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勇者たちのそばに偶然居合わせて異世界召喚されたら、無能はいらぬと島流しに。流刑地で覚醒した俺は島おこしで世界征服をする  作者: ほさ


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空っぽの器、襲撃にあう

島に辿り着くと、浜辺には既に多くの住民が集まり、騒然としていた。

「おお、奏多殿! アリス! いいところに帰ってきたのう」

クルスが険しい表情で駆け寄ってくる。

「何が起きてるんだ? あれは……ドラゴニアなんだろ!」

「その通りじゃ。おそらく、あれは……」

クルスが言いかけたその時、上空から猛烈な速度でアルマが飛来した。

「あれはドラコのやつやね。間違いない……」

「ドラコ? 会ったのか?」

「いや、でもこの懐かしいマナ……ドラコのやつだろうね」

アルマが降り立った直後、奏多は急激な立ちくらみに襲われた。

「っ……!?」

視界が激しく揺れ、膝をつきそうになる。

「どうしました!?」

駆け寄るアリスに支えられながら、奏多は「いや、なんだか、眩暈が……」と呻いた。

「やつが結界に『穴』を開けたのじゃろう」

クルスの言葉と同時に、頭上から傲慢な声が降り注いだ。

「結界を破られれば、張った術者本人に影響が出るのは当たり前だろう? そんなことも分からずに結界を張ったのか、お前は」

見上げれば、黒い鱗を持つ一人の竜人が、翼をはためかせ悠然と滞空していた。

「ドラコ!!」

アルマが叫ぶ。その声に呼応するように、ドラコは砂浜へと降り立った。

「よお、アルマ。何百年ぶりだな」

「何しに来たんだい!?」

「いや何、懐かしい匂いを感じてね」

ドラコは周囲を見渡し、鼻で笑った。

「おぬし、今まで何を……」

「おお、クルスさん! 久しぶりだなあ。ずいぶん歳とっちまって、あの頃の怖さもないな」

「あなた、なんなんですか! いきなり現れて!」

激昂するアリスに、ドラコは一瞬リリスの面影を見たようだが、すぐに冷めた目を向けた。

「ん? リリスさんか? いや、別人か。……俺はこの島の『新しい主』に挨拶しに来ただけなんだ」

「奏多殿に挨拶だと? あんた、またわっちらに危害を加えようって魂胆だろう!」

アルマの怒声を聞き流し、ドラコは視線を奏多へ固定した。

「奏多? そうか。お前が新しい魔王様か」

言った瞬間だった。

瞬き一つする間もなく、ドラコが奏多の眼前に立っていた。

「なっ……」

声すら出ない。あまりの速度に、アリスもアルマも、誰も反応できなかった。

「危害を加える気はねえよ。……今はな」

ドラコは奏多を至近距離で見つめていたが、ふと何かに気づいたように目を丸くした。そして、口端を吊り上げてニヤリと笑う。

「お前……面白いスキルを持ってるみたいだな。どれ……『クリムゾン・バレット』」

「やめろ!!」

全員が奏多を守ろうと飛び込むが、ドラコの詠唱はあまりにも早すぎた。

パンッ!

乾いた音が響き渡る。

反射的に目を瞑っていた奏多が、「……あれ?」と顔を上げた。

奏多とドラコの間に、いつの間にか一人の幼女が立っていた。

「……竜人族のガキが、生意気なことを」

オウが、ドラコの放った魔弾を素手で受け止めていた。その掌からは、細い白煙が上がっている。

「やっぱり出てきたか……精霊王」

ドラコは怯むどころか、楽しげに続けた。

「竜神様に聞いた通りだな。新しい魔王に付き従ってるってのは」

「オウ……こいつは……」

「わかっておる。少し用事で外している間に、ずいぶん勝手なことをしてくれたな、ガキ。いくらあの竜神に気に入られてようと、消されても文句は言えぬぞ」

オウが言葉を発するたびに、島の大地が震え、海面が猛烈に波立つ。かつてないほど激昂しているオウのプレッシャーに、奏多も内心で冷や汗を流した。

この場において、オウの殺気に気圧されず立っていられるのは、当のドラコだけだった。

「ふん……」

ドラコが不敵に笑い、踵を返した。

「ここであんたとやりあったら、俺の国まで潰されそうだ。まあ、今日は本当に挨拶に来ただけだからな。……そうだ、奏多だっけか? アインシアも動き出してるぞ。くれぐれも気をつけるんだな」

ドラコはそのまま力強く羽ばたき、上空の浮遊島へと帰っていった。

「待て!」と構えるオウを、奏多が「やめろ、オウ」と制止する。

天空国ドラゴニアは、巨大な雲と共に静かに遠ざかり、やがて視界から消えていった。

緊張の糸が切れたように、住民たちがその場にへたり込む。

ただ、アルマとオウの二人だけが、去っていった空の彼方を、いつまでも鋭い眼差しで見つめ続けていた。

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