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勇者たちのそばに偶然居合わせて異世界召喚されたら、無能はいらぬと島流しに。流刑地で覚醒した俺は島おこしで世界征服をする  作者: ほさ


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2人きりのデート

「おはようございます……」

眠そうに目をこすりながら、アリスがトコトコと階段を降りてきた。ぴょんと跳ねた寝癖がなんとも可愛らしく、奏多はそれを見て「おう、おはよう」と短く返した。

ここは、アリスティが拠点の町・アクエリアで借りている一軒家だ。

パーティとして活動しやすくなり、資金面でも余裕が出てきたため、最近になって借りたものである。

「今日は珍しく早いですね」

「久しぶりの我が家だからな。美味いものが食べたくて早起きしたんだ」

奏多は魔物肉のベーコンを香ばしく炒めながら、そこへ手際よく卵を割り入れた。

「私も、いい匂いにつられて起きちゃいました」

アリスが嬉しそうに鼻をくすぐらせる。

「レトルはまだ寝てるのか?」

「疲れが溜まっているみたいですね。まだぐっすりです」

「まあ、移動中もずっと鼻を利かせてくれてたからな。……じゃあ、先に二人で食べちゃうか」

「はい!」

朝食を済ませると、アリスが紅茶を啜りながら尋ねてきた。

「今日はどうしますか? ギルドに顔出ししときます?」

「うーん、流石に今日はいいだろ。ガイさんには報告済みだしな。レトルも一日寝てるだろうし……二人で何か見に行くか?」

不意の誘いに、アリスは「えっ?」と目を丸くした。

「ここに来てからは依頼ばかりだったからな。いつもはレトルもいるし、たまにはいいだろ」

「ぜ、是非っ! 行きたいですっ!」

アリスは少し耳を赤らめて即答した。それを見た奏多も、少し照れくさそうに「じゃあ、行くか」と腰を上げた。

二人は朝食後、賑やかなアクエリアの町へと繰り出した。

「まずはどこに行く?」

奏多の問いに、アリスは迷わず指を差した。

「最初はあそこに決まってますよ!」

「あそこ」とは、港に並ぶ出店街だった。

「美味しいです! あ、これも! 奏多、こっちにも美味しそうなのがありますよー!」

さっき朝食を食べたばかりではないのか。奏多は呆れ半分で後を追う。

「明るいうちに行かないと、美味しいものがなくなっちゃいますから! おじさん、これもう一つ!」

夢中で頬張るアリス。その幸せそうな笑顔を見ていると、奏多の口元からも自然と笑みが溢れた。

しかし、昼過ぎには「食べすぎましたぁ……」とアリスはベンチで動けなくなってしまった。

「はぁ……」

奏多は大きなため息をつく。

港で動けないアリスを介抱していると、通りがかりの男に声をかけられた。

「そこのカップル! よかったらボートに乗らないか?」

観光ボートの呼び込みをしていたおじさんだ。

「か、か、か、カップル!?」

二人の声が重なる。

「おや、随分仲が良さそうに見えたんだがなあ」

「いや、俺たちは……」

奏多が否定しようとした瞬間、アリスがそれを遮った。

「乗ります!」

パッと笑顔になったおじさんは「ようし! とびきりお洒落なボートを選んでやるぜ!」と意気込んで一台のボートを引き寄せた。

「これ……お洒落なのか?」

そこに浮かんでいたのは、なぜかド派手なピンク色に装飾されたスワンボートだった。周りが白や黒ばかりなだけに、凄まじく目立っている。

「こういうボートもいいですね」

海面を眺めながらアリスが呟く。二人きりの空間、少ししっとりした雰囲気のせいか、奏多はその横顔にドキッとしてしまった。

「ん? 私の顔に何かついてます?」

「あ、いや……何もついてないぞ。綺麗な横顔だなって思ってな」

小声で正直な感想を漏らすと、アリスはポッと頬を赤く染めた。

沈黙の時間が流れる。少しして、アリスが静かに口を開いた。

「私、ここに来れてよかったです。島にいるのも楽しかったけど、ここには出会いや経験がたくさんあります。人間のことは何も知りませんでしたが、思っていた何倍も良い人ばかりでした。……奏多、連れてきてくれてありがとう」

「俺もそう思うよ。正直、アインシアの王様なんかは今でも気に食わないけど、いい奴らが多いって気づけた。ここまでついてきてくれて、ありがとな」

その言葉を聞いたアリスの顔が、耳まで真っ赤に染まった。彼女は何事かを決心したように、奏多を見つめる。

「奏多……あの……あのね。私……奏多のこと……」

そこまで言いかけた、その時だった。

「そこにいたのかよ! 心配したぞー!」

船着場から、空気を読まない大声が響き渡った。

「レトル! 起きたのか!」

奏多が声を上げると、隣でアリスが黙ったまま、下を向いてプルプルと震え始めた。

「ん? どうしたアリス」

「……水の精霊よ、我求める力を貸せ……『リヴァイアサン』!!」

「は? どうした! おい、やめろアリス!」

奏多が必死に止めようとするが、もう遅かった。ボートの周囲の水面が唸りを上げて盛り上がり、巨大な水竜となって形作られる。そしてそれは、凄まじい勢いでレトル目掛けて突っ込んでいった。

「え?」

言葉を発する間もなく、レトルは水竜と共に彼方へと流されていった。

「レトルゥゥゥゥゥ!!」

しばらくして。

「すいません……ちょっと動揺してて……」

しおらしく謝るアリス。

「なんか……こちらこそすいません……」

ずぶ濡れの体をガタガタと震わせながら、レトルもなぜか謝っていた。

「はぁ……どうしたもんか」

奏多が頭を抱えていると、「おーい!」と呼ぶ声がした。アクエリアギルドの冒険者仲間だ。

「やっと見つけたぜ。受付嬢の姐さんがずっとお前らを探してたぞ! つーか依頼完了したなら真っすぐギルドに来いよ! みんなお祝いしたくて待ってるんだぜ! 早く来いよな!」

そう言い残して冒険者は走り去っていった。

「俺たちを探してたって?」

「じゃあ、今からでも行きましょうか」

アリスが微笑む。

「だな」

レトルも震えながら頷いた。

三人は賑わうギルドへと向かって、再び歩き出した。

明日はあげれないかもしれないので今日は多めに

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