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勇者たちのそばに偶然居合わせて異世界召喚されたら、無能はいらぬと島流しに。流刑地で覚醒した俺は島おこしで世界征服をする  作者: ほさ


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王としての苦悩

【奏多の回想】

新たな魔王となった俺は、巨塔に移住した住民たちがそれまで暮らしていた土地の再開発に取り掛かることにした。

「うーん、どうするべきか……」

広大な空き地を前に腕を組んで悩む俺に、隣にいたオウが呆れたように口を出す。

「全て更地にして、ぬしの家にでもすれば良いであろう?」

「んなアホなことできるか!」

「何故だ? ここの王たる主がそれくらい許されても良いであろうに」

「はぁ……だめだこいつは……」

ため息をつく俺の横で、様子を伺っていたアリスが控えめに手を挙げた。

「私、一つ考えてることがあるんですけど……」

【場面転換:巨塔一階・会議室】

「他の国と外交だと(じゃと)!?」

会議室に集まった長たちの驚愕の声が、高い天井にこだました。

「はい。ここで皆さんと過ごすのはもちろん楽しいのですけど、私としては……世界を見たいのです」

アリスの真っ直ぐな言葉に、クルスが静かに問いかける。

「確かにアリスはずっとここにおるのじゃから、外のことは知らんじゃろうな。奏多殿はどうなのじゃ?」

「俺も他の国や島には興味があるけど……ここに危険が及ぶようなら、やめた方がいいとは思う」

俺の慎重な答えに、ドワーフのボンドが重々しく頷いた。

「そうじゃな。奏多殿とアリスちゃんは知らんのも無理はないが、昔、この島にも外交はあったのじゃ」

「ふむ。それは話しておかねばならんな」

クルスがそう言った瞬間、それまで黙っていたアルマとゲルドの顔が、目に見えて曇った。

「これはかなり昔の話じゃ。まだ人間の国が今ほど大きくなく、人間以外の『異人』が各地におった頃のこと。先代の魔王によって作られたこの島には、ワシら四種族の他にもう一種族……『竜人族』がおったんじゃ」

「もう一種族だって!?」

俺とアリスの声が重なる。

「そうじゃ。竜人族は、かつて魔王が生まれるよりも前に世界を統べていた竜神の血を引く種族。戦闘力ならドワーフすら及ばず、知能も高い。彼らはこの島と他国を繋ぐパイプ役であり、同時に他国への強大な抑止力でもあった。……だがある日のことじゃ」

そこまで話した時、突如アルマが「バン!」と激しく机を叩いて立ち上がり、一言も発さずに部屋を飛び出していった。

「アルマ様……」

呆然とする俺たちをよそに、クルスは悲しげな目を向けながらも話を続けた。

「……続けるぞ。その日は、先代の魔王に感謝を捧げる『生誕祭』の日じゃった」


【クルスの回想】

かつての島は、今よりも遥かに賑やかだった。

「おいアルマよ! 酒を持ってくるんだ!」

真っ赤な顔で騒ぐ若い頃のボンドに、アルマが頭を抱えている。

「あんたねえ……本当にバカだねえ……」

「そんな呑んだくれは無視して、俺とデートしてくれよアルマ〜」

「何を言ってんだいアホゲルド。どいつもこいつも……。そうだゲルド、ドラコを見なかったかい?」

少しだけ乙女の顔をしてアルマが尋ねる。彼女が探しているのは、竜人族の青年・ドラコ。

「ドラコ? あんな奴、また海外のメスとよろしくやってんじゃねえのか?」

「んなわけないだろ。あいつはそんな軟派な男じゃないし、約束は破らないさ」

そこへ、若い頃のクルスが駆け込んできた。

「あ、お前たち! そこにいたのか!」

「やべえ! クルスさんだ! 逃げるぞゲルド!」

酔いの覚めたボンドが逃げようとするが、クルスの風魔法に絡め取られる。

「全く、いつまで経っても成長しないね。……おや、アルマ。ドラコを探してるのかい? なら、妹のところかもしれないよ。今、リリスは港で外人の受け入れをしているから」

「リリス様のところに! ありがとうございます!」

アルマは二人へのお灸をクルスに頼むと、翼を広げて港へと急いだ。

港には、祭りのために世界中から多くの船が集まっていた。それら一隻一隻を、アリスの祖母でありクルスの妹であるリリスが、忙しく検査していた。

「リリス様、ドラコを見ませんでした?」

「おや、アルマちゃん。ドラコ君ならさっきまで手伝ってくれてたんだけど、『担当する船が来た』って、あっちに行ったよ」

リリスが指差した先には、他の船とは一線を画す、一際大きく不気味な「黒い船」が停泊していた。

「……デカいですね。あれ、どこの国ですか?」

「えっと、どこだったっけ……」

リリスが記憶を辿ろうとした、その時だった。

ドォォォォォン!!!

港の奥で凄まじい爆発が起きた。悲鳴と共に、逃げ惑う人々。

「アルマちゃん! 早くお姉ちゃん達を呼んできて! ここは私が見てくるから!」

「はい!」

アルマは弾かれたように空へ舞い上がった。

(ドラコ……無事でいて……!)

祈るような思いで、彼女は煙の上がる港を背に、必死に羽ばたいた。

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