第203話 うぉっちもんさんと連絡が取れました!
バスが地元に到着した頃合いで、私に返信がありました。
なんと、大物ニュース系配信者、うぉっちもんさんと連絡が取れたのです!
『マスター、一大事です! うぉっちもんさんと会うことになりました!』
「へえー! 僕も知ってるすごい人じゃん! いつ会いに行くの? 今? 今からでもいいよ?」
『今行きましょう!!』
こうして事務所にバスが到着したあと、マスターと一緒に出発する私たちなのです。
表向きは静かな世界ですが、今は風雲急を告げる展開なのです。
のんびりしてはいられません。
事務所の皆さんは、これからグッズのデザインや発注、動画の編集に広報で大忙しでしょうし。
明日には法務の方の面接もするそうですし。
「でも、連絡を取ったのは風神号でしょ? ちゃんとそういう姿していかないと」
『確かにそうでした。では、バーチャライズ!』
私の姿が、少年のようなものに変わります。
なんとなくマスターとも似ていますから、姉弟みたいに見られることが多い気がします。
飛び出していく私たちを見て、社長が、
「若いなー!! イベントの後ですぐにバリバリ動けるなんて!」
と感心していました。
そのために、マスターは毎日たくさん食事をしてエネルギーを蓄えていますからね。
そして電車に乗り込み、目的地へ向かいます。
確か、うぉっちもんさんはサンダーと一緒に釣り配信をしたりされていたはずです。
都心に向かい、中野駅で地下鉄に乗り換え、さらに行きますと……。
うぉっちもんさんと待ち合わせした駅に到着です。
私たちが伝えてあった降り口から出てきますと、向かいにあった喫茶店から壮年の男性が現れました。
メガネを掛けて、半袖の柄ものワイシャツを着た方です。
「待っていましたよ。どうも、うぉっちもんです」
『あなたが! あ、私は風神号です』
「かざりですー」
「二人ともまだお若い……というか、風神号くんはAフォンだとは信じられないほどのアバター精度ですね。では我が家に向かいましょう。ちょうど僕が集めていた情報と、風神号くんが気づいた連中の動きが符合しているんです」
話の展開が早い!
流石は長年ニュース配信をやって来た人です。
今ではチーム制になっていて、情報収集を行うメンバーを雇用しているとのこと。
長年、正確で面白いニュースを配信し続けるというのは、この組織力あってのものだったのですね。
「まあ、最初は一人だったし、ネットで集めた情報だけでやってたんですけどね。御存知の通り、僕はこの国にいる大罪能力者の一人。強欲のマモンの力を持っています
。この力を得てから、僕にはこの世界のために僕なりの戦いをする使命があると思うようになったんですよ」
駐車場に停めてあった、うぉっちもんさんの車に乗り込みます。
それなりに車の通りが多い道ですが、不思議とうぉっちもんさんの前を走る車がありません。
スイスイと走っていきます。
「強欲の力を反転させて使っているんです。誰も僕の前に入りたくなくなる。お陰でスムーズに進めるというわけです。もちろん、お行儀のいいことじゃないけれどね」
緊急事態だから許して欲しいと、うぉっちもんさん。
到着したのは、ビルでした。
都心にある小さめのビル一つが、丸ごと彼の職場であり、家なのです。
儲かっていますね……。
「凄いねー。儲かってそうだねー」
『マスターが皆まで言ってしまった!!』
「ははは、確かに! 結構な収益は上げています。営利活動もしていかないと、そもそも配信は続けられませんからね」
車が地下の駐車場に入り、そこからエレベーターで地上へ。
一階から三階が企業スペースで、その上が自宅と。
迎えてくれたのは、インド出身だという奥様でした。
お子さんは遊びに行かれているようです。
「あらかわいい! 子どもは大好きよ。あー、かわいいかわいい」
『ありがとうございます。あっあっ、頭をなでないでください』
「妻は常日頃から、子どもたちの小さい時期があっという間に終わってしまうことを嘆いていたんです。なので大罪状態になった私も、しょっちゅう撫でられています」
「すごい夫婦関係だ!」
『マスター! 思いついたことを全部口に出してはいけません!』
うぉっちもんさんご夫妻に笑われてしまいました。
ここから、うぉっちもんさんの配信スペース……メインの仕事部屋に向かう間に、彼が姿を変えます。
緑色の髪をした、小柄な少年です。
「お待たせしましたなのだ! ここからが本番なのだ!」
元は一般販売されているアバターであった、この緑色の少年。
それは彼が強欲の大罪の力を得たことで、本来の肉体として定着したようです。
いつか人間としての彼が朽ち果てた時、緑の少年だけはその姿を永遠に保つのかも知れません。
「へえー、うぉっちもんさんが小さくなった! 配信で見てましたけど、本当に小さくなるんですねー」
「うーん、この反応! かつて会った伝説の彼女を思い出すのだ! さあ、僕の部屋で情報のまとめを行うのだ!」
マスターはやはり、かの伝説の人に似ているのでしょうか?
それとも、似ていっているのでしょうか。
やはりこのきら星という名前は、何か祝福と言うか呪いというか。
「ネットを通じてやり取りをしてもいいんだけど、それだと情報のやり取りに時間が掛かりすぎるのだ。ここで一気に接続して、お互いの情報を開示してしまうのがいいのだ。ちなみにここのネットは今現在、イントラネット化しているので安心なのだ!」
おや、マスターが理解できない顔になりました。
そこに座っていて下さい。
天使たちが企んでいる陰謀に、腕っぷしで立ち向かうフェーズになったらマスターの出番なんですから。
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