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勇者たちのそばに偶然居合わせて異世界召喚されたら、無能はいらぬと島流しに。流刑地で覚醒した俺は島おこしで世界征服をする  作者: ほさ


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神の力

「よし、それじゃあ……祝勝会じゃあ!!!!」

ボンドとゲルドの野太い号令が響き渡った。場所は塔の一階にある宴会場。

住民たちは全員無事だった。激戦の中で重傷を負った者もいたが、クルス率いるエルフたちの回復魔法によって、今では皆が傷一つない姿で笑い合っている。

「全員無事で何よりじゃな」

クルスが美味そうに酒を煽りながら言う。

「ああ、本当にな」

奏多は楽しげに騒ぐ仲間たちの姿を見て、安堵から自然と笑みをこぼした。そこでふと思い出したようにクルスへ問いかける。

「そういえば、アリスの体調はどうなんだ?」

「アリスなら、あそこにおるぞ」

クルスが指差した先には、「うまーい!」と叫びながら、皿に山盛りの料理を次から次へと平らげていくアリスの姿があった。

「先ほど目を覚ましたかと思えば、開口一番にお腹が空いたと言ってあれじゃ。まったく……」

クルスは少し呆れたように頭を抱えたが、奏多は「元気そうで何よりだな」と苦笑いした。

奏多は少し神妙な顔になり、声を潜めて聞いた。

「……女神イリスの件。アリスがあいつの末裔っていうのは、本当なのか?」

「わしにも真偽はわからぬ。ただ、先代の魔王が女神の加護を抜け出した存在である、という言い伝えは残っておる」

「正確には、あやつは女神から逃げ出した存在であるな」

いきなり横から会話に割り込んできたのは、オウだった。

「オウ! いきなり現れるなよ、いつも……」

「酒を飲んでいたら面白い話が聞こえてきたからな」

少し上機嫌なオウに、奏多は尋ねる。

「お前、先代の魔王と知り合いなのか?」

「知り合いではないが、見たことはある。イリスは昔、自分の分体を何人も作って地上に放っていた時期があったのだ」

「分体じゃと?」

クルスが聞き返す。

「ああ。あいつは神のマナだけで構成された純粋な神。地上に長居するには、膨大なマナを消費する。ゆえに、自由を求めて分体を地上へ送ったのであろうな」

「神のマナ……。アリスが使っていた、あれか?」

「うむ。アリスが使ったのは、もともとイリスから出た分体のマナだ。分体たちは、地上のマナと神のマナの両方を持ち、この世界に適応できるよう生まれた存在だ」

「他にも何人かいたのか?」

「ああ。だが神のマナの影響が強すぎると、長くは生きられぬ。先代魔王だけは地上のマナの比率が多くてな。その代わり神力はあまり使えなかった。イリスにとって『失敗作』だった彼女は、邪険に扱われ、自ら女神のもとを離れたのだ」

「失敗作なのに、魔王になれるなんて……」

奏多が呟くと、オウは静かに続けた。

「魔王は、地上のマナと神のマナを掛け合わせ、新たな形式のマナを生み出した。それは親であるイリスにも届きうる力だった。だからこそイリスは、人間を差し向けて彼女を潰しにかかったのだろう」

オウは一度言葉を切り、アリスの背中を見つめた。

「魔王はその力で島を隠すと同時に、いつか女神を討つ存在を後世に残した……。それが、あやつということだろうな」

「……それが、アリス」

「何か呼びましたかー?」

いきなり後ろからアリスがひょっこりと顔を出した。

「うおっ! アリス、聞いてたのか?」

「へ? 何がですか?」

きょとんとするアリスを見て、奏多はふっと肩の力を抜いた。

「……はぁ。なんでもないよ。じゃ、俺は先に寝るから、クルスたちと宴会を楽しめよ」

奏多がその場を離れようとすると、アリスが不満げに声を上げる。

「ええっ、奏多! なんで逃げるんですかー!」

「奏多殿は疲れておるのじゃ。今夜は休ませてあげよ」

クルスにたしなめられ、アリスは「はぁ、そうですね」と渋々納得した。

外の夜風が心地いい。

奏多は塔を出て、島を見渡せる丘の上に立っていた。

「アリスの出自を知って、何か考えることでもあったか?」

後ろからオウが声をかけてくる。

「オウか。なんだか、いきなり女神だの神力だの出てきてさ。少し驚いてる、って感じかな」

「驚くか? 別に不思議なことではあるまい。女神と同格である我がいつもそばにいるではないか」

「はは……そうだったな」

奏多は笑って、空を見上げた。

「俺はこれから、どうしたらいいんだろうな」

「どうする、とは?」

「今日みたいに、同郷の知り合いたちと殺し合いになるかもしれない。大切な居場所を、また失うかもしれない。そう考えたらさ……」

「そんなことか」

「そんなことって……」

奏多が眉をひそめると、オウは真っ直ぐに主を見据えた。

「主は、守るために『守王』になったのであろう? ならば、自分がやりたいことをやらねばどうする。この島を守り、かつての仲間も救いたい。それが主の願いならば、ただそれを貫けばよい」

「オウ……」

「心配するな。主にはこの島の仲間も、そして我もついておる」

「……ありがとうな」

奏多が小さく呟くと、オウは「うむ。ではまた酒を飲んでくる」と言い残し、塔へと戻っていった。

(女神イリス……。それに甲斐たちや、委員長のことも心配だ。ドラゴニアが何を仕掛けてくるかもわからない。俺が、もっと強くならないと)

奏多が強く拳を握りしめたその時、彼の内側でステータスが静かに、しかし確実に書き換えられた。

【通知:スキル『神力操作』を獲得しました】

【通知:『神力操作』を空きスロットにセットします】

闇を貫くような新たな力が、奏多の身体に静かに宿った。

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