第130話 友達と水着を試着する
「やっぱり……明日奈がいた!!」
「あれ? ファノリーさん!?」
水着売り場に到着したら、見知った顔が待っていたのだった。
先回りした?
「うちの一族のが配信見てて教えてくれたので、追跡してもらったんだよね。なのでうちは明日奈の動向を掴んで、こうしてやって来たわけ!」
「探偵みたい!」
「ふふふ」
『部下を使っての追跡と先回りは悪役ムーブでは』
「むっ、鋭い電子音声のツッコミがどこかから……」
風神号は静かになって、僕の後ろに浮いています。
うちのAフォンは人見知りだから。
「それじゃあ明日奈、リアルでも水着をつけるんでしょ? 今回もうちが選ぶの手伝ってあげる!」
「助かるー! 僕だけだと、なんにも分からなくて……」
「そうでしょうそうでしょう。今、流行は大きく二分されててね」
「二分!」
「この胸元がフリルだったり、飾り物が大きめなタイプは言葉を選べばスレンダー型の人にマッチしてて」
「昔の花咲里さんだ」
「こっちのはとにかく素材のデカさを活かす感じのデザインで露出度も多い……」
「ファノリーさんだね」
「明日奈もかなりのボリュームになりつつあるからね!?」
ファノリーさんが真顔で突っ込んできた!
何か看過できない事があったんだろうか。
「とにかく! きら星はづき以前はまあまあスレンダー型が強かったと言うか、社会における実権を握ってたんだって。うちらの若いボスが言ってた」
「へえー」
僕とファノリーさんで見上げているのは、チューブレスのビキニ。
どうやって支えてるんだこれ。
胸と腰の周りしか布がない。
僕のアバター水着はワンピース型で助かった……いや、ルンテさん、水着の脇の布を徹底的に削る指示を出してたな……。
「明日奈のアバターの水着も楽しみだねー。ということで!」
「僕の水着は露出度上げようっていう作戦でしょ」
「鋭いなー。きら星はづきの世界的ブーム以来、世に吹き荒れたムチムチ旋風! 世界はアイドル派のスレンダータイプと、セックスシンボル派のムチムチ派で大きく二分されたわけ。ちなみにこの間にバランス型もいて、明日奈はバランス型だけどムチムチに傾きつつあるかな」
「なるほどー。ファノリーさんは?」
「……ムチムチだよ!」
何か本人にとって屈辱的な過去を思い出したらしい。
なんか悔しそうだ。
「うちが中学の頃好きだった男子がいたんだけど……。告白したらスレンダーな娘が好きだって……うううう、中学生でスレンダーはもうそれ幼児体型だよ」
「泣かないで~」
ファノリーさんのムチムチは心の傷につながっていた!
なお、彼女は小学生の頃から早熟で、どんどんムチムチのセクシーな体型に育っていっていたらしい。
絶対、周りの男子たちの趣味に影響を与えてる。
僕も隣に刑部さんがいて、夏の薄着のムチムチを見てから完全にやられたもんなあ。
ファノリーさんのムチムチは刑部さんの、ちょっと影のあるムチムチと違って、陽のムチムチという感じだ。
今も彼女は、おへその出たぴっちりシャツにほとんど裾のないホットパンツ姿。
健康的でいいねー。
「明日奈がうちの体を上から下まで舐めるように眺めている……」
「ふふふ」
『御学友の魅力に気付きましたね』
「またさっきのツッコミ!!」
ファノリーさんに気にされている風神号なのだった。
ということで、お互いに水着を着てみる。
僕はファノリーさんに選んでもらった、ライムイエローのビキニ。
「ほとんど下着ではないですか?」
「男子の水着だってほぼパンツでしょ」
「言われてみたら……。あっちは上半身裸だった」
「最近はラッシュガード付きのがスクール水着だけどねー。昔はブリーフタイプだった」
「セ、セ、セクハラ的~!」
「ていうか明日奈、着替え終わった?」
「終わったよ。じゃーん」
「おおーっ」
『撮影しておきます』
風神号が僕の水着姿をバッチリデータに残してくれた。
「さっきから喋ってるの、Aフォンだったのね!? こんな喋るやつだったんだ……」
「人が多いと遠慮しちゃって無口になるんだ」
「人間かよ!? それはそうと……明日奈、育ったねえ……。標準よりムチムチ寄り、だけどお腹周りや二の腕、太ももは脂肪と筋肉のハイブリッド感がある……」
「く、くすぐったーい」
ぺたぺた触られてしまった。
「お尻大きくなったでしょ」
「鍛えたら大きくなりつつある……」
お陰で毎月買い替える下着の数が多い……!
「いいんじゃない、いいんじゃない? 確か明日奈のアバターって、明日奈の体型を反映するんでしょ? リスナーたちを悩殺してやろうよ!」
「悩殺する意味が分からないけど、やれることはやってみようと思う。みんなに喜んで欲しいなー」
「聖女~!」
僕が水着を着るのは、カザトモたちのためだからね!
「ではあの、僕の個人的な頼みとして、ファノリーさんはこれを」
「うおーっ! V型の水着! 脇が無いやつ!! 凄いの選んだわね」
「見てみたくて……」
「女子の体をまとっていれば欲望が通せる……! 学んだわね。じゃあやって来るね」
試着室のカーテンが締まり、ごそごそ音がした。
そして姿を現したファノリーさん。
胸の谷間やおへそ、脇腹、鼠径部がむき出しの過激な水着なのだ!
あ、一応腰のあたりは透明メッシュ地なバンドで補強されてるんだね。
彼女の肌の小麦色は日焼けではなく、地の肌色。
だから明るいブルーの水着と相まって、映える映える。
「割と着てる感あるのに、鏡に写った自分を見て驚愕したよね。裸よりヤバいじゃんって。明日奈、いい趣味をしている……」
「その水着は僕がプレゼントします、お給料入ったので」
「マジで!? じゃ、じゃあもらっちゃおうかな……」
「僕もファノリーさんが選んでくれたの買うからね。一緒にプールとか遊びに行こう!」
「わお! 行く行く!」
夏休みの予定が一つできあがった。
楽しみすぎる~!
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