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勇者たちのそばに偶然居合わせて異世界召喚されたら、無能はいらぬと島流しに。流刑地で覚醒した俺は島おこしで世界征服をする  作者: ほさ


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驚愕の買取額

「そうですか……。やはり彼らは魔物どもに連れ去られていたのですね」

山を降り、洞窟での惨状を報告した奏多たちに対し、村長のドアンは表情一つ変えずに答えた。だが、その声は微かに震えている。

「……わかってたのか?」

奏多の問いに、ドアンは力なく首を振った。

「確信があったわけではありません。ただ、本心では……ただ冷たく村を見捨てて、町で元気に暮らしてくれていればと、そう願っていたのです」

「親玉っぽいやつは仕留めた。あとは村を立て直すだけだ。一応、簡易的だが結界を張っておいたから、しばらくは安全だ。これで依頼完了だな」

「なんと、結界まで……。本当に、ありがとうございます。……あ、あと、これが約束の報酬です」

ドアンが懐からおずおずと、使い古された巾着袋を取り出した。村の全財産と言わんばかりの重み。しかし、アリスが笑顔でその手を制した。

「これは村の復興に使ってください。私たちは魔物の素材をもらえれば十分ですから!」

「い、いえ……これは約束ですので!」

慌てるドアンを、奏多も手で制す。

「いいんだ。これは俺たちが決めたことだ。……じゃあ、迎えの馬車も来たみたいだし、行くか」

三人が背を向けて歩き出すと、ドアンと住民たちは、言葉にならない感謝に肩を震わせながら、いつまでも深く頭を下げ続けていた。

【帰りの荷馬車にて】

「本当によかったのか? 奏多」

レトルが心配そうに聞く。

「みんなで決めたことだろ。それに、あのゴブリンロード……あいつの素材だけで、あの報酬の何倍もお釣りが来るはずだ」

「そうですよ、レトル! 私たちは村を救ったんです。それが一番の報酬です!」

アリスが胸を張る横で、レトルは「……そんなもんなのかな」と、冒険者の倫理観を学び始めたようだった。

町に着いて、三人は真っ直ぐギルドへ向かった。

扉を開けた、その瞬間。

「ぐえっ!!」

奏多の胃袋が潰れるような悲鳴が上がった。

「えっ、奏多!?」

「無事でよかったぜぇぇぇ!!」

昨日絡んできた大柄な冒険者が、泣きながら奏多にベアハッグをかましていた。他の冒険者たちも、三人の無還を確信していたのか、お祭り騒ぎで歓迎し始める。

「苦しい……離せ……!」

なんとか冒険者を引き剥がし、カウンターへ辿り着く奏多。

「本当に生きて帰ってくるとは驚いたわね」

受付嬢が目を丸くする。

「戦闘経験はあるって言っただろ。……まあ、依頼内容よりずっと酷かったけどな」

「ひどい? 何があったの?」

奏多は無言で、異空間収納から素材を取り出した。

――ボン! ボボボンッ!!

ギルドの床に、そしてカウンターの上に。二階の吹き抜けまで届きそうな勢いで、ゴブリンの右耳と魔石が積み上がる。

「……あ、あんたたち、何だいこれぇぇぇ!!!」

受付嬢の叫びがギルド中に響き渡った。

その後、冒険者総出で行われた仕分け作業は深夜まで及んだ。

ゴブリン百体以上の素材だけでも驚愕に値したが、さらにギルドを震撼させたのは「ゴブリンロード」の首だった。

通常、ロード級が出現すれば国を挙げての討伐隊が組まれるレベルの事案。その買取額は、目算で10,000,000アイン(一千万アイン)を軽く超えるとのことで、支払いは後日となった。

仕分けの後は祝勝会と称してギルド全員での飲み会となったのだった。

「うへえ……流石に飲みすぎました……」

それから二日後の移動中。アリスはまたもや荷馬車の揺れに悶絶していた。レトルに至っては死体のように動かない。

「お前ら……。祝勝会からもう二日だぞ。どんだけ飲んだんだ」

奏多は深いため息をつきながら、手元の依頼書を眺める。

「うえぇ……奏多、次の場所はどこなんですか……?」

「次は町外れの廃屋を拠点にしてる『盗賊団』の確保だ。酒盛りしてる間に俺が受けてきた」

「盗賊ですか……次こそは何もないといいですね……」

「そうだな。でも、この間のロード討伐で評価が跳ね上がったらしくてさ。いきなり上級依頼(Bランク相当)を回された。今回の報酬は500,000アインだ」

馬車に揺られること二時間。見晴らしのいい丘の上で馬車が止まった。

「お客さん、ここらでよろしいですかな?」

「ああ、ありがとう。ほら、二人とも起きろ。行くぞ」

奏多が二人を荷台から引きずり出す。

「ふえぇ……もう着きましたかぁ?」

アリスが目をこすりながら指差された方を見ると、遠くの森の影に不気味な「廃塔」が立っていた。

「あそこが目的地だ。ここからは見つからないように隠密で行くぞ」

やる気に満ちた奏多。だが。

足元を見ると、アリスとレトルは草むらの上で再び「スヤァ……」と寝転がっていた。

「……はぁぁ」

奏多の特大のため息が、長閑な丘に虚しく響き渡った。

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