第207話 マスターもやっつけるぞ、ドミニオン級!
マスターが走りながら、天使ビームをビームソードで反射します。
反射できるんですね、あれ。
私は烈風巫女の力を使い、天使ビームを袖で受け止めてから収束させて……。
『えっ、これ巫女の技なんですか?』
疑問を感じつつ、収束反射天使ビームで辺り一帯を薙ぎ払いました。
※『うおおおおお巫女男子風神号きゅんつえええ』『かざりんの剣豪アクションというか、なんだ!? 普段のぽわぽわからは想像もできない動き!』回転『かざりんは基本的にキレッキレの動きをするんだが、最近は珍しくふにゃふにゃしてたからな』『新規の人には驚きだろうて……』
アーカイブでも、マスターの動きはふわふわしたものがピックアップされていますからね。
本来は、元退魔師として訓練された鋭い動きが売りなのです。
さらに、手にした得物に合わせて剣術、体術、槍術など動きを変えます。
この器用さこそがマスターの強みですね!
さらにマスターの横では、ソノスさんが空を飛ぶスピーカーみたいなのを操って戦っています。
スピーカーから飛び出す音が衝撃となり、遠くや空の天使たちを弾き飛ばします。
見栄えのする遠距離系ですね!
「俺がサポートしなきゃって思ってたけど、かざりん強いな!? 体術一本でそんなに強いなんて思ってなかった! なんでビームを弾けるの!?」
「これ光に見えますけど、光より全然遅いんで!」
「音くらいってこと!?」
つまりマスターはソノスさんの攻撃を弾けることに……?
いやいや、人間の反応速度ではありません。
ですが、今は天使ビームを確実に弾いて他の天使に当てるという離れ業をやってのけています。
どうやら退魔師には、相手の攻撃を弾いて他に当てる芸当が存在したようです。
「僕は元々術が弱かったから、退魔師の技術みたいなのはなんでも学んでかなきゃいけなかったんで! 今はみんなの同接パワーがあるから、これを発揮できてる感じです! えいやー!」
六方向から同時に来た射撃を、一歩横に踏み出しながらタイミングをずらしてことごとく反射します。
ビームソードがブォンブォン唸ってますね!
反射されたビームを浴びて『ウグワーッ!』とのけぞった天使を、駆け寄ったマスターが斬り捨てました!
実に見栄えがいいです!
天使たちでは埒が明かないことにようやく気付いたのか、このダンジョンのボスが出現しました。
真っ白な修行服みたいなのを着た男がこっちに歩いてきたと思ったら、たちまち全身が塩の柱になって崩れ落ちていきます。
彼が命をかけてボスを召喚したんでしょう。
現れたのは、完全武装の天使です。
光の槍を持っています。
これは葉月ママが倒したドミニオンの仲間でしょう。
かなりランクの高い天使ですよ!
敵も着実にパワーアップしてきてますね。
その代わり、呼び出すにはそれなりの修行ができる人の命をコストとして捧げるようですが。
※『ドミニオンか!』モチョチョ『でかくて甲冑で翼まであるなんて卑怯だぞ!』『かざりんと比べると大人と子どもと言うか』『かざりんは女子としては平均身長だからな……』『だがドミニオンがなんか眠たい口上を言ってるのをちゃんと聞いてあげるかざりん!』
「やっぱり無視すると可哀想かなって」
『流石マスター優しい!』
「かざりんみたいに、あえて相手に気を遣うことで敵の権威みたいなのを下げ、パワーダウンさせる戦略ってのがあるんだ。研修で学んでたけど、実際に使う人がいるとは……」
『ぬううううう、不敬! 不敬なり! 我が言葉は父の代弁! 父なる神を愚弄する邪教の徒がぁぁぁぁぁぁ!!』
ドミニオンが怒りました!
※『気を遣われて全部話を聞いてもらっちゃったね!』『かざりんがもういいです? って聞いてる!』『火に油を注いでるぞ!』『これがきら星(戦慄)』
ドミニオンが空から光る槍の雨を降らせます。
ですが、マスターはこの間を素早く駆け抜けつつ、最小限の動きで槍を切り払います。
さらに地下からも槍が突き出してきました。
マスターが飛び上がって、槍の先端をちょんちょんと蹴りながら移動します。
高く突き出してきた一本を切断し、ドミニオンに向けて撃ち出しました!
「あちょー!」
『うおおおおーっ!!』
盾で槍を弾くドミニオンです。
一瞬視界が途切れたところに、マスターがあっという間に近寄っていました。
速い速い。
一瞬で間合いをゼロにしました。
※『つえーって』『かざりんあんなに強いの!?』『可愛い系とかほわほわ系かと思ってたのに』『きら星の加護を受けた、超正統派スタイルの配信者だ!』『普通に隙がなくて、環境を利用した戦い方を心得てて、先の先まで読んでて強い』『人間って魔法も何もなしであそこまで強くなるんだな……!!』
『マスターが褒められてて鼻が高いです』
私はとても嬉しくなります。
「そお? じゃあ後でアーカイブ見て、みんなにお礼言っとくね! ちゃー!」
ビームソードでドミニオンの盾を弾き飛ばし、『ぐおおーっ!』と突き出されてくる槍を切り落とし。
返す刀で相手を逆袈裟!
『ウグワーッ!?』
そこからさらに「あちょー! エックス斬りー!」袈裟懸けに斬って、ドミニオンの体に✕の字の光が浮かびました。
『馬鹿な……こんな馬鹿な……!! 人類がこれほど強いはずが……都市攻撃型天使である我がこのようにあっさりと……ウグワーッ!!』
「うおーっ、やるなかざりん!! っていうか、前のかざりんの戦い方が、さらに洗練されてる」
「日々修行してましたから! あっ、この配信見てたら、会社の人ー! ビームソード、おもちゃ会社さんに事後承諾をもらってください! お願いしまーす!」
こうして、近隣二つの地域で発生した霊合教による大規模テロは鎮圧されました。
驚くべきことに、死者ゼロだったようです。
葉月ママの迅速な動きと、マスターとソノスさんによる配信者が徹底的に目立つことで、天使たちの目を全て惹きつける戦いが実を結んだのでしょう。
なお、ビームソードは緊急生産が決まり、受注がスタート。
なんときら星かざりオリジナルカラーとして販売されることになりました!
某おもちゃ会社は大変に潤ったそうです。
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