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勇者たちのそばに偶然居合わせて異世界召喚されたら、無能はいらぬと島流しに。流刑地で覚醒した俺は島おこしで世界征服をする  作者: ほさ


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魔物の頂点

「終わりかあ?よおし!野郎ども、素材の回収だあ!」

巨躯が沈んだのを見届け、ジリアンが下卑た声を張り上げた。その合図で、ギガスのメンバーたちが我先にとサイクロプスロードの死体へ群がっていく。

「あ! おい! 抜け駆けはずりいぞ!」

ダウラが悔しそうに叫び、自分も向かおうとしたその時だった。

奏多とアリスの顔色が、同時に一変した。

「逃げてください!!」

アリスが悲鳴に近い大声を張り上げる。その剣幕にダウラが思わず足を止めた瞬間、サイクロプスロードの死体が不気味に、丸く膨れ上がった。

「ああ? なんだ?」

ジリアンが顔をしかめる。膨張は止まらず、逃げ遅れたギガスのメンバー数人が、そのままドロドロとした肉の壁に取り込まれていく。

「おい! テメェら何サボってんだ!」

苛立ったジリアンが足元の小石を拾い、膨らんだ体へ投げつけた。

――ズパアン!!

先ほどの槍と同じ、凄まじい衝撃が走る。膨れ上がった肉塊が派手に弾け飛んだ。

だが、その中身を見たジリアンが、裏返った声を上げた。

「ああ!? なんだこれ……!」

そこには、さっきまで生きていたはずのギガス隊員たちの成れ果てが転がっていた。形を留めない赤黒い肉の塊。辛うじて彼らだと分かるのは、血にまみれて転がる装飾品だけだった。

「まじかよ……」

一歩間違えれば自分もそうなっていた。流石のダウラも、顔を青くして立ちすくむ。

「なんでこんなことに……」

レトルが愕然と呟く中、奏多とアリスだけは、その中心部から溢れ出る異質な気配に気づいていた。

「奏多……」

アリスが目だけで奏多を見る。

「ああ」

短く頷いた奏多は、狂ったように叫んだ。

「みんな、ここからできるだけ離れろ!!」

「なんだよ急に!」

食い下がるダウラだったが、奏多の形相から事態の異常を察したアウラが、即座に魔法でダウラの体を浮かせた。

「行くよ、ロウラ!」

「ああ!」

アウラは浮かせたダウラをロウラに放り投げ、脱兎のごとく走り出す。「は? アウラ! なんだよ!」と騒ぐダウラの声が遠ざかっていく。

「ちょっとやばそうだなこりゃ」

ジリアンも勘の鋭さを見せ、一目散に逃げ出した。

「レトル! お前も逃げろ!」

「え!? 俺も?」

戸惑うレトルだったが、二人の真剣な目を見て覚悟を決めた。「……ごめん!」そう言い残し、彼は全速力で後退する。

静まり返った戦場に、奏多とアリスだけが残った。

「そろそろだな」

奏多の言葉と同時に、弾け飛んだ球体の破片が集まり始めた。

周囲に散らばった魔物の肉、へし折れた木々、それら全てを吸収しながら、それは急速に「人型」を形作っていく。

大きさは先ほどの100メートル級ではない。奏多たちと同じ、成人男性ほどの背丈だ。

関節、筋肉、そして顔が造り上げられていく。頭に生えた一本の角と、中央の単眼だけが、それがサイクロプスの成れ果てであることを証明していた。

完成した「それ」は、覚束ない足取りで一歩踏み出し、うまく力が入らないのかそのまま地面に転がった。

目は白く膜が張っており、まだ視界も定まっていない。

「今ならまだ仕掛けられる。やるぞ」

奏多の合図にアリスが頷く。奏多は「それ」に向けて掌を突き出し、周囲のマナを限界まで凝縮して撃ち放った。

――マナキャノン。

回避行動すら取らない「それ」に直撃する。だが、土煙が晴れた先を見たアリスが息を呑んだ。

「なっ……!?」

奏多の全力に近い一撃をまともに食らって、そいつは傷一つ負っていなかった。ただ少しバランスを崩しただけ。

「それ」はぐぐぐっと不自然な動きで体を立たせると、単眼を覆っていた白い膜をゆっくりと剥がした。剥がれ落ちた先から現れたのは、全てを吸い込みそうな漆黒の瞳。

その目が、奏多を射抜いた。

「なるほど……いい攻撃だ」

無表情のまま、そいつはいきなり喋った。

「しゃ、しゃべった……?」

アリスの呟きに、サイクロプスのような生物は首を傾げた。

「喋る? 当たり前だろう。なぜそんなに驚く?」

純粋な疑問。そこには魔物特有の凶暴性すら感じられない。

「魔物が喋っているだと……なんだあいつ……」

「そんなにおかしいことか? 君たちも喋っているじゃないか」

淡々と答える生物に、アリスが震える声で問う。

「喋るって……あなたはサイクロプスなんですか?」

「私はサイクロプスだが、サイクロプスではないよ。種を捨てた存在、とでも言おうか。君たちが私たちを魔物と呼ぶのなら――『魔物の神』みたいなものかな。『魔神』とでも呼ぶといい」

「魔神だと……」

奏多が身構えた、その時。

「あっ、そうだ。さっきの攻撃、とても良かったよ。お返しに殺してあげないとね」

殺気も、憎しみも、予備動作すらなかった。

奏多とアリスが反応するよりも早く、魔神の姿が掻き消える。

次の瞬間、奏多の視界がぐにゃりと歪んだ。

「……ガハッ……!」

何が起こったのか分からない。気づけば、奏多の腹部には、背後に回った魔神の腕が根元まで突き刺さっていた。

口から鮮血が溢れ出し、熱い塊が胃から逆流する。

「奏多ァァァァ!!」

アリスの絶叫が、血に染まった森に響き渡った。

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