第204話 第一の襲撃!は鎮圧されました
後から、見知った顔の方々が画面に現れます。
迷宮省のスタッフの皆さんです。
『ああ、そちらにかざりさんもおられたのですね。今回の事件の中心にはあなたたちふうらいエレメンツがいます。ですから協力を仰ぐつもりでした』
「園宮さんだ! はい、なんか良く分からない状況ですけど、頑張ります!」
マスターがやる気を見せています。
この方は本当に実力があるので、きっと天使側の攻撃を見事に防いでくれることでしょう。
そんな中、一台のバスが映し出されています。
これはなんでしょうか?
「色々なカメラ映像を分析、追跡して見つけ出した、敵の手勢なのだ」
『もう見つけていたのですか!』
「通信に妨害を掛けているのだ。向こうもネット環境に干渉する力を得ているみたいなのだ! だから、ちょっと前の映像なんだけど……」
町中に男が降り立ち、彼に続いて一様に俯いた人々がバスの中から出てきました。
男が何かを叫びます。
「音声を捉えたのだ」
『我らが主よ! これよりこの地を聖別し、使徒の方々が降り立つ聖なる場とします! どうかお見守り下さい! 行くぞ、お前達! 御使いを呼ぶのだ!』
『おおおおー!』
俯いた人たちが顔を上げると、その目が白く輝いています。
口を開いたら、そこから白い光が溢れました。
なんでしょうこれは。
『これは……。恐らく、霊合教に関係する者たちでしょう。彼らは自らをダンジョン爆弾とでも言うべきものにして、その身を投じてダンジョンを呼び出したりしたと記録にあります』
「ほえー! あ、ここ、小学校の前だ! 子どもたちが外に出られなくて困ってる! そっか、夏休み中の登校日だったんだ!」
『これはまずいですね。すぐさま迷宮省特殊部隊の出動と、近隣の配信者に要請を……』
「その必要は無いのだ」
うぉっちもんさんが遮りました。
なぜでしょう?
私は不思議に思いますが、マスターはすぐ理解したようでした。
「あ、葉月ママがいる」
『えっ!?』
園宮さんたち、迷宮省スタッフが画面を凝視します。
共有画面を分かりやすく、うぉっちもんさんがマーキングしました。
画面端に、日傘を差した女性がいます。
監視カメラを見上げてから、霊合教の人々に振り返りました。
霊合教は既にその身を天使に捧げており、幾多の翼を持った存在が降臨しています。
さらに、中心であった男は背後に白い翼に甲冑を纏った巨人を呼び出していました。
『おお、尊きドミニオン!! どうか、この汚れた地を一掃して我らの聖地へ』
『おおーっ! 我らが父の御名において、今我が力を示す……』
『あのうー。学校に用事があるんで通してくださーい』
『なにっ』
誰も葉月ママさんに気付いていなかったようです。
天使ですら動きを停めて、みんな葉月ママさんを見ています。
『女ぁ~! 聖なる儀式を邪魔したなぁ~!! ここは! これより! 聖なる地となる! 聖なる儀式には贄が必要なのだ! 喜び、贄を捧げるがい……』
『ちょっと通りますね……。あちょっ』
『うっ』
首筋をチョップされて、中心人物の男がぶっ倒れました。
天使たちがざわつきます。
『おおおおおお、不敬、不敬なる者よ。天よりそなたに罰を与えん! 天の雷を……!!』
雷鳴が轟きます。
青天の霹靂というやつです。
子どもたちが悲鳴をあげました。
ですが落ちてきた雷は、葉月ママさんが『えい!』と掴んでその辺に捨てました。
盛り上がっていた天使たちが静かになります。
『じゃあ通過しますので……』
『おのれーっ!! 我らをここまで愚弄するとは! 天使たちよ! 武器を構えよ! 神敵! 神敵である!!』
光りに包まれ、フル装備になる天使たち。
「葉月ママがんばれー!」
マスターが応援しました。
画面の中の葉月ママさんは、日傘を畳みました。
何かを取り出します。
あれは……。
『PTAで作ったポスターソード!』
丸められたポスターです!
天使たちが次々に襲ってきます!
光り輝く武器が振り下ろされる……!
それを、葉月ママが丸めたポスターで弾きながらへし折り、返す刀でつんつんつつきます。
突かれた天使が『ウグワーッ!?』と爆散しました。
『なにぃーっ!!』
ドミニオンとやらは威厳も何もあったものではなく、大いに驚いています。
天使が全滅しました。
5秒くらいだったと思います。
既に葉月ママがドミニオンの眼の前にいます。
ドミニオンは慌てて剣を抜き、そこから雷を放ちますが……。
雷は葉月ママが掴んでペイっと捨てました。
雷が止まります。
『で、でたらめなーっ!!』
「じゃあ倒しますね……あちょー!」
『ウグワーッ!!!』
頭をポスターで叩かれたドミニオンが、ピチューンと情けない消え方をしました。
『すぐに迷宮省スタッフを急行させます。貴重な証言が得られそうです!』
なんと、ドミニオンを召喚した人は、真っ先に葉月ママに当身を食らって失神したため、塩の柱になっていません。
葉月ママ率いるPTAのお母さんたちが、次々に小学校に入っていきました。
これはめでたしめでたしなのでしょう。
流石は葉月ママ、マスターのキャラクターデザインをなさった方です。
どうも行動と強さが異常なのですが、そんなものなのでしょう。
「葉月ママ凄いねえ。僕も会いに行こうっと」
「僕も行くのだ!」
ここは現場検証と参りましょうか。
マスター、私、うぉっちもんさん、そして迷宮省の方々と合流して、現場へと急ぎます。
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