ、それから思いついたことをメモし始めた。
これを見て、りりすさん、しるふさんがハッとする。
「び……美少年……!!」
「噂に聞く、人化したAフォンか!! 欲しい!!」
お姉さんたちの鼻息が荒くなったぞー!!
こうしてインタビューが始まった。
「注目の配信者をピックアップしていく動画なのだ。御三方に並んでもらって、これからインタビューしていきますのだ。りりすさん、あなたはサタン・イラちゃんの影響を受けているそうですけど……ずばり、本人から権能を授けられていますのだ?」
これはかなり深い質問だったらしく、りりすさんが「むむう!!」と目を見開いた。
「実は、ようやくこの間御本人と会えて、すっごく気さくな人でー」
「うんうん、気さくという次元を超えているのだあの人は。本来の立場を考えると、あんなにホイホイ表に出てきていい人ではないのだなー」
インタビューが進んでいく。
しるふさんが相撲愛を高らかに宣言し、彼女の今のスタイルは圧倒的オリジナリティであることが明らかになったり。
みんなで僕のとこの風神号をかわいいかわいいといじったり。
『マスター、助けて下さい』
僕の後ろに風神号が隠れたので、女子二人が「かわいい~!!」と大盛り上がりした。
風神号が人気すぎる。
「ではきら星かざりさん。偉大なる先代とどうしても比較される立場なのだ。そこにプレッシャーは感じないのだ?」
「感じないと言うと嘘になる気はするんですけど、実はもうあえて先代のアーカイブは見てないんです」
おおーっとその場がどよめく。
撮影してる、うぉっちもんさんの会社スタッフの皆さんもだ。
「僕は僕ですし、僕にしかできないことはなんだろうなって毎日思いながら配信してます。カザトモのみんなもそれを応援してくれてますし! お陰で毎日楽しくて」
「いいことですのだ! それで、かざりさんと言えば清楚な見た目から繰り出される、毎回の奇想天外な戦い方なのだ。誰も事前に想像できない戦闘スタイルはどうやって考えてますのだ?」
「そうですねえ。その日に持っていくものは、お買い物に行きながら考えます。最近はおもちゃに凝っているので、マネージャーさんには毎回、玩具メーカーさんの許可を取ってもらってるんです。でも、僕が使ったら売上が上がったって聞くと嬉しくはなりますよね! あ、僕とコラボする緑のビームソードが本格的に受注生産始まるので、みんな予約してくださーい!」
画面に手を振る僕。
みんながなんかにっこりした。
「最後に……。かざりさんは元々男の子なのだ。男に戻りたいって思ったりしないのだ?」
「戻れるなら戻りたいです! 一応、今の姿だと魂の両親と肉体の両親がいる感じになるんで」
おー、とどよめく会場。
「ただまあ、戻れそうにないので今のまま頑張ります! これからも応援よろしくお願いします!」
「正統派なのだ!」
「生まれがちょっと変わってるので、せめて配信スタイルは分かりやすく王道で行こうって考えてまして……」
りりすさんとしるふさんが宙を仰いだ。
なんでそんな顔をしているんだろう。
「き、奇をてらう事に集中してしまった……」
「内なる相撲を封じきれなかった……」
何か反省があるみたい……!?
こうしてインタビュー動画の収録も終わり。
あとは反省会に突入なのです。
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