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勇者たちのそばに偶然居合わせて異世界召喚されたら、無能はいらぬと島流しに。流刑地で覚醒した俺は島おこしで世界征服をする  作者: ほさ


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新たな鳥人の長

「じゃあ、帰って早々だが、ドラゴニアとの国交問題について話し合いを始めるぞ」

奏多の言葉で、アリスティアの塔一階にある会議室に緊張が走った。

円卓を囲むのは奏多、アリス、オウ、クルス、ボンド、ゲルド。そして、アルマに代わって鳥人族の長となった女性、ナル。彼女はアルマと同じような着物を纏い、濃い紫の羽毛と、足元に混ざる多色の色彩が美しい鳥人だった。

「まずは、この書状に書かれていることを読み上げるぞ」

クルスが重々しく書状を開き、その内容を読み上げていく。

1.天空国ドラゴニアは新生国家アリスティアとの国交樹立を望む。

2.この国交は資源や住民の交流を目的とせず、互いの戦力増強のためのものである。

3.必要以上の干渉はせず、許可された者のみが交渉を行う。

4.他国からの攻撃を受けた際、戦力の貸与は拒まないものとする。

5.戦力貸与は求められたら絶対とし、金銭や資源での取引は行わない。

「……以上が内容じゃ」

クルスが読み終えるや否や、ボンドが円卓を激しく叩いた。

「ふざけんな! わしらはあいつらに裏切られとるんじゃ。困ったら力を貸せなどと、どの面下げて言いやがる!」

「そうじゃ! 奴らに力を借りるほど、この国は困っておらんわい!」

ゲルドも顔を真っ赤にして同調する。

「そうなるよな」と奏多は頷いた。「だが、ドラゴニアが急にこんな話を持ってきたのは、おそらく『魔神王』が原因なんだ」

「魔神王……?」

クルスたちが怪訝な顔をすると、奏多はオウに目配せした。

オウは船上での説明を繰り返し、最後に付け加えた。

「カオスと共に復活する大陸レグドは、今あるどの大陸よりも巨大だ。そこは全て魔物の大陸となる。一国で対処するのは、まず不可能であろうな」

「失われた大陸レグドか……」

クルスが遠い目をして呟く。

「南に超巨大な大陸があったという伝承は聞いたことがある。そこに住む魔物は知能を持ち、言葉を操っていたともな」

「だが、復活しても即座にこちらが滅ぶわけではあるまい」とオウは続ける。「おそらくイリスの奴が『勇者』を派遣するだろう。奴らが倒すか封印できれば、それで済む話だ」

「勇者……甲斐たちのことか?」

奏多が過剰に反応した。

「だろうな。あの者たちはイリスの加護を色濃く受けておるからな」

「そんなことって……」

奏多は唇を強く噛み締めた。友人たちがまた女神の駒として、絶望的な戦いに放り込まれようとしている。

その様子を見て、アリスが「奏多……」と心配そうに手を添える。

「奏多殿、友人を案じる気持ちはわかる。じゃが、そなたは今ここの王なのじゃ。慎重な決断を頼むぞ」

クルスの言葉に、奏多はハッとして「あ、ああ、そうだよな……」と我に返った。

「……ちょっといいですかい?」

唐突に手を挙げたのは、新長のナルだった。

「奏多殿と直接話すのは初めてでしたね。ナルと申します。……本題ですが、その書状を蹴ったらどうなるんですかね? 戦争? それとも孤立無援でカオスと戦う? おそらく、どちらも『ノー』だ」

ナルの冷静な言葉に、全員の視線が集中する。

「わざわざ書状を出すより、侵略した方が早いくらいですよ、本来のドラゴニアなら。カオスに関しても、女神の勇者が倒せなきゃ、その時は国交なんて関係なく総力戦になる。そうじゃないすか?」

ナルはおもむろに円卓の書状を手に取ると、その場にあった筆で、表書きに大きく『×』を書いた。

「お、おい!」とボンドたちがざわめくが、ナルは構わず裏側の白紙面に、迷いのない筆致で書き殴った。

1.アリスティアはドラゴニアとの国交を結ぶ。

2.両国は決して対等ではなく、ドラゴニアからの関与は一切許されない。

3.戦力貸与は、アリスティアの独断で決定するものとする。

「な、なんだそれは!」と騒ぐゲルドに対し、オウは「ふむ」と面白そうに笑い、クルスも納得したように頷いた。

「そんなこと書いたら、本当に戦争になりますよ!」と慌てるアリスを、奏多が制した。

「いや……これで合ってる」

「え?」

「アリスティアには今、神力を扱える俺とアリス、そして竜神級のオウがいる。ドラゴニアは、カオスとの戦いに備えて、自分たちより強いかもしれない俺たちを『対等』という名目で縛りに来たんだ。だから、下手に出る必要はない。強気でいいんだ」

奏多の言葉を補うように、ナルが懐から一枚の『白い羽』を取り出した。

「これは、アルマ姉さんが降りた場所にあった羽です。ウチら鳥人は、自らの意志でなきゃ羽を落としたりしません。これは姉さんからのメッセージ――『今のドラゴニアは飲まざるを得ない状況だ、強気にいけ』ってことだと思うんですよ」

奏多は全員を見回した。ボンドやゲルドも、ナルの言葉とアルマの羽を見て、最後には力強く頷いた。

「よし。じゃあ俺たちは、この書き直した書状をドラゴニアに叩き返す。それでいいな?」

異論はなかった。

かつて見捨てられたエルフたちの末裔が、最強の竜人族の国に対し、対等以上の条件を突きつける。

嵐の前の静けさを切り裂くように、アリスティアの新たな方針が決まった。

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