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勇者たちのそばに偶然居合わせて異世界召喚されたら、無能はいらぬと島流しに。流刑地で覚醒した俺は島おこしで世界征服をする  作者: ほさ


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封印された大陸

奏多たちがドラゴニアとの国交を樹立してから数日。奏多が編み出した「転移スキル」は劇的な変化をもたらしていた。アクエリアでの冒険者稼業をこなしつつ、一瞬でアリスティアへ戻り穏やかな時間を過ごす――そんな充実した日々を送っていたある日のことだった。

予兆なき激震

ある討伐依頼の帰り道、一行は揺れる荷馬車に揺られていた。

「最近、あんまり手応えのある魔物がいなくなってきたな」

退屈そうに欠伸をするレトルに、奏多も苦笑いしながら応じる。

「さすがにな。俺たちの今のレベルだと、ロード級以上の相手じゃないと刺激が足りないか」

「でも、平和なのはいいことですよ! ほら、このお野菜も美味しいですし!」

アリスは依頼先の村で感謝の印にもらった瑞々しい野菜を頬張り、幸せそうに微笑んでいた。

そんな穏やかな空気を切り裂くように、突如として荷馬車が激しく左右に振られた。

「わっ!? なんだこの揺れ?」

レトルが慌てて車体にしがみつく。御者が必死に手綱を引きながら叫んだ。

「お客さん! 地震だ! かなり大きい、一旦止まりますよ!」

「地震だって……?」

奏多が眉をひそめる。隣ではアリスが「あぶ! あばば!」と、口に含んでいた野菜を慌てて飲み込もうと奮闘していた。

大地を突き上げるような激しい揺れが数分間続き、やがてそれは不気味な静寂と共に収まった。

「……終わったか?」

奏多が呟いた直後だった。

心臓を冷たい手で直接掴まれたような、悍ましい悪寒が全身を駆け抜けた。

「な、なんだ……この感覚……!」

本能が警鐘を鳴らしている。見れば、アリスも顔を真っ青にして小刻みに震えていた。

「奏多……これ、何……? 気持ち悪くて、息が……」

一方で、魔力や神力に疎いレトルだけは「え? 何かあったのか?」と状況が飲み込めていない様子だった。

そこへ、馬車のカーテンを乱暴に開けてオウが姿を現した。その黄金の瞳はかつてないほど鋭く、南の空を睨みつけている。

「主よ……気づいたか」

「オウ……今の揺れ、まさか……『魔神王』ってやつか?」

奏多の問いに、オウは重々しく頷いた。

「うむ。今しがた、失われた大陸レグドが海より浮上した。この悍ましいマナ……間違いなくカオスであろうな」

「これが……カオス……」

アリスが自身の腕を抱きしめるようにして震える。

「奴はまだ完全には動けぬようだが、目覚めるのは時間の問題だろうな」

かつて世界を絶望に陥れた魔神王。その底知れぬ邪悪なマナに、奏多とアリスは言葉を失い、立ち尽くすしかなかった。

アインシアの勇者たち

同じ頃、アインシアの大聖堂。

「さっきの地震……それに、この悍ましいマナ。イリス様……これが仰っていた魔神王なんですね」

祭壇の前で一人、夢野愛多が祈りを捧げながら呟いていた。

バタン!!

大聖堂の重厚な扉が乱暴に開け放たれる。

「愛多! 感じた!? 始まっちゃったよ!」

飛び込んできたのは、大賢者の椎名萌だった。

「ええ。ついに、来たんだね」

「もう城中大変な騒ぎだよ! 太一のやつが広臣を呼びに行ってる。私たちも早くお城に戻るよ!」

愛多は萌に促され、不安を押し殺して走り出した。

王城へ着くと、そこは戦場のような慌ただしさに包まれていた。

「おお! 夢野様、椎名様! こちらですぞ!」

宰相のゴンゾが二人を見つけると、即座に奥の会議室へと案内した。

そこには、既に到着していた桐生太一と、どこか様子の違う広臣、そしてロイヤルアインシアの騎士団長カインが待ち構えていた。

「よお夢野、待ってたぜ!」

太一が不敵な笑みを浮かべて手を振る。

「なによ太一、こんな大変な時に嬉しそうじゃない」

萌が呆れたように言うと、太一は自身の拳を見つめて言い放った。

「そりゃそうだろ? レベルアップもしたし、新たなユニークスキルも手に入れた。今の俺は誰にも負けねえよ。早くレグド大陸に行って暴れ回りたいぜ!」

「桐生くん……」

好戦的な太一に、愛多は不安を隠せない。

「はあ……呑気なものね。広臣は準備できてるの?」

萌が問いかけると、それまで一言も発さず、影の中にいるような暗い雰囲気を纏っていた広臣がゆっくりと口を開いた。

「ああ……。もう僕は誰にも負けない……。絶対だ……」

広臣は血が滲むほどに拳を握り込み、狂気にも似た決意を漲らせていた。

「準備ができているのなら、直ちに港へ向かいましょう。我らロイヤルアインシアも同行いたします」

カインが厳かに宣言し、ゴンゾが深く頭を下げた。

「勇者様方……どうか、この世界に武運を」

魔神の土地の浮上

南の海。

ゴゴゴゴゴゴ……!!

それまで穏やかだった海面が、内側からの巨大な圧力によって爆発したかのように跳ね上がった。

凄まじい振動と共に、海中から「何か」が猛烈な勢いで突き出していく。

最初に現れたのは、天を突くような巨大な山々の頂。

続いて、周囲の岩礁や海底の土砂が凄まじい音を立てて隆起し、波を押し退けて広大な大地が姿を現していく。

やがて地鳴りが止み、荒れ狂っていた波が引いた後。

そこには、つい数分前まで何もなかったはずの海上に、水平線の彼方まで続く超巨大大陸『レグド』が、その禍々しい全貌を現していた。

60話突破!

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