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勇者たちのそばに偶然居合わせて異世界召喚されたら、無能はいらぬと島流しに。流刑地で覚醒した俺は島おこしで世界征服をする  作者: ほさ


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空っぽの器、新たな仲間を迎える

時も概念も存在しない、虚無の空間。

そこには、透き通るような青い髪をした一人の少女が、優雅にティーカップを傾けていた。

「まだこんなところにいたのか」

少女の背後で、冷ややかな声が響く。

「精霊王か……。いや、今は『オウ』だったかしら?」

馬鹿にしたように笑う少女の後ろには、黒髪の幼女――オウが立っていた。

「フン、名前などどうでもよかろう。貴様のようにここに閉じこもってお茶をしているより、よっぽど有意義な日々よ」

「よっぽどあの少年が気に入ったようね。それに、私の血を継ぐ者も……」

少女は振り向きもせず、淡々と言葉を紡ぐ。

「我はぬしのみに従っておる。貴様の血など興味はない」

「そう……。あ、そうだわ。この間『竜神』もここに来たのよ。よっぽどあなたの島が気になるみたい。『私の子孫が作った島だからって、私に聞かれても知らないわ』って返しておいたけどね」

オウは鼻を鳴らし、少女を睨みつけた。

「貴様が知らないわけがなかろう。この世界を創り上げた一人……女神イリスよ」

「女神なんて、人間が勝手に呼んでいるだけよ。さあ、もう帰りなさい。私はゆっくりお茶をしたいの」

追い払うように手を振るイリスの背に、オウは去り際、不敵な笑みを残した。

「そう高みの見物を続けていると、我の主が貴様の作り上げたものを破壊しかねないかもしれぬぞ」

一人になった空間で、イリスはくすくすと笑いながら独りごちた。

「世界は思っている以上に広いのよ。そう簡単にはいかないわ……」

【アリスティア・港】

「今日は昨日の島よりも、もっと遠くに行きますよ!」

朝から元気いっぱいのアリスに叩き起こされた奏多は、眠そうな目を擦りながら大きくため息をついた。

「はぁ……。今日はどっか目的地があるのか?」

「はい! 昔、おばあちゃんから聞いた『火山島』というところに行ってみたいんです!」

「火山? 物騒な名前だな……」

「いかにも。あそこは噴火したマグマと火山灰でできた島なんじゃよ」

港まで見送りに来ていたクルスが口を挟む。

「今でも噴火するのか?」

「いいや、それは分からないのう。ワシも数百年前に一度行ったきりじゃからのう」

「それは行ってからのお楽しみですね! おばあちゃんの話では、島の中に『竜神様』の祠があるみたいなんです。今でもあるといいなぁ」

アリスのはしゃぎっぷりに、奏多は首を傾げた。

「竜神……。竜人族の先祖とかいうやつか?」

「竜神様はこの世界を創った柱の一つ。原初の世界を支配していたと言われるお方じゃ。まあ、伝説の域を出ないがの」

「とにかく出発です! 冒険ですよ!」

無理やり船に乗せられそうになる奏多のもとへ、今度はゲルドがやってきた。

「奏多殿、ワシの部族の若いのを一人、連れて行ってはくれんかの?」

ゲルドの後ろには、耳の垂れた大柄で体格の良い、一人の若い獣人が立っていた。

「ほれ、挨拶をせんか」

促された青年は、ピンと背筋を伸ばして声を張り上げた。

「初めまして! 獣人族のレトルと申します!」

(……ゴールデンレトリバーに似てるな)

奏多はレトルの顔を見て、直感的にそう思った。

「この子は若手の中でもホープでの。体術ならワシの若い頃より才能があるし、頭も切れる。だが、いかんせん実戦経験が少なくてのう。奏多殿とアリス様に鍛えてもらいたいのじゃ」

「俺はいいけど、アリスはどうだ?」

「大歓迎です! 仲間が増えるのも冒険の醍醐味ですから!」

アリスの快諾に、レトルは感激した様子で「ありがとうございます! あの、よろしくお願いします!」と深く頭を下げた。

「敬語じゃなくていいぞ。気楽にやってくれ」

「は、はい! ……じゃなくて、わかった!」

こうして、新たな魔王、魔王の末裔、そして期待の若手獣人。

奇妙な三人組による「火山島」への冒険が幕を開けた。

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