第209話 ダンジョン攻略を見学に来てもらった
「小職、ダンジョン攻略を生で見るのは初めてナリ」
「これ、この間から連続して続いてる天使案件のダンジョンだから注意して下さいね。天使のビームに当たると普通の人だと塩の柱になったりますから」
「なんという残虐行為ナリ~。違法ナリ」
「天使は違法でしょうねー」
『マスターが上手く流していますが、本当にこの弁護士を連れて行っていいんでしょうか?』
風神号が心配してる。
大丈夫じゃないかな。
僕が思うに、唐草さんは生存能力高いタイプだと思います。
「それで、どうして唐草さんは現場が見てみたいって思ったんですか? うちのスタッフの人、基本的にダンジョン見に来る人いないんですけど」
「小職は部屋に籠もっているだけの弁護士ではないナリ。事件は事務所ではなく現場で起こっているナリ! つまりダンジョン関係の訴訟案件もちょこちょこあるので、ケーススタディとして現場を見ておきたいと思ったナリ」
「へえー、凄い! 流石ですね」
「むむっ、圧倒的美少女による尊敬の視線を感じて小職絶頂寸前ナリ!」
『マスター、この男はここに置いていきましょう』
風神号が冷酷なことを言ってる!
「じゃあ配信をスタートしますね。こんかざー」
「あっ! ノーウェイトで配信が始まってしまったナリ!!」
※『こんかざー!』モチョチョ『こんかざ!』『なんかゲームキャラみたいな男がいるぞ』『なんだあいつは』
「この人は、うちの事務所に新しく加わった法務関係のスタッフで、現役弁護士の唐草さんです!」
「唐草ナリ! 当事務所への営業妨害や誹謗中傷を快刀乱麻に叩き斬り、開示請求をしてお金をがっぽりもらうために参戦したナリ!」
※『濃いぞこいつ!』『本当に弁護士なのか!?』『本物だよ。俺の同期だもん。しかも腕はいいぞ』『現職弁護士がリスナーに!!』
ふうらいエレメンツに法務部門が誕生したことが知られたようだし、困ったリスナーさんとかは控えてくれるようになると嬉しいな。
さあ、ダンジョンを進んでいこう。
「ここなんですけど、迷宮省に囲まれて横転したバスを中心にダンジョンが発生してて……。知ってると思うけど、あの芋洗いジャンクションです。あそこ、今三日目に入った通行止めでしょ。そこが天使たちが溢れてて、まるごとダンジョンになってるんです。今日は唐草さんの車で送ってもらいました」
※『あのゲームキャラみたいな男免許を持ってるのか……』『異種族だろ?』『人間らしいぞ』『なぁにぃ~!?』
唐草さんで話題が持ち切りだ。
でもこの人、あくまで弁護士である自分に誇りを持っているらしく、配信者をやるつもりはないそうなのだ。
「じゃあ行ってみましょうー」
「よろしくお願いするナリ」
唐草さんを引き連れて、芋洗いジャンクションを進んでいく。
退魔師だった頃の僕だったら、何の力も持たない一般人を連れてダンジョンに入るなんて絶対にやらなかった。
だけど、まあ唐草さんなら死ななそうだし行けるかなと思って今回は引き受けた。
この辺り、僕はちょっと緩くなったかも知れないなあ。
「風神号、今回の君は唐草さんの護衛に徹してね。メインは僕がやるから」
『はい、任せて下さいマスター!』
「守られるナリ!」
※『何をしに参加してるんだ、この弁護士……?』『とか言ってたら天使が出てきたぞ!』『結構な数だ!』
「あっ、僕だけだとやっつけるのに時間が掛かりそうなんで、風神号ちょっと持ちこたえて!」
『はい、マスター! 烈風武者チェーンジ!』
風神号の姿が変わる。
甲冑を身につけた男の子だ。
※『うおおおお風神号きゅん甲冑モード!』『若武者って感じでいいな』今川『この年頃の男子は大変カワイイでおじゃるなあ……』
『任せて下さい! たあーっ!!』
風神号が槍を振り回して、天使を威嚇している。
なお、その後ろで唐草さんがちょろちょろ動き回ってる。
ピョーンと跳ねたり、サササッと左右に移動したり。
※『弁護士の動きがうざいw!!』『あっ、あいつビームに当たったぞ!』『ちょろちょろ動くからだろw!!』回転『なんで赤く点滅して「アウチナリ!」で済んでるんだ……?』『人間って点滅するのか……?』太鼓『クラフトゲーのキャラだよな、どう見ても……』
やっぱり!
サンダーに攻撃されても点滅するだけでダメージを受けた感じが無かったから、絶対特殊な打たれ強さがあると思ってたんだ。
今回は唐草さんに護符の縫い込まれたスーツを着てもらってるから、ビームへの耐久力はかなりあると思うけど……。
本人性能でなんとかいけちゃうかも?
僕はと言うと……。
「実は、先日の配信でビームソードの弱点に気付いたんだよね。あれって強いけど、あくまで一対一がメイン! だから今回は一対多を考えた武器を持ってきました!!」
じゃじゃ~んと取り出す、おもちゃの銃。
両手で掴むくらいの太さで、横にくるくる回すハンドルがついてる。
中には柔らかいスポンジ弾。
※『こ、これはーっ!』『子供向けのおもちゃ!』
「正解! お風呂ガトリングガンです!! いきまーす! おりゃおりゃおりゃー!」
天使ビームをジャンプしたり前転して回避しつつ、周囲にスポンジ弾を撒き散らす。
ハンドルをぐるぐる回すだけでいいから、とても楽ちん!
銃っていうのは、当てるのと避けるのに専念できるんだなあ。
かつて、サバゲー合同配信で二世さんやクジョーさんに教えてもらった戦い方を思い出す……。
車を遮蔽にしながら、飛び出しつつ天使の群れをガトリングガンで一掃!
『ウグワーッ!!』『ウグワーッ!!』『ウグワーッ!!』『ウグワーッ!!』『ウグワーッ!!』『ウグワーッ!!』『ウグワーッ!!』『ウグワーッ!!』
振り向きざまに、唐草さんに向かっていた天使をハンドルをぐるぐる回して一掃!
『ウグワーッ!!』『ウグワーッ!!』『ウグワーッ!!』『ウグワーッ!!』「アウチナリ! 小職に当たってるナリ~!!」
「あっ、ごめんなさいー!!」
こうして、ドタバタしたダンジョン配信は後半戦へ。
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