第125話 シルエット公開! そしてお義父さん(違う)襲来!
「ってことで、なんかアスパラママが張り切ってくれて俺の水着も完成した。夏休み中の海での配信で全身公開するから楽しみにしててくれよな」
※『ああ~^』『メロすぎる』『ママになる~』『この上腕二頭筋の膨らみ』『太ももがムチムチ過ぎる』『えっ、うっすら見える腹筋凄くない?』『女子リスナーが完全におかしくなってる!』『魔性の男だぜこいつはよ』
なんだなんだ!?
あたしはそういう方面興味がないから、全然普通に紹介しただけだぞ!?
チャット欄が怪しい雲行きになったので、スパッと終わらせるあたしなのだった。
うーん、シルエットと薄く見えるディテールを見せたら、一部リスナーがおかしくなってしまった。
初体験だったので戸惑ったな。
この状況に詳しい人はいたりしないか……。
本日の配信はあたしの自宅でやっているのだが、隣室の明はお出かけ中。
最近、女子グループと仲良く遊んでるらしい。
いいことじゃない?
そしてあたしは、貴重な休日を使って昼間からの配信というわけだ。
当然のように相談相手はおらず、休日は事務所も閉まっているので……。
「チャットでルンテさんに連絡するしかないか……」
そう思った矢先のことだ。
突然押される、あたしの部屋の呼び鈴。
そしてノック。
二つノックの音がする?
「私ー。私私」
「なんだほむらか」
ガチャっと開けたら、薄手のブラウスを纏ったほむらがいた。
なんか髪型もきちっとまとめてるし、いつもよりガーリーな印象だな……?
「やっほー」
おや?
下の方から声がするな……。
見下ろすと、そこに黒髪ツインテールの女の子がいた。
こ、こ、この人はーっ!!
「わーッ!! スパイスさん!!」
「来ちゃった」
来ちゃったじゃねえー!!
あたしが今、一番恐ろしい人が来てしまったぞ!
「な、なぜここに……」
「パパがサンダーのところ見に行くって聞かなくて。あ、でも普段のパパと、スパイスになってるパパはほぼ別人みたいなもんだから気にしないで」
「気にするぞ! ってか、別人なんだ!?」
どうやら人間の姿と魔女の姿を持っていると、変身した後にガラッと意識が変わってしまうこともあるらしい。
ほむらや湊はまんまだけど、スパイスさんともなると、大人の男の人とちっちゃい女の子だからなあ……。
「さっきサンダーの配信見ててさ。コメント欄が桃色の炎上をしてたでしょ! あれについてスパイスが先輩としての助言をしようとねー。あとは魔法の練り方を教える」
「ありがたいんですけど、ついでの用事もかなり重要じゃないですか!?」
こうして、あたしはスパイスさんに暴走したリスナーの対処方法を教えてもらった。
ガチ恋勢は、そのままグッズ収益につなげて集金してしまうか、あるいはSNSでガチ恋は禁止であるなどのルールを提示すると、リスナー内で自治が発生してある程度治安がよくなるそうだ。
なるほど、なるほど……。
特に配信者を熱心に応援するタイプは、ルールには従う傾向が強いと。
「さもないと、勝手に迷惑な自治を開始して異性リスナーを追い払ったり同性リスナーを潰したり、コラボ先に出てきて勝手に政治を始めるからね!」
「こっわ!! なんですかそれ。化け物じゃないですか!!」
スパイスさんが来てくれて良かった!
「サンダーとパパが仲良くなってて、私はニコニコだよ」
「なんでほむらは落ち着いてるんだ……?」
まあいい。
本題はこれで終わり。
あたしはスパイスさんと相談し、ある程度ガチ恋は抑えてもらうよう、そしてこちらの指示無く勝手な政治をしないようにSNSで宣言したのだった。
配信者って大変なんだな……。
アイドルしてた頃は、もっとファンコミュニティは小さくてそんなこと気にしなくて良かったのに。
「じゃあついでだけど、魔法の使い方についてだね。これは屋内でもやれる安全な練習方法だけど、こう、魔法を使える状態にするでしょ?」
スパイスさんの姿が、バレリーナみたいな白いドレスの女の子に変わった。
かわいい。
「まず指一本から魔法を出すイメージ。出力は最低でいいよ。ゼロから一にするイメージね。一ができちゃえば、そこから出力あげるのは簡単だから」
「なるほどなるほど」
やってみたら、これが難しい。
腕全体から出すことはできるけど、指一本となると……。
「難しいでしょー」
スパイスさんが笑いながら、指先に虹色の光をまとわせている。
それが点滅したり、伸びたり縮んだり。
「これを指一本ずつ増やしてく。足の指でもやる。肘とか肩とか膝でもやる。スパイスはお尻でもできるね」
「すげえー! それで、これがどういう訓練に……?」
「咄嗟の状況だと、動揺して魔法が使えなくなっちゃうことがあるわけ。これは魔法はどこからでも使える、どんな状況でも使えるっていう意識付けなんだよね。これをやっとけば、不意打ちされても速攻で殴り返せる!」
「じ、実践的!! 思った以上にあたし向きな練習だった!」
それに、あたしの雷の魔法、コントロールが自在になったら殴るときのリズムも付けられる。
あるいは、雷をフェイントや牽制にすることもできるし、これを使ってコンボを刻んだりもできるわけか。
おお、可能性が見えてきた……!
「頑張るんだぞサンダー!」
「おう! っていうかほむらは何をしに……?」
「わ、私はあんたとパパが喧嘩しないように見に来ただけだから! 後それから、夏に配信するんでしょ? 夏といえば炎じゃない。私でしょ。コラボしてあげる」
「お、おう、ありがとう」
配信者として先輩であり、魔法の使い手としても先輩であるほむらこと、魔法少女フレアがコラボしてくれるのは嬉しいかも知れない。
「うんうん、二人とも、スパイスがシラフの時に見つからないように、上手いことタイミングを見るんだぞー」
怖いこと言わないで欲しいな!?
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