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男女入れ替わりダンジョン配信!~元地下アイドルと落ちこぼれ退魔師、中身を交換したらお互いにとって最適な環境だった  作者: あけちともあき
幼女おじさん師匠

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第123話 ほむらのパパめちゃくちゃ怖いな!

 男の体でやる振り付けというのを教えてもらった。

 なるほどなるほど……。

 手足の長さを活かして、こう、遠心力が掛かるような動きが凄く見栄えがするんだな。


 スパイスさん、ありがとう!

 なんか画面の中のスパイスさんは、小さいのに同じ様な動きをしてて、『かわいい』というチャットが大量に流れていた気がするが……。


「頑張るんだぞ。アイドルやTSの道は険しい。だがその先にはオンリーワンの人気が待っている」


「T……S……? が、頑張ります!」


 ということで、大変有意義で緊張感に満ちた一日が終わった。

 大事なものを受け取った気がする。


「あれー? 靴が多い!」


「これ、サンダーの靴だなー」


「もしかしてそれって、ほむらがいつもお話してる彼のこと? えーっ、ママ会ってみたいなー」


 むっ!!

 七咲家勢揃いの予感!


 その後、バタバタ掛けてきたほむらが「なんであんた家にいるのよー!」とか、泉ちゃんがあたしにペタペタ触ってきて、またスパイスさんが大変恐ろしい目をしたりとか、後は小柄で若々しい七咲家のママさんに挨拶されたりなどしたのだった。

 うーん、最後の最後で濃かった!


 駅まで送ってくれるということで、ほむらと湊と一緒に歩く。


「ほむらさ、あんたのパパ、めちゃくちゃ怖いな!」


「えー、そう? 凄く甘やかしてくるけど。魔法修行のときは鬼だけど」


「あれは、娘が彼氏を連れてきた父親の姿だと思うぞ。ほむらって全然そう言う気配無かったのに、突然サンダーのこと好きになったろ」


 湊の言葉に、ほむらが振り返って「ばばばばばばっかじゃないの何言ってんの」とか言うのだ。

 えーっ!?

 ほむらそうだったの!?


「いやだが待って欲しい。あたしの魂は女なので……」


「そうねえ、サンダーは中身があの花咲里明日奈になったことで、物凄いサバサバ感が出て、そこがメロいと女子たちの間で評判になってんのよ」


「なにぃーっ」


「俺にはさっぱり分からないが、サンダーが女たちの好きな方向にキャラ変したからじゃないか?」


 駅前で立ち止まり、ジュースなどを買って三人で話し込む。

 どうやらほむらと湊がいるクラスでも、あたしは人気らしい。

 なぜだ?

 どうして女子人気が高まるのだ?


「女子は俺様系好きだからねえ……。いや、別に私はそうでもないけど! ってか湊もあれでしょ! きら星かざりのこと好きなんでしょ!?」


「あれは信仰みたいなものだ……。リアルの女には興味はない」


「きら星かざりはリアルでいるし、いつでも会いに行けるじゃん!!」


「そ、それはそうだがー。俺が関わることであまり認識されすぎても、彼女のイメージがというか、アイドルの近くに男がいてもだな。俺が応援するきら星かざりの隣に男がいてはいけないんだ。それが例え俺であっても、ファンである俺は許せない」


 湊が濃い言い訳をしてる!


「そもそも、明は男なんだけど」


「魂が男のパターンよね……。あれ、誰よりも女子らしい女子でしょ。というか、理想化された女子の姿があそこにあるんじゃない? 男が思う女子らしい女子が……。幻想を破壊しない完璧な女子が……」


「あー! そういうこと!?」


 ほむらの言葉であたしは理解した。

 明が、自分が思う女子像を体現しているからこそ、それは多くの男達が理想化した女子の姿になってるってことなのだ。

 そりゃあ人気が出るわ……。


 しかも明、本質的に家庭的で温和なところがあるし。

 湊は凄く真面目な顔でうんうんと頷いている。

 図星なんかい。


「つまりあたしはもしかして……女子が理想視する男の姿になっていってるってこと……?」


「そうだな」


「そ、そんなことは……」


 ほむらは否定しているが、露骨に慌てているので図星だなこれは。

 なんて分かりやすい双子なんだ……。


「となるとサンダー、目指す方向性が見えてきたんじゃないか? 配信者としても、アイドルとしても、わざとらしいくらい理想化された男子を演じていけばいい。というか生来の男として育ってないから、お前なら自然体でやってけるはずだ」


「なるほどなあ……」


 湊の結論をもらって、なんか腑に落ちてしまったのだった。


「ところでサンダー、あの女デビューしたでしょ? ほんと見てらんないわ。魔眼しか取り柄がなくて、ばたばたしながら武器っぽいものを出して、ゴブリン一匹倒すのもひーひー言ってるの、ほんとみっともないんだから! いや、配信者としては美味しい。とっても美味しいのは分かる。だが私の感情が認めるわけには行かないと言っている……」


「恋敵だもんな」


「湊だまれー!!」


「うおー! 殴ってくるんじゃない! いたた!」


 ばたばたしてたら、駅から出てくる人がニコニコしている。


「七咲さんちの子たちがまた喧嘩してる」「いつも変わらないなあ」


 町の人に認知されてるんじゃないか。

 本日の特訓の締めに、こういうまとめ的な雑談を行い……。

 あたしの心は晴れ渡っていた。


 なんか、目指す先がハッキリと見えた気がする。

 今の進み方で、キャラ作りとかは全く問題がない。

 その上で、男性ならではの体格を活かしたダンスをきちんと勉強していくべきなのだ。


 そこは専門の講師にお願いして、夏休みでみっちり仕上げていこう。

 戦い方も、同時進行で行く。


 夏休み遊ぶぅ?

 そんなのいつでもできる!

 アイドル活動への邁進と、配信者としての能力強化は今が旬なのだ!


 双子に見送られながら電車に乗り、地元に戻る。

 始発駅だから絶対に座れるの本当に強いな……。


 特訓の疲れで、なんか眠くなってくる……。

 というわけで、電車の揺れで寝てしまったあたし。

 ガッシーがギリギリで起こしてくれなかったら、絶対に寝過ごしていたのだった。

お読みいただきありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
サンダーの中の人、やはりなんだかんだでストイックだなぁ……かざりんの中の人も法術の基礎訓練とか欠かしてないっぽいし、本質的なところでは似た者同士なんだろうなぁなどと思ってみたり。
魔眼はともかく、ばたばたしながら武器っぽいものを出して、ゴブリン一匹倒すのもひーひー言う、か…… 初期のはづきっちもそんな感じだったな。とはいえ、刑部氏があの領域に行けるかはなんともだが。
魂の形がほぼスパイスになったかと思いきや父親の顔も残ってたかw
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